円周13等分(遊びの数論26)

[遊びの数論] 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30

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気軽な散策「正17角形は作図可能?」の手法を「正13角形」に適用したもの。 cos (π/13), sin (π/13) などを根号で表現します。――「遊びの数論」といっても、ちょっぴりマニアック。

17角形(2次方程式だけで扱える)との最大の違いは、3次方程式が必要なこと。これについては、『遊びの数論27』として「デザートから始める3次方程式入門」を追加予定。

Simple surd (radical) expressions of the 13th primitive roots of unity and related values, e.g.
 cos (2π/13) = {−1 + 13 + 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39]}/12
    = (−1 + 13)/12 + (1/6)(3[13 − 2.513 + 1.5−39] + 3[13 − 2.513 − 1.5−39])
Notes in English with PARI scripts available here and there on this same page (like this).


In tredecim partes circulum dividimus.



2024-04-27 正17角形から正13角形へ 道を踏み外しちまったよ…

#遊びの数論 #mod p の原始根 #1 の原始根 #正17角形 #円周13等分

正17角形は作図可能?」の手法は、13角形などにも応用可能。「17角形」にこだわらず、別の観点から眺めると面白い。

このメモでは 1 の原始13乗根の主値 cos (2π/13) + i sin (2π/13) を、加減乗除・平方根・立方根だけを使って表記する。 17 と 13 は、どちらも 4k+1 型素数―― 17乗根(17角形)は定番の話題だが、13乗根を手計算する物好きは、ほとんどいないだろう。背後にある理論は豊穣。ディープな冒険コース。

実部は、意外とシンプルに表現可能(もっときれいに書けるかも)。
  cos (2π/13) = (−1 + uω2 + vω + M)/12
ここで:
  u = ((−65 + 39−3)/2)1/3
  v = u* = ((−65 − 39−3)/2)1/3
  M = 39 + (u2 − 2v − 12u)ω + (v2 − 2u − 12v)ω2

〔追記〕 「もっときれいに書けるかも」の予感通り、上記の表現は大幅に簡単化可能。このメモは、ぶざまな「錯覚・失敗の記録」だが、内容は間違っていない。むしろ「素朴で自然な導入」ともいえる。

*

2π/13 ――つまり 360° の 1/13 の角度(約 28°)――を T とする。 13T = 2π = 360° となる。 2π/17 = G について cos G を求めたのと同様の方法で cos T を求めようとすると何が起きるか。

【1】 出発点として、
  cos T + cos 2T + cos 3T + cos 4T + cos 5T + cos 6T = 1/2  ‥‥①
…ということは分かっている(解と係数の関係、あるいはマイナス½の定理)。

この和を a = cos T + cos 3T + cos 4T と b = cos 2T + cos 5T + cos 6T に分けると a + b = 1/2 だが、同時に ab = 3/4 が成り立つ。なぜなら…
  ab = (cos T + cos 3T + cos 4T)(cos 2T + cos 5T + cos 6T)
   = (cos T cos 2T + cos T cos 5T + cos T cos 6T)
   + (cos 3T cos 2T + cos 3T cos 5T + cos 3T cos 6T)
   + (cos 4T cos 2T + cos 4T cos 5T + cos 4T cos 6T)

積→和の変換をすると = 1/2(cos 3T + cos 1T + cos 6T + cos 4T + etc.) となるが、簡潔化のため、
  (cos 3T + cos 1T + cos 6T + cos 4T + etc.) を «3 1 6 4 etc.»
…と略すことにする。読みやすさのため « » 内には適宜、区切り文字としてセミコロン ; を挿入する。この略記法を使うと:
  ab = 1/2 × «3 1 6 4 7 5; 5 1 8 2 9 3; 6 2 9 1 10
cos (nT) = cos (−nT) = cos (360° − nT) = cos (13T − nT) を使って 7T 以上の角度6T 以下に変換すると:
   = 1/2 × «3 1 6 4 6 5; 5 1 5 2 4 3; 6 2 4 1 3
この « » 内の 18 項は cos 1T ~ cos 6T 三つずつの和なので、①の 3 倍に等しい。
   = 1/2[3 × (−1/2)] = 3/4

よって a, b は x2 + 1/2x − 3/4 = 0 の解。 a, b の大小を考慮して:
  a = cos T + cos 3T + cos 4T = (−1 + 13)/4  ‥‥②
  b = cos 2T + cos 5T + cos 6T = (−1 − 13)/4

正17角形の場合の cos G + cos 2G + cos 4G + cos 8G = (−1 + 17)/4 や、正五角形の場合の cos 72° = (−1 + 5)/4 との類似性は明白。

なかなか順調な出だしである!

【2】 だが17角形の場合と違い、もう 3 項の和なので、さらに項数を半分にはできない。ここからどうしたものか…。

3倍角・4倍角(3T, 4T)の cos なら、とりあえずバラしちまえ! 安直な思い付きだが、試すだけ試しても損はあるまい。 θ を未知の角度として t = cos θ を未知数とすると、②から t についての次の4次方程式が生じる。
  8t4 + 4t3 − 8t2 − 2t + 1 = a (= (−1 + 13)/4)  ‥‥③
なぜなら:
  cos 3θ = cos (θ + 2θ) = cos θ cos 2θ − sin θ sin 2θ
   = cos θ (2 cos2 θ − 1) − sin θ (2 sin θ cos θ)
   = 2 cos3 θ − cos θ − 2(1 − cos2 θ) cos θ
   = 2t3 − t − 2t + 2t3 = 4t3 − 3t
  cos 4θ = 2(cos 2θ)2 − 1 = 2(2t2 − 1)2 − 1 = 8t4 − 8t2 + 1
  従って cos θ + cos 3θ + cos 4θ = t + (4t3 − 3t) + (8t4 − 8t2 + 1)

②の関係に基づく式なので t = cos T は、もちろん③の一つの解。

「現実的にうまくいくか・便利か」は別問題だが、理論上、4次方程式は代数的に解ける(一般には平方根までの範囲では表現できないので、作図可能ではない)。 cos T などを四則演算と根号だけで表現できるはず――という実感が湧く。自然と次の疑問が生じる: t = cos T が③の解となるのは当然として、4次方程式には四つの解がある。③の残り三つの解は何か?

その情報によっては、解と係数の関係からのからめ手を使えるかもしれない。

③は、cos T + cos 3T + cos 4T = a という②の和を多項式にしたもの。 cos nT = cos (13+n)T という巡回的性質や、 cos nT = cos (−n)T = cos (13−n)T という性質から、次の事実が観察される。
  cos T + cos 3T + cos 4T という和は T を (3T) に置き換えても値が変わらない
実際…
  cos (3T) と cos 3(3T) = cos 9T = cos 4T と cos 4(3T) = cos 12T = cos T
…の和は cos T + cos 3T + cos 4T の項の順序を並び替えただけ。同様に、同じ和は T を (4T) に置き換えても値が変わらない:
  cos (4T) と cos 3(4T) = cos 12T = cos T と cos 4(4T) = cos 16T = cos 3T

③の左辺は cos θ + cos 3θ + cos 4θ に等しく、しかも θ = T のとき、その和は③の右辺に等しい。 θ = 3T または θ = 4T の場合にも、 cos θ + cos 3θ + cos 4θ という和の値は、 θ = T の場合と同じ。要するに θ = cos T, cos 3T, cos 4T の三つは、どれも③の解(③のもう一つの解については下記【4】参照)。

F(n) = cos (1n⋅T) + cos (3n⋅T) + cos (4n⋅T) の値は、n = 1, 3, 4 に対して等しい。その等しい値とは、cos T + cos 3T + cos 4T。同様に G(n) = cos (2n⋅T) + cos (5n⋅T) + cos (6n⋅T) も、n = 1, 3, 4 に対して等しい値 cos 2T + cos 5T + cos 6T を持つ(容易に確かめることができる)。実は n = 1, 2, …, 6 のとき F(n) + G(n) は cos T + cos 2T + … + cos 6T を並び替えただけの和なので、一定の値 1/2 を持ち、従って次のようになる:
  ☆ n = 1, 3, 4 のとき F(n) = cos T + cos 3T + cos 4T, G(n) = cos 2T + cos 5T + cos 6T
  ★ n = 2, 5, 6 のとき G(n) = cos T + cos 3T + cos 4T, F(n) = cos 2T + cos 5T + cos 6T

「置き換えても全体像は変わらない」という、ある種の対称性がある。

【3】 われわれは今、円周を13等分する点を考えている。ところで 1, 4, 3 ≡ 16 (mod 13) は平方剰余――つまり、それぞれ 12, 22, 42 という平方に当たる。一方、2, 5, 6 は非剰余―― mod 13 では平方の形に書けない。 1, 2, …, 6 を {1, 3, 4} と {2, 5, 6} に分けたのは、見掛け上、平方剰余と非剰余に分けている。

より具体的に g を mod p の任意の原始根(生成元)とすると、平方剰余は g の偶数乗、非剰余は g の奇数乗なのだから、平方剰余の平方剰余倍は再び g の偶数乗となり、非剰余の平方剰余倍は再び g の奇数乗となる。非剰余倍の結果についても、偶数乗・奇数乗から説明がつく。☆★は、大ざっぱに言えばこの性質の現れ。

〔例〕 mod 13 で g = 2 とする。 4 ≡ g2 は平方剰余。 3 ≡ g4 (= 16) は平方剰余; その 4 倍、つまり g4 × g2 ≡ g6 ≡ 12 も平方剰余(g の偶数乗)。一方、 8 ≡ g3 は非剰余; その 4 倍、つまり g3 × g2 ≡ g5 ≡ 6 も非剰余(g の奇数乗)。

正17角形の話題で、8 項の和 cos G + cos 2G + … + cos 8G を「cos G + cos 2G + cos 4G + cos 8G と cos 3G + cos 5G + cos 6G + cos 7G の 4 項ずつに分けた」のも――そのときには天下り的にやって説明を省いたが――、同様の仕掛け: 1, 2 ≡ 36, 4, 8 ≡ 25 (mod 17) は平方剰余、 3, 5, 6, 7 は非剰余に当たる。

前項の「ある種の対称性」は、mod p の乗法群の巡回構造と関係ある。平方非剰余・剰余というのは、巡回構造を一つおきに見ることに当たる――すなわち、任意の生成元 g を選んだとき、 g1, g2, g3, g4, … を g1, g3, … と g2, g4, … に分けている。生成元 g として mod 13 では 2、 mod 17 では 3 を選択することができる。

正17角形の例(素数 p = 17)だと、位数 p−1 が 16 なので、このように半々に分けていくのが必然的に感じられる。正13角形の場合、位数が 12 なので、それを半分にすることもできるが、3 で割ることもできる。

〔参考〕 具体的な g の値を設定する方法。理論上、原始根(p−1 乗して初めて ≡ 1 になる数)を見つけることは難しい。しかし mod p の p が小さいときは、実用上、単にブルートフォースで 2, 3, 5, … などを順に試せばいい。原始根が存在することは、保証されている。――「平方非剰余であること」は原始根であることの必要条件(十分条件ではない)。正17角形の場合 g = 2 にできないのは、 mod 8k+1 型素数(例: 17)では 2 が平方剰余だから(第二補充法則); g = 3 に期待できるのは、 mod 12k+5 型素数(例: 17)では 3 が非剰余だから(第三補充法則)。同様に、第二補充法則から、 8k+5 型素数(例: 13)を mod として 2 は非剰余なので、mod 13 では g = 2 に期待できる。これらは期待通りに原始根。

【4】 ③によると cos T, cos 3T, cos 4T は、次の4次方程式の解。
  8t4 + 4t3 − 8t2 − 2t + 1 = a = (−1 + 13)/4

解と係数の関係から、この4次方程式の4解の和は −4/8 = −1/2。そのうち三つの解 cos T, cos 3T, cos 4T の和は a = (−1 + 13)/4 なので、もう一つの解の値は:
  −1/2 − (−1 + 13)/4 = (−1 − 13)/4 = b = cos 2T + cos 5T + cos 6T

この現象は面白い。だが、これを基に cos T などの個々の値を突き止めることは、不可能ではないにしても面倒だろう。安易に4倍角の公式を使ってしまったのは、あまり良いアイデアではなかったようだ。

〔補足〕 上記の現象は、少なくとも理論上、次の意味を持つ: この4次式を t − b で割ることによって、 cos T, cos 3T, cos 4T を根とする3次式が得られる。そのような3次方程式が欲しいのはやまやまだが、できたとして係数がゴチャゴチャした3次方程式になるだろう。そこにさらに Cardano の公式を適用するのは、遠慮したい…。あるいは係数をきれいにできるかもしれないけれど、別の便利な方法があればその方が良い。以下では別の道を偵察する。

〔追記〕 cos T, cos 3T, cos 4T を根とする3次式は、思った以上にきれいに表記可能。結論としては、この経路の方が良い。(2024年4月28日)

〔追記2〕 上記の4次式を t − b で割り cos T, cos 3T, cos 4T を根とする3次式を得ることは、実用上、筆算でも十分に可能。ただし、それは強引な経路。解と係数の関係から処理するのが自然。(2024年5月4日)

【5】 方針を少し変え、 cos T, cos 2T, …, cos 6T を(二つではなく)次のように三つに分けることにする。
  A = cos T + cos 5T, B = cos 2T + cos 3T, C = cos 4T + cos 6T, A + B + C = −1/2
すなわち、原始根 g = 2 を使って、T の gk (mod 13) 倍の角度の cos を考え、 k を 3 で割った余り 0, 1, 2 に応じて、それぞれ A, B, C に含める(k = 0, 1, …, 5)。ただし 7T 以上の角度は 6T 以下の角度に置き換える。平方剰余・非剰余とは別の種類の分け方。

† mod 3 で k ≡ 0, 1, −1 の 3種。一つ目は立方剰余、残りの二つは立方非剰余。

引き続き…
  cos αT + cos βT を «α β»
  cos αT + cos βT + cos γT を «α β γ»
…などと略すことにすると:
  AB = (cos T + cos 5T)(cos 2T + cos 3T)
   = (cos T cos 2T + cos T cos 3T) + (cos 5T cos 2T + cos 5T cos 3T)
   = «3 1 4 2; 7 3 8 2»/2 = «3 1 4 2; 6 3 5 2»/2
   = («3 1 4 2; 6 5» + «3 2»)/2 = (−½ + «3 2»)/2
  ∴ AB = −¼ + «3 2»/2

同様に:
  BC = (cos 2T + cos 3T)(cos 4T + cos 6T) = «6 2 8 4; 7 1 9 3»/2 = «6 2 5 4; 6 1 4 3»/2 = −¼ + «6 4»/2
  CA = (cos 4T + cos 6T)(cos T + cos 5T) = «5 3 9 1; 7 5 11 1»/2 = «5 3 4 1; 6 5 2 1»/2 = −¼ + «5 1»/2
よって:
  AB + BC + CA = −¼ × 3 + «3 2; 6 4; 5 1»/2 = −¾ + (−½)/2 = −1

〔付記〕 «3 2» = cos 3T + cos 2T = B なので AB = −¼ + B/2; 同様に BC = −¼ + C/2, CA = −¼ + A/2。よって AB + BC + CA = ¾ + (A + B + C)/2 = −¾ + (−½)/2 = −1。「循環的・対称的な性質の式を循環的・対称的に組み合わせると、結果もまた循環的・対称的」というのは、直観的には明白だろう。出発点となる対称性がどこからどうやって生じるのか?というのは別の問題だが、mod p の乗法の巡回群が根底にあることは、想像がつく。

最後に AB = −¼ + «3 2»/2 = −¼ + ½(cos 2T + cos 3T) なので:
  ABC = [AB]C = [−¼ + ½(cos 2T + cos 3T)](cos 4T + cos 6T)
   = −¼(cos 4T + cos 6T) + ½(cos 2T + cos 3T)(cos 4T + cos 6T)
   = −¼«4 6» + ½«6 2 8 4; 7 1 9 3»/2 = −¼«4 6» + ¼«6 2 5 4; 6 1 4
   = ¼«2 5; 6 1 4 3» = ¼(−½) = −1/8

従って A, B, C は次の3次方程式の解:
  z3 + (1/2)z2 − z + 1/8 = 0
z = y − 1/6 と置くと:
  y3 − (13/12)y + 65/216 = 0
y = x/6 と置くと:
  (1/216)x3(13/72)x + 65/216 = 0 つまり x3 − 39x + 65 = 0
関連する2次方程式は w2 + 65w + 133 = 0、その解は w = (−65 ± 39−3)/2。この2解を仮に U, V とすると、解と係数の関係から UV = 133 となる。

Cardano の公式によると、解 x は U, V それぞれの立方根 u, v を使って表現される。すなわち…
  u = ((−65 + 39−3)/2)1/3, v = ((−65 − 39−3)/2)1/3
…とすると、一つの解は x = u + v で、残りの二つの解は uω + vω2 と uω2 + vω。ただし ω = (−1 + −3)/2

変数を z に戻し、 A, B, C の大小を考慮すると、次の結論を得る。
  B = cos 2T + cos 3T = (u + v − 1)/6
  A = cos T + cos 5T = (2 + vω − 1)/6
  C = cos 4T + cos 6T = (uω + vω2 − 1)/6

ところで、共役複素数 u, v は共役複素数 U, V の立方根なので、実数 uv は UV = 133 の立方根 13 に等しい(直接計算によっても確認可能)。

4次方程式経由を強引に進めずに別の道を試したのが良かったのか、整数係数の3次方程式に帰着し、 Cardano 形式もそれなりにシンプル!

† 三つの実数解のうち、最大のものが主値; 偏角 0 ~ 60° の立方根 u に対応。最小解はその u を +120° 回転させた uω に対応。さて 0 ~ 6.5T = 180° の区間で cos は減少し、区間の前半で cos は正、後半で cos は負。ゆえに B = 2(cos 2.5T)(cos 0.5T) は A = 2(cos 3T)(cos 2T) より大きく、どちらも正(なぜなら cos 2.5T > cos 3T かつ cos 0.5T > cos 2T で、これら四つの cos は正)。一方、 C は負。

〔追記〕 立方根号下の分数を解消すると:
  B = cos 2T + cos 3T = (−2 + 3(−260 + 156−3) + 3(−260 − 156−3))/12
本文では、先に z の式の2次項を除去しているが、 z = y/2 と置いて 8 倍すれば、先に分数を解消できる。あるいは z = y/6 と置いて 216 倍すれば、分数を解消した上、 y の式の2次の係数を 3 の倍数にできる(その方が便利)。いずれも x3 − 39x + 65 = 0 に至る。一方、 z = y/12 と置いて 1728 倍するなら、 x3 − 156x + 520 = 0 を得る。係数が大きくなるものの、 x の式の1次の係数が 3 の倍数、定数項が偶数なので、立方根号下の分数を回避できる。(2024年5月19日)

【6】 A と C によって cos T と cos 5T の和・積が確定する。すなわち…
  cos T cos 5T = (1/2)(cos 4T + cos 6T) = C/2 = (uω + vω2 − 1)/12
…なので、 cos T と cos 5T は次の2次方程式の解。
  X2 − [(2 + vω − 1)/6]X + (uω + vω2 − 1)/12 = 0

その判別式は:
  [(u2 − 2v)ω + (v2 − 2u)ω2 + 27 − 12(uω + vω2 − 1)]/36
   = [(u2 − 2v − 12u)ω + (v2 − 2u − 12v)ω2 + 39]/36

ゆえに解 X は次の通り(cos T は正、 cos 5T は負)。
  cos T = (2 + vω − 1 + M)/12
  cos 5T = (2 + vω − 1 − M)/12
ただし:
  M = (u2 − 2v − 12u)ω + (v2 − 2u − 12v)ω2 + 39

sin T = (1 − cos2 T) を求め、それを虚部とすると、次の代数的表現を得る。簡約の余地はあり得る(追記: 別経路からの導出により、大幅な簡約が可能)。

1 の原始13乗根の主値〔バージョン1〕 cos (2π/13) + i sin (2π/13) =
 (−1 + uω2 + vω + M)/12 + i {[78 − (2u2 − 4v − 12u + 2vM)ω − (2v2 − 4u − 12v + 2uM2 + 2M]}/12
ここで:
  M = (u2 − 2v − 12u)ω + (v2 − 2u − 12v)ω2 + 39
  u = ((−65 + 39−3)/2)1/3, v = ((−65 − 39−3)/2)1/3

主なデータについては PARI/GP で数値的に検算してあり(付録1)、本質的な間違いはないと思われる。細部についての検討・推敲は十分ではなく、多少の不備・誤字はあるかもしれない。

† (uω2 + vω − 1)2 = u2ω + v2ω2 + 1 + 2uv − 2vω − 2uω2 = (u2 − 2v)ω + (v2 − 2u)ω2 + 27。 uv = 13 を使った(【5】参照)。

‡ (12 cos T)2 = u2ω + v2ω2 + 1 + [(u2 − 2v − 12u)ω + (v2 − 2u − 12v)ω2 + 2uv + 13] + 2uv − 2uω2 + 2uω2M − 2vω + 2vωM − 2M
= (2u2 − 4v − 12u + 2vM)ω + (2v2 − 4u − 12v + 2uM2 + 4uv + 14 − 2M
  ∴ 122(1 − cos2 T) = 144 − (2u2 − 4v − 12u + 2vM)ω − (2v2 − 4u − 12v + 2uM2 − 66 + 2M

*

円周13等分は、 Gauß が記した円周17等分・19等分などの理論の一例だが、 12 項〚または 6 項〛から始める場合、 4 項〚2 項〛ずつ三つに分ける方法と、 3 項ずつ四つ〚二つ〛に分ける方法が考えられる。ここでは John Casey と Hobson が17等分に適用したアイデアを流用し、 6 項からスタートした。複素数の ζjζk = ζ を j + k ≡ ℓ (mod p) で処理する代わりに(ζ は 1 の原始 p 乗根)、実部だけ見て cos の積・和の変換を使う…というのも Hobson 流。 j + k ≡ ℓ の方が手っ取り早いようだが、文脈によっては cos も軽妙。 Richmond による正17角形の作図法でも、cos の積・和変換が活用される。

*

付録1 PARI/GP での検算用コード。入力の簡略化のため、sqrt(M)L としている。

\\ Trigonometry Values 2*Pi/13
\\ Explicit surd expressions
\\ (further simplification possible; see PS below)
\\ PARI/GP 2024-04-27

cbrt(x) = sqrtn(x,3);   \\ the principal cube root of x

U = ( -65 + 39*sqrt(-3) )/2;
V = ( -65 - 39*sqrt(-3) )/2;
u = cbrt(U);
v = cbrt(V);
w1 = ( -1 + sqrt(-3) )/2;  \\ omega
w2 = ( -1 - sqrt(-3) )/2;  \\ w1^2

T = 2*Pi/13;
(u + v - 1)/6       \\ 0.6886014269864
cos(2*T) + cos(3*T) \\ 0.6886014269864
(u*w1 + v*w2 - 1)/6 \\ -1.325546704468
cos(4*T) + cos(6*T) \\ -1.325546704468
(u*w2 + v*w1 - 1)/6 \\ 0.1369452774821
cos(T) + cos(5*T)   \\ 0.1369452774821

M1 = (u^2 - 2*v - 12*u)*w1;
M2 = (v^2 - 2*u - 12*v)*w2;
M = M1 + M2 + 39;
L = sqrt(M);
R = (-1 + u*w2 + v*w1 + L)/12 \\ 0.8854560256532
cos(2*Pi/13)                  \\ 0.8854560256532

N1 = (2*u^2 - 4*v - 12*u + 2*v*L)*w1;
N2 = (2*v^2 - 4*u - 12*v + 2*u*L)*w2;
S = sqrt(78 - N1 - N2 + 2*L)/12  \\ 0.4647231720437
sin(2*Pi/13)                     \\ 0.4647231720437

R + S*I             \\ 0.8854560256532 + 0.4647231720437*I
exp(2*Pi*I/13)      \\ 0.8854560256532 + 0.4647231720437*I
(R + S*I)^13        \\ 1.000000000000
exp(2*Pi*I/13)^13   \\ 1.000000000000

PS:

\\ A surd expression of cos(2*Pi/13), much simplified
\\ PARI/GP 2024-04-28

u1 = sqrtn( 104 - 20*sqrt(13) + 12*sqrt(-39), 3 );
u2 = sqrtn( 104 - 20*sqrt(13) - 12*sqrt(-39), 3 );
( -1 + sqrt(13) + u1 + u2 ) / 12  \\ 0.8854560256532
cos(2*Pi/13)                      \\ 0.8854560256532

/* One can find a cubic polynomial with coefficients
in Q[sqrt(13)], whose roots are cos(2*Pi/13),
cos(6*Pi/13), and cos(8*Pi/13):
   16*t^3 + (4-4*sqrt(13))*t^2 - 4*t + (sqrt(13)-3)
Putting t = (m + sqrt(13) - 1)/12, we have
   m^3 + (6*sqrt(13)-78)*m + (40*sqrt(13)-208) = 0
and its largest root (principal value) is u1 + u2. */

factor( 16*t^3 + (4-4*sqrt(13))*t^2 - 4*t + sqrt(13)-3 )
[ cos(8*Pi/13), cos(6*Pi/13), cos(2*Pi/13) ]

rr = polroots( m^3 + (6*sqrt(13)-78)*m + 40*sqrt(13)-208 )
(rr[3] + sqrt(13) - 1)/12         \\ 0.8854560256532
cos(2*Pi/13)                      \\ 0.8854560256532

So now we have this nice expression:
cos 2π/13 = {−1 + 13 + 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39]}/12
More on this later. [April 28, 2024]

〔参考文献〕
[1] Bachmann, Paul: Die Lehre von der Kreistheilung und ihre Beziehungen zur Zahlentheorie.
S. 43 - Sechste Vorlesung “Die Gaußsches Methode zur Auflösung der Kreisteilungsgleichung”
S. 59 - Siebente Vorlesung “Beispiele” (p=13: S. 61–63)
https://www.digitale-sammlungen.de/en/view/bsb11011248?page=79
S. 75 - Achte Vorlesung “Algebraische Auflösung der Hilfsgleichungen”
(p=11: S. 96–98; Vgl. Gauß, Werke, II, S. 243)
[2] Mathews, George Ballard: Theory of numbers, Chap. VII “Cyclotomy”
https://archive.org/details/theoryofnumbersp00math/page/184/mode/1up
(p=13 case: pp. 192–198)
[3] Reuschle, Karl Gustav: Tafeln complexer Primzahlen, S. 11–16
https://gdz.sub.uni-goettingen.de/id/PPN576716448?tify=%7B%22pages%22%3A%5B19%5D%2C%22view%22%3A%22%22%7D

⁂


2024-04-28 cos(2π/13) の簡単化に成功 速報

#円周13等分

cos 2π/13 の根号表現の簡単化に成功した。
  {−1 + 13 + 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39]}/12

How does this work?

次の3次式は cos T, cos 3T, cos 4T を根とする(T = 2π/13)。
  16t3 + (4 − 413)t2 − 4t + (13 − 3)
t = λ − (4 − 413)/48 = λ + (13 − 1)/12 と置くと:
  λ3 − ((13 − 13)/24)λ − (26 − 513)/216
λ = μ/12 と置いて 1728 倍すると:
  μ3 + (613 − 78)μ + (4013 − 208)
その根の主値は:
  μ = (104 − 2013 + 12−39)1/3 + (104 − 2013 − 12−39)1/3
  λ = [(104 − 2013 + 12−39)1/3 + (104 − 2013 − 12−39)1/3]/12
従って:
  t = cos T = [(104 − 2013 + 12−39)1/3 + (104 − 2013 − 12−39)1/3 + 13 − 1]/12

検算 (with a short comment)。上記の3次式の導出などの詳細については、後述する

⁂


2024-04-30 cos (2π/13) の根号表現の導出 円周13等分

#遊びの数論 #1 の原始根 #Morrie の法則 #円周13等分

速報で記した cos 2π/13 の導出について記す。

ところで Morrie の法則
  cos (1π/9) cos (2π/9) cos (4π/9) = 1/8
…については何度もネタにしたが、次の「超 Morrie の法則」が成り立つ。
  (cos [1π/13] + cos [5π/13])(cos [2π/13] + cos [10π/13])(cos [4π/13] + cos [20π/13]) = 1/8

われわれの観点からは「この種の式が成り立つのは当たり前」だが、そうはいっても、これはきれい。 Morrie Jacobs も、お墓の中で「負けたよ」と笑ってくれるだろう!

*

【7】 最初のメモで、
  a = cos T + cos 3T + cos 4T = (−1 + 13)/4
  b = cos 2T + cos 5T + cos 6T = (−1 − 13)/4
…を導いたところまでは順調だった。ところが「17角形の場合と違い、もう 3 項の和なので、さらに項数を半分にはできない。ここからどうしたものか」と迷い、その場の思い付きで変なこと(間違ってはいないが)をしてしまった。「解と係数の関係からのからめ手を使えるかも」「cos T, cos 3T, cos 4T を根とする3次式が欲しい」とまで明記しながら、あべこべに錯覚していた――「3次式が与えられれば、その係数から根の情報が得られる」という「係数→解」ではなく、「根を cos T, cos 3T, cos 4T にしたい」という考えなのだから、単に「解→係数」として3次式を作れば良かった。

「根が分からないので、方程式を解いて根を求める」という通常の発想と少し違い、「根が分かっている方程式をあえて構成し、それをあらためて解く」。ここで「根が分かっている」というのは cos T や cos 3T のような三角関数表現として分かっている、という意味。方程式の解を代数的に求めることで、結局、三角関数表現を根号表現に変換できる。正17角形でも同じことをやっているし、気付いてみると「なぜ気付かなかったのだろう」と不思議な感じさえする。

具体的には、次の3次式を構成すればいい(理由)。
  t3 − (cos T + cos 3T + cos 4T)t2 + (cos T cos 3T + cos 3T cos 4T + cos 4T cos T)t − (cos T cos 3T cos 4T)

第一に、この3次式の、2次の係数 −(cos T + cos 3T + cos 4T) = −a = (1 − 13)/4 は上記 a から明らか。

第二に、1次の係数は:
  cos T cos 3T + cos 3T cos 4T + cos 4T cos T
   = (cos 4T + cos 2T + cos 7T + cos T + cos 5T + cos 3T)/2 = 1/4
最後の等号は「マイナス½の定理」による(cos 7T = cos 6T と見る)。

第三に、定数項は:
  −(cos T cos 3T cos 4T) = −[(cos 4T + cos 2T)/2 × cos 4T] = −(cos 4T cos 4T + cos 2T cos 4T)/2
   = −(cos 8T + cos 0T + cos 6T + cos 2T)/4 = −(1 + b)/4
   = −(1 + (−1 − 13)/4)/4 = −((3 − 13)/16) = (−3 + 13)/16
なぜなら cos 8T = cos 5T なので、それ + cos 6T + cos 2T は上記 b に等しく、 cos 0T = cos 0 = 1。

よって cos T, cos 3T, cos 4T を解とする3次方程式は、こうなる:
  t3 + [(1 − 13)/4]t2 − (1/4)t + (−3 + 13)/16 = 0  ‥‥④

同じメモの【5】では全く同様に3次方程式を構成してるのに、なぜこの当たり前のアプローチが見えなかったのか…。係数が有理数より広い範囲になる3次方程式に対して、無意識の恐怖感があったのかもしれない。

【8】 あとは3次方程式④を解くだけ。理論的には必須でないけど、計算・表記の簡潔化のため、まず④の分数を解消しよう。分数解消だけが目的なら、 t = z/4 と置いて両辺を 64 倍すればいいのだが、その変換だと、2次項を消すとき(3 で割る処理が入るので)再び分数が生じる――そこでまた分数を解消するのは二度手間のようにも思えるので、試しに「最初から2次の係数が 3 の倍数になる」ようにしてみる。処理自体は、次のような単純な内容。

変数の変換(分数解消)。 t = z/12 と置いて:
  [1/(12⋅12⋅12)]z3 + [(1 − 13)/(12⋅12⋅4)]z2 − [1/(12⋅4)]z + [(−3 + 13)/(4⋅4)] = 0
3次の係数を 1 に戻すため、両辺を 123 倍すると:
  z3 + (3 − 313)z2 − 36z + (−324 + 10813) = 0
これで希望通りの形になった。

さて、2次項を消すには z = y − (2次の係数)/3 と置けばいい――もし④で直接 t = s − (2次の係数)/3 と置換すれば、直ちに④の2次項を消せたのだが、そのアプローチだと分数計算が面倒そうなので、いったん t = z/12 と置いて両辺を 1728 倍したわけである。この方法は良いことずくめではなく、1728 倍のせいで「分数がない代わり、係数の数値がでかくなる」というトレードオフがある。

† 少なくとも手計算の場合、(i) 有理係数の3次方程式については分数を解消した方がいいが、 (ii) その際、もし有理数解が存在する可能性があるなら、分数を解消できる最小限度の変数変換に留めた方がいい(有理数解の有無のチェックの効率化のため)。ここでは有理数解が無いことが明白なので(そもそも有理係数ですらない)、2次の係数が 3 の倍数になるように置換しても構わない(必須ではないが、その方が次のステップが簡単になる)。

変数の再変換(2次項除去)。 z = y − (3 − 313)/3 = y − 1 + 13 と置くと、上の z の式の左辺はこうなる。
  (y − 1 + 13)3 + (3 − 313)(y − 1 + 13)2 − 36(y − 1 + 13) + (−324 + 10813)  ‥‥⑤

これを展開する。 13 を虚数単位 i のようなものと思えば、「ガウス整数の整数計算」のようなもの。その点を強調しつつ、表記と処理を簡潔化するため、以下 13 を h と書くことにする。

⑤を左から順に処理しよう。まず、恒等式…
  (A + B + C)3 = A3 + B3 + C3 + 3(A2B + AB2 + B2C + BC2 + C2A + CA2) + 6ABC 〔説明
…を使うと:
(y − 1 + 13)3 = (y − 1 + h)3
   = y3 + (−1)3 + h3 + 3(−y2 + y + h − h2 + h2y + hy2) + 6(−yh)
   = y3 + (−3 + 3h)y2 + (3 − 6h + 3h2)y + (−1 + 3h − 3h2 + h3) ア

次に、恒等式…
  (A + B + C)2 = A2 + B2 + C2 + 2AB + 2BC + 2CA 〔説明
…を使うと:
(3 − 313)(y − 1 + 13)2 = (3 − 3h)(y − 1 + h)2
   = (3 − 3h)(y2 + 1 + h2 − 2y − 2h + 2hy)
   = (3y2 + 3 + 3h2 − 6y − 6h + 6hy) + (−3hy2 − 3h − 3h3 + 6hy + 6h2 − 6h2y)
   = (3 − 3h)y2 + (−6 + 12h − 6h2)y + (3 − 9h + 9h2 − 3h3) イ

最後に、残りの部分は:
−36(y − 1 + 13) + (−324 + 10813) = −36(y − 1 + h) − 324 + 108h
   = (−36)y + (−288 + 72h) ウ

ア・イ・ウを合算すると、 y2 の項が消える:
  y3 + (−39 + 6h − 3h2)y + (−286 + 66h + 6h2 − 2h3)
h = 13 なので h2 を 13 で置き換え、 h3 を 13h で置き換えることができる:
  y3 + (−39 + 6h − 39)y + (−286 + 66h + 78 − 26h)


(ポイント)
3次式 y3 + Py + Q
に関連する2次式は
 x2 + Qx + (−P/3)3

後者の共役根が α, β なら
3次式の根は 3α + 3β


これを整理して、結局、次の3次方程式を解けばいい。
  y3 + (−78 + 6h)y + (−208 + 40h) = 0  ‥‥⑥

関連する2次方程式は:
  x2 + (−208 + 40h)x + (26 − 2h)3 = 0
  つまり x2 + (−208 + 40h)x + (21632 − 4160h) = 0
その判別式の 4 分の 1 は:
  (−104 + 20h)2 − (21632 − 4160h) = 400h2 − 10816 = −5616 = 122(−39)  ♡
従って、2次方程式の(二つの)解は:
  x = −(−104 + 20h) ± 12−39 = 104 − 2013 ± 12−39
この二つの解を…
  α = 104 − 2013 + 12−39
  β = 104 − 2013 − 12−39
…とすると、⑥の一つの解は:
  y1 = 3α + 3β
   = 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39]

残りの二つの解は:
  y2 = [(−1 + −3)/2](3α) + [(−1 − −3)/2](3β)
  y3 = [(−1 − −3)/2](3α) + [(−1 + −3)/2](3β)

† −(−26 + 2h)3 = (26 − 2h)3 = 263 − 3⋅262⋅2h + 3⋅26⋅4(h2) − 8(h3) = 17576 − 4056h + 312(13) − 8(13h) = 21632 − 4160h

‡ (−104 + 20h)2 = 10816 − 4160h + 400h2 の −4160h は残りの部分の +4160h と相殺。 h2 = 13 なので、2次方程式の解の根号下は普通の整数になり、 h = 13 が入り込まない(その部分には二重根号が生じない)。――次のようにすると、比較的簡単に⑥から ♡ までまとめて処理できる。
  d1 = (−104 + 20h)2 = (−8⋅13 + 20h)2 = [4(−2⋅h2 + 5h)]2 = 16(4h4 − 20h3 + 25h2)
  d2 = (26 − 2h)3 = (2h2 − 2h)3 = [2(h2 − h)]3 = 8(h6 − 3h5 + 3h4 − h3)
…とすると:
  ♡ = d1 − d2 = 8(8h4 − 40h3 + 50h2) − 8(h6 − 3h5 + 3h4 − h3)
   = 8(−8h2 + 40h − 50)(−h2) + 8(h4 − 3h3 + 3h2 − h)(−h2)
   = 8(h4 − 3⋅13h − 5h2 + 39h − 50)(−h2) = 8(169 − 5⋅13 − 50)(−13) = 8⋅54(−13) = 8(2⋅9⋅3)(−13) = 16⋅9(−39)

【9】 今求めた解 y = y1, y2, y3 は、 2 回の変数変換 t = z/12 と z = y − 1 + 13 の産物であった。 y = y1 について、変換のチェーンを逆にたどると:
  z = 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39] − 1 + 13
従って:
  t = {3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39] − 1 + 13}/12

これが④の一つの解。同様に、④の残りの二つの解も (y − 1 + 13)/12 に y2, y3 を入れたもの。④の3解は cos T, cos 3T, cos 4T だが、3解のどれがどれか?

これら三つの cos はもちろん実数であり、3次方程式④は(従って⑥も)、三つの実数解を持つ。立方根の主値、つまり一番シンプルな y1 = 3α + 3β が、⑥の最大の解。従って、この場合、それに基づく上記の…
  t = (3α + 3β − 1 + 13)/12  〔これを t1 とする〕
…が、④の最大の解。 T = (360°/13) = 約 28° であり、 θ = 0° ~ 180° の範囲では cos θ は角度がでかいほど値が小さいので、 cos T, cos 3T, cos 4T の中で一番大きいのは cos T。それが t1 である!

cos 2π/13 の根号表現
  {−1 + 133[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39]}/12
   = 0.8854560256 532… (葉っぱ紅葉の頃、鬼の頃)

〔付記〕 3[104 − 2013 ± 12−39] = 2(3[13 − 5/213 ± 3/2−39])

*

これに関連しては付け加えるべきことが多々あるが、今はたわいもないことを一つメモしておく。

Morrie の法則
  cos (1π/9) cos (2π/9) cos (4π/9) = 1/8
…のような、次の「超 Morrie の法則」が成り立つ。
  (cos [1π/13] + cos [5π/13])(cos [2π/13] + cos [10π/13])(cos [4π/13] + cos [20π/13]) = 1/8

最初のメモの ABC = −1/8 の符号を変えただけのトリビアルな式だが、変な場所をうろうろしたせいで、これに出会えた。分子が倍々になってるのは、 g = 2 のべきとして周期を作ってるから。もっと露骨に書くと:
  (cos [2π/13] + cos [16π/13])(cos [4π/13] + cos [32π/13])(cos [8π/13] + cos [64π/13]) = 1/8

最初のメモの【2】以降は道を踏み外している。けれど、回り道をしたからこその収穫もあった。

*

付録2 / Appendix 2

How cos(2*Pi/13) can be found algebraically in a simple way.
cos 2π/13 = {−1 + 13 + 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39]}/12

This appendix, added for English-speaking readers, is actually more detailed and informative than the main text in Japanese, except we omit a lot of calculations here. For example, we may just say “one can show” without explaining how. Detailed step-by-step calculations may be found above; you can just see equations (which are language-neutral) and perhaps easily guess what’s going on, even if written in a language you don’t speak. Basically, we just use cos(x) * cos(y) = [cos(x+y) + cos(x−y)]/2 again and again, just like one might do when handling a regular heptadecagon. The essential idea is by John Casey (1888) [See p. 220, Exercises XXXVI],
https://archive.org/details/treatiseonplanet00caseuoft/treatiseonplanet00caseuoft/page/220/mode/1up
and by E. W. Hobson (1891) [See p.111 (4)]:
https://archive.org/details/treatiseonplanet0000ewho/page/111/mode/1up

More references for the p=13 case may be found at the end of the previous note, e.g. Bachmann (in German) and Mathews (in English), though our method based on Casey–Hobson is perhaps simpler and more elegant. Richmond also used this idea (for p=17) in A Construction for a Regular Polygon of Seventeen Sides (1892), which is much simpler than the previously known methods, so elegant that Hardy–Wright copied it in §5.8 “Construction of the regular polygon of 17 sides”. Either way, the real starting point is of course Gauss (Disq. Arith., art. 354, etc.); the original version in Latin and translations in German or in French are freely available online.

\\ The exact value of cos(2*Pi/13)
\\ A simple surd expression, explained
\\ PARI/GP 2024-04-30

cbrt(x) = sqrtn(x,3);   \\ the principal cube root of x

( -1 + sqrt(13) + \
  cbrt( 104 - 20*sqrt(13) + 12*sqrt(-39) ) + \
  cbrt( 104 - 20*sqrt(13) - 12*sqrt(-39) ) ) / 12
 \\ 0.8854560256532

cos( 2*Pi/13 )
 \\ 0.8854560256532

\\ How does this work?

\\ #1/3#  Define:
 T = 2*Pi/13;   h = sqrt(13);

\\ One can show that
 cos(T) + cos(3*T) + cos(4*T)  \\ is
 a = (-1+h)/4  \\ and
 cos(2*T) + cos(5*T) + cos(6*T)  \\ is
 b = (-1-h)/4
\\ One can also show that
 cos(T)*cos(3*T) + cos(3*T)*cos(4*T) + cos(4*T)*cos(T)
\\ is -1/4 (this is easy) and
 cos(T)*cos(3*T)*cos(4*T)  \\ is
 (3-h)/16  \\ (to show this, use b).
\\ So we know that the roots of
 F(t) = t^3 + (1-h)/4*t^2 - 1/4*t + (-3+h)/16;  \\ are
 c431 = [ cos(4*T), cos(3*T), cos(T) ]
\\ We just need to solve the cubic eq F(t)=0. Verify:
 polroots(F(t))

\\ #2/3#  Put t = z/12; multiply F(z/12) by 12^3; and we have
 F1(z) = z^3 + (3-3*h)*z^2 - 36*z + (-324+108*h);
\\ [ Doing this is not absolutely necessary, but it's nice
\\ that the coefficients are algebraic integers in the form
\\ of Z + Z*h. In fact, various "cheats" are possible
\\ by using H = quadgen(13*4,'H) instead of h = sqrt(13).
\\ H behaves like h, except it's not a real number nor a
\\ complex number: e.g. H^2=13, H^3=13*H,
\\ whereas h^2=13.000..., h^3= 46.872... ]
\\ The roots of F1(z) are 12 times bigger. Verify:
 polroots(F1(z))  \\ c431 * 12
 [ z/12 | z <- polroots(F1(z)) ]  \\ c431

\\ Put z = y-(3-3*h)/3 = y-1+h to get the depressed cubic eq:
 F2(y) = y^3 + (-78+6*h)*y + (-208+40*h);
\\ Verify:
 [ (y-1+h)/12 | y <- polroots(F2(y)) ]
 c431

\\ #3/3#  Cardano's method. Find the zeros of F2(y), or of
\\ y^3 +  (-78+6*h)*y +  (-208+40*h),  by finding the zeros of
\\ x^2 + (-208+40*h)*x - ((-78+6*h)/3)^3,  or of
 G(x) = x^2 + (-208+40*h)*x + (21632-4160*h);
\\ The roots of G(x) are
 alpha = 104-20*h + 12*sqrt(-39)
 beta = 104-20*h - 12*sqrt(-39)
\\ Verify:
 polroots(G(x))

\\ The cubic F(t) has obviously three real roots:
\\ cos(T), cos(3*T), cos(4*T). So F2(y) too has three real roots.
\\ Since by definition the real part of the principal cube root
\\ of a given x is greater than the other 2 cube roots of x,
\\ the real number cbrt(alpha) + cbrt(beta)
\\ = cbrt(alpha) + cbrt(conj(alpha)), say y1,
\\ is the largest root of F2(y); so (y1-1+h)/12, say
 t1 = ( sqrtn(alpha,3) + sqrtn(beta,3) - 1 + h ) / 12
\\ is the largest among the 3 roots of F(t) = (y-1+h)/12,
\\ which are cos(T), cos(3*T), cos(4*T); hence t1 = cos(T) =
 cos(2*Pi/13)  \\ q.e.d.

PS (May 2, 2024): Now we have these cute expressions:
cos (2π/13) = (−1 + 13 + ϒ)/12

sin (2π/13) = {[130 + 213 + (2 − 213 − ϒ)ϒ]}/12

where ϒ = 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39]

So the primitive thirteenth root of unity (the principal value) is:

ζ13 = (−1 + 13 + ϒ)/12 + i {[130 + 213 + (2 − 213 − ϒ)ϒ]}/12

\\ primitive 13th root of unity (a surd expression)
\\ PARI/GP 2024-05-02

U = sqrtn( 104 - 20*sqrt(13) + 12*sqrt(-39), 3 ) + \
    sqrtn( 104 - 20*sqrt(13) - 12*sqrt(-39), 3 )
 \\ 8.0199210323745294576

z13 = ( -1 + sqrt(13) + U ) / 12 + \
 I * sqrt( 130 + 2*sqrt(13) + (2-2*sqrt(13)-U)*U ) / 12
 \\ 0.88545602565320989590 + 0.46472317204376854565*I

z13 ^ 13
 \\ 1.0000000000000000000

Much better than the first try!

PPS (May 4, 2024): Now we have similar nice expressions for cos(Pi/13) and sin(Pi/13). “The explicit expression is quite complicated” is what MathWorld says about sin(Pi/13). We have to disagree, because it can be rather simple:
cos (π/13) = (1 + 13 + W)/12

sin (π/13) = {[130 − 213 − (2 + 213 + W)W]}/12

where W = 3[−104 − 2013 + 12−39] + 3[−104 − 2013 − 12−39]

So the primitive twenty-sixth root of unity (the principal value) is:

ζ26 = (1 + 13 + W)/12 + i {[130 − 213 − (2 + 213 + W)W]}/12

\\ primitive 26th root of unity (a surd expression)
\\ PARI/GP 2024-05-04 06:39 UTC

W = sqrtn( -104 - 20*sqrt(13) + 12*sqrt(-39), 3 ) + \
    sqrtn( -104 - 20*sqrt(13) - 12*sqrt(-39), 3 )
 \\ 7.0457505336486350327

z26 = ( 1 + sqrt(13) + W ) / 12 + \
 I * sqrt( 130 - 2*sqrt(13) - (2+2*sqrt(13)+W)*W ) / 12
 \\ 0.97094181742605202715 + 0.23931566428755776714*I

exp(2*Pi*I/26)
 \\ 0.97094181742605202715 + 0.23931566428755776714*I
Somewhat complicated, but not “quite complicated”:
PNG Image: sin(π/13), sin(2π/13), surd expressions
[Click to enlarge]
\\ sin(Pi/13) explicitly
\\ PARI/GP 2024-05-04 07:07 UTC

sqrt( 130 - 2*sqrt(13) - ( 2 + 2*sqrt(13) + \
 sqrtn(-104-20*sqrt(13)+12*sqrt(-39),3) + \
 sqrtn(-104-20*sqrt(13)-12*sqrt(-39),3) \
 ) * ( sqrtn(-104-20*sqrt(13)+12*sqrt(-39),3) + \
 sqrtn(-104-20*sqrt(13)-12*sqrt(-39),3) ) ) / 12
\\ 0.23931566428755776714875372626021189520317302273831

sin(Pi/13)
\\ 0.23931566428755776714875372626021189520317302273831

Finding surd expressions for cos and sin Pi/13 was painless, because the same method already used for cos and sin 2*Pi/13 can be reused, the only difference being a few signs. Specifically, we started at 5:33 UTC (May 4, 2024) from cos(2T)+cos(5T)+cos(6T), where T = 2*Pi/13, and got cos(Pi/13) at 5:49 in 16 minutes, from which we got sin(Pi/13) at 6:08 in 19 minutes. Most of the time spent was for taking notes and double-checking, rather than actual calculation. This method is simple and nice, but may not be powerful enough to handle exp(Pi*I*m/13) with an arbitrary m ∈ Z. As it is now, maybe not good for m = 3, 6, 7, 10, unless using messy ω’s.

PPPS (May 9, 2024): A lazy, but even simpler radical expression for sin(Pi/13) is:
 sin (π/13) = {[144 − (1 + 13 + W)2]}/12
where W = 3[−104 − 2013 + 12−39] + 3[−104 − 2013 − 12−39] like above. More explicitly:
 sin (π/13) = {[144 − {1 + 13 + 3[−104 − 2013 + 12−39] + 3[−104 − 2013 − 12−39]}2]}/12
Also, using the same W:
 cos (π/26) = {[78 + 613 + 6W]}/12 = sin (6π/13) = sin (7π/13)
 sin (π/26) = {[66 − 613 − 6W]}/12 = cos (6π/13) = −cos (7π/13)
This solves the m = 6, 7 cases mentioned above (simple surd expressions not depending on ω’s).

\\ Simple radical expressions for exp(2*Pi*I/26), exp(2*Pi*I/52);
\\ the 26th and 52nd primitive roots of unity (principal values)
\\ PARI/GP 2024-05-09

W = sqrtn( -104 - 20*sqrt(13) + 12*sqrt(-39), 3 ) \
  + sqrtn( -104 - 20*sqrt(13) - 12*sqrt(-39), 3 )
\\ 7.0457505336486350327

( 1 + sqrt(13) + W ) / 12
\\ cos (Pi/13) = 0.97094181742605202715

sqrt( 144 - (1 + sqrt(13) + W)^2 ) / 12
\\ sin (Pi/13) = 0.23931566428755776714

sqrt( 78 + 6*sqrt(13) + 6*W )/12
\\ cos(Pi/26) = sin(6*Pi/13) = 0.99270887409805399280

sqrt( 66 - 6*sqrt(13) - 6*W )/12
\\ sin(Pi/26) = cos(6*Pi/13) = 0.12053668025532305334

exp( 2*Pi*I/26 )
\\ 0.97094181742605202715 + 0.23931566428755776714*I

exp( 2*Pi*I/52 )
\\ 0.99270887409805399280 + 0.12053668025532305334*I

⁂


2024-05-02 ζ13(ゼータ・サーティーン) やつの後ろに立つな…時間が惜しければ

#遊びの数論 #1 の原始根 #円周13等分

ガウスは「7角形・13角形などの作図の研究は、時間の無駄だからやるな」と警告した――でも「折り紙では正7角形を作れる」とかの遊びもあり、全くの無駄とも言い切れない。あくまで遊び心で、次の変てこな数を見ていただこう。

ϒ = 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39] = 8.019921032374…

この数を使うと:
  ζ13 = (−1 + 13 + ϒ)/12 + i {[130 + 213 + (2 − 213 − ϒ)ϒ]}/12
   = 0.8854560256532… + 0.4647231720437… i

ζ13 の意味は「13乗するとちょうど 1 になる複素数」。数論では基本的なコンセプトの一種だけど、この根号表現を見たことがある人はいないでしょう…。既存のどの文献・資料・ウェブページにも載ってないかも。まじめな数論なら、こんな無理やりな根号表現をせず、 exp(I*2*Pi/13) で終わりだし。でも「遊びの数論」としては、なかなかすてきでしょ?!

*

【10】 前回、われわれは cos (2π/13) の根号表現を導いた。
  cos (2π/13) = {−1 + 13 + 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39]}/12

これが何の役に立つのか? 気まぐれにさまよっているだけで、あまり深い考えはないけど、「有理数に 13 を添加した拡大体」の範囲に係数を持つ3次方程式を解いたら、こんなことになりました…というプロセスは、いわば「森を見ないで、一本の木に触れ、その確かな手触り・樹脂の香りを味わう」といったところか。

現代の抽象代数では「木を見て森を見ず、ではいけません。高所に登って全体の構造を見渡しましょう」というのが主流になっていて、ややもすると「木って何ですか。森を見たことはありますが、木って何だか知りません」というような傾向がある。「森の構造ならよく知っているが、実際に森の中を歩いたことはない。木に触ったこともない」というのでは、寂しい。

さて t = cos (2π/13) を求めたなら、 s = sin (2π/13) はどうなるか?というのが、自然な問いだろう。 t は 1 の原始13乗根の主値 ζ13 の実部、 s は ζ13 の虚部。三平方の定理(と値の正負の考慮)によれば、 s は 1 − t2 の(正の)平方根。

表記の簡潔化のため 13 を h と略し、さらに次の略記法を使う:
  u1 = 3[104 − 2013 + 12−39]
  u2 = 3[104 − 2013 − 12−39]
前回の 3α3β に当たる。

すると t の分子は −1 + h + u1 + u2 となり、
  t2 = (−1 + h + u1 + u2)2 / 122
…を 1 から引いたものの平方根を求めればいい。恒等式…
(A + B + C + D)2 = A2 + B2 + C2 + D2 + 2AB + 2AC + 2AD + 2BC + 2BD + 2CD
…を使い、 h の意味から h2 = 13 であることに注意すると:
  (−1 + h + u1 + u2)2 = 1 + h2 + (u1)2 + (u2)2 − 2h − 2u1 − 2u2 + 2hu1 + 2hu2 + 2u1u2
   = 14 + (u1)2 + (u2)2 − 2h − 2(u1 + u2) + 2h(u1 + u2) + 2u1u2
この第2・第3項を最後の項と組み合わせると (u1 + u2)2 = (u1 + u2)(u1 + u2) に等しいので:
   = 14 − 2h − 2(u1 + u2) + 2h(u1 + u2) + (u1 + u2)(u1 + u2)
   = 14 − 2h + [−2 + 2h + (u1 + u2)](u1 + u2)
   = 14 − 2h − (2 − 2h − u1 − u2)(u1 + u2)
  ∴ t2 = [14 − 2h − (2 − 2h − u1 − u2)(u1 + u2)] / 144

従って:
  1 − t2 = 144/144 − [14 − 2h − (2 − 2h − u1 − u2)(u1 + u2)] / 144
   = [130 + 2h + (2 − 2h − u1 − u2)(u1 + u2)] / 144
  ∴ s = (1 − t2) = [130 + 2h + (2 − 2h − u1 − u2)(u1 + u2)] / 12

略記法を元に戻すと:

〔画像表示/クリックで拡大〕
sin(2π/13) の根号表現
〔テキスト表示〕
√{130 + 2√13 + [2 − 2√13 − 3√(104 − 20√13 + 12√−39) − 3√(104 − 20√13 − 12√−39)]
× [3√(104 − 20√13 + 12√−39) + 3√(104 − 20√13 − 12√−39)]} / 12

いくら何でも、これでは読みにくい。そこで (u1 + u2) の部分を ϒ としよう(−u1 − u2 は −ϒ となる)。 ϒ はギリシャ文字 ὖ ψιλόν の大文字の異字体で、内容的には前回の y1 に当たる(式⑥参照)。この表記を使うと、
  s = {[130 + 213 + (2 − 213 − ϒ)ϒ]}/12
…となり、前回得た cos とまとめて、次のように整理できる。

1 の原始13乗根の主値〔バージョン2〕
3次式 y3 + (−78 + 613)y + (−208 + 4013) は三つの実数の根を持つ。そのうち最大のものを
  ϒ = 8.0199210323 745…
とする。次の根号表現が可能。
  ϒ = 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39]
このとき:
  cos (2π/13) = (−1 + 13 + ϒ)/12 = 0.8854560256 532… (葉っぱ紅葉の頃、鬼の頃)
  sin (2π/13) = {[130 + 213 + (2 − 213 − ϒ)ϒ]}/12 = 0.4647231720 437… (城よ、何見る、独り何思う)
  ζ13 = cos (2π/13) + i sin (2π/13) = cis (2π/13) = exp (2πi/13) = e2πi/13
   = (−1 + 13 + ϒ)/12 + i {[130 + 213 + (2 − 213 − ϒ)ϒ]}/12

検算用コード

〔追記〕 上記 sin の式は、単に上記 cos の式を c として 1 − t2 の平方根を計算することでも得られる(2024年5月9日)。

このうち三角関数表現と指数関数表現は、この分野で常用される。一方、 13 などを含む根号表現は、極めて特殊的。それ自体にはほとんど用途がなく、文献上、見たこともない。とはいえ、小さい素数 p について 1 の p 乗根は昔から深く研究されているので、本質的にはこの形式も既に知られているに違いない。円周13等分の根号表現との関連では、この「バージョン2」の導出は、古い教科書 [1][2] の簡単化になっている可能性がある。歴史的背景は次の通り。

*

この検討は、趣味的な娯楽数論(recreational number theory)に属する。 ζ13 の根号表現やその導出を簡単化できたとしても、現代のまじめな数論上において特に価値があるわけでもなく、21世紀の研究者は、こんなことに興味を示さないだろう。まじめな数論から見れば「道に落ちてるゴミか雑草」程度の価値、遊びの数論としては「月夜の晩に拾つたボタン」くらいの価値かと…

Gauß 自身、円周等分の研究に関連して、次の警告を発している。「p が Fermat 素数でない場合の円周 p 等分では、出発点となる有理係数の多項式が3次以上で、それを簡約できない」――という趣旨のことを大文字で叫び、「その証明は本書の範囲外であるが」のようなことをつぶやいてから…

[...] quod tamen monendum esse duximus, ne quis adhuc alias sectiones praeter eas, quas theoria nostra suggerit, e.g. sectiones in 7, 11, 13, 19 etc. partes, ad constructiones geometricas perducere speret, tempusque inutiliter terat.

(大意)これについてはしかし警告されるべきであると、われわれは勘案した。誰かがさらに他の分割を、われわれの理論が示唆するところを越えて――例えば 7, 11, 13, 19等分などを――幾何学的作図で行うことを望み、時間を無駄に費やしては、いけないので。

p を 3 以上の素数とする。 Gauß は「p が Fermat 素数なら、正 p 角形は作図可能」を証明したもが、その逆「p 角形が作図可能なのは p が Fermat 素数の場合に限られる」について、あやふやだった可能性がある。けれど結論として Gauß の警告は、正鵠を射ている。

歴史によると、(不可能と分かる前はもちろん)不可能という結論が出た後でも、角3等分の作図法を「発見」する人々が多かったという。 1775年―― Gauß が Disquisitiones を執筆した20年ほど前――、フランスのアカデミーでは「査読する時間が無駄なので、角3等分の論文はもう一切受け付けない」と決議した。同様に「正17角形が作図可能と分かった以上、もしかしたら正7角形とかも…」と考える人々が現れ、正7角形などの作図法の研究を始めても、おかしくない。それを見越して Gauß は「不可能ですよ。時間の無駄」とくぎを刺したのだろうか。

ここでいう「作図」は、ギリシャ的な意味での作図; 目印のない定規とコンパスだけを使い、代数的には「2次方程式までの範囲」に当たる。一方、円周等分の cos, sin を「有理係数の多項式の根」として扱うことは、「2次方程式まで」の制限がないのでもっと広い問題となり、奥が深い。

† L’Académie a pris, cette année, la résolution de ne plus examiner aucune solution des Problèmes […] de la trisection de l’angle
https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k3574z/f68.item

⁂


2024-05-04 cos (π/13) と sin (π/13) 1 の26乗根

#遊びの数論 #1 の原始根 #円周13等分



何乗根までやれば
気が済むんだ?


円周に関しては「13等分」が主で「26等分」は従だが、角度表記としては 2π/13 より π/13 の方がシンプルで基本的に見える。

前回までとほとんど同じ方法で cos π/13 と sin π/13 の(つまり 1 の原始26乗根の主値の)根号表現が得られる。数カ所、符号が変わるだけ。

このメモの話題は符号が紛らわしい。符号のミスがあったらごめんね…

*

【11】 T = 2π/13 とする。 cos (π/13) = −cos (12π/13) = −cos 6T を求める。
  a = cos T + cos 3T + cos 4T = (−1 + 13)/4
  b = cos 2T + cos 5T + cos 6T = (−1 − 13)/4
…ということは、分かっている(【1】②)。【7】と同様に:
  cos 2T cos 5T + cos 5T cos 6T + cos 6T cos 2T = 1/4
  cos 2T cos 5T cos 6T = (3 + 13)/16

従って、次の3次式の根は cos 2T, cos 5T, cos 6T:
  t3 − [(−1 − 13)/4]t2 − (1/4)t − (3 + 13)/16
簡潔化のため 13 を h と略すと:
  t3 − [(−1 − h)/4]t2 − (1/4)t − (3 + h)/16 つまり
  t3 + [(1 + h)/4]t2 − (1/4)t − (3 + h)/16
一方、次の3次式の根は −cos 2T, −cos 5T, −cos 6T:
  t3 + [(−1 − h)/4]t2 − (1/4)t + (3 + h)/16

±cos 6T を求めたい場合、主値の関係から、後者を解いた方が便利。「前者を解いて cos 6T に当たる根号表現を求め、その符号を変えても同じこと」のように思えるかもしれないが、前者では cos 2T が最大の解なので主値になり、cos 6T の表現には ω が絡む。後者では −cos 6T が最大の解なので主値になり、ω が絡まない。

後者を選んで【8】と同様に変数を変換する。まず t = z/12 と置き 123 倍すると:
  z3 + (−3 − 3h)z2 − 36z + (324 + 108h)
次に z = y − (−3 − 3h)/3 = y + 1 + h と置くと:
  y3 + (−78 − 6h)y + (208 + 40h)
この3次式の根(主値)を W としよう。関連する2次方程式は:
  x2 + (208 + 40h)x + (21632 + 4160h) = 0
その解は x = −104 − 20h ± 12−39 なので:
  W = 3[−104 − 20h + 12−39] + 3[−104 − 20h − 12−39]
変数変換を逆にたどると:
  t = −cos 6T = cos (π/13) = (1 + h + W)/12

これで cos が求まった。従って:
  sin (π/13) = [130 − 2h − (2 + 2h + W)W] / 12  ‥‥《あ》

途中計算を省いたが【8】【10】とほとんど同じ(数カ所で + と − が入れ替わるだけ)。 sin については、こう書くこともできる:
  sin (π/13) = [130 − 2h + (−2 − 2h − W)W] / 12  ‥‥《い》

1 の原始26乗根の主値(−1 の原始13乗根)
3次式 y3 + (−78 − 613)y + (208 + 4013) は三つの実数の根を持つ。そのうち最大のものを
  W = 7.0457505336 486…
とする。次の根号表現が可能。
  W = 3[−104 − 2013 + 12−39] + 3[−104 − 2013 − 12−39]
このとき:
  cos (π/13) = (1 + 13 + W)/12 = 0.9709418174 260… (苦難多く、良いパイ無し)
  sin (π/13) = {[130 − 213 + (−2 − 213 − W)W]}/12 = 0.2393156642 875… (兄さんくさい、コオロギ虫に)
  ζ26 = cos π/13 + i sin π/13 = eπi/13
   = (1 + 13 + W)/12 + i {[130 − 213 + (−2 − 213 − W)W]}/12

この数は (ζ26)13 = −1 を、そして (ζ26)26 = 1 を満たす。

検算用コード

〔追記〕 上記 sin の式は、単に上記 cos の式を c として 1 − t2 の平方根を計算することでも得られる(2024年5月9日)。

【12】 1 の原始13乗根 ζ13 と原始26乗根 ζ26 の関係。

ζ13 に関連する ϒ = 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39] は…
  y3 + (−78 + 613)y + (208 + 4013) の最大の根。

ζ26 に関連する W = 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39] は…
  y3 + (−78  613)y + (208 + 4013) の最大の根。

根号表現を見ると、立方根号下の実部は明らかに W の方が小さく、虚部(共役)はどちらも同じなので、 W < ϒ であることが分かる。数値的には W は 7.04…、 ϒ は 8.01…、 13 は 3.60… 。それぞれ 7, 8, 3.6 で代用すると:
  cos π/13 = (1 + 13 + W)/12 ≈ 11.6/12 = 5.8/6 = 2.9/3 = (3−0.1)/3 = 1−0.033… = 0.966…
  cos 2π/13 = (1 + 13 + ϒ)/12 ≈ 10.6/12 = 5.3/6 = 2.65/3 = (2.4+0.24+0.01)/3 = 0.8833…
ϒ は W より 1 大きいけれど、 ±1 + 13 には 2 の差があるので、トータルでは cos π/13 の分子の方が 1 大きい。
  cos π/13 > cos 2π/13
…でなければならないので、つじつまは合っている。真の値は 0.9709…(苦難多く)と 0.8854…(葉っぱ紅葉)なので、前者の近似値は比較的誤差が大きく、後者の近似値は2桁正しい。 W = 7.04… を 7 とした切り捨ての大きさと、 ϒ = 8.01… を 8 とした切り捨ての小ささの関係だろう。

sin (2π/13) = {[130 + 213 + (2 − 213 − ϒ)ϒ]}/12

sin (π/13) = {[130  213 + (2 − 213 − W)W]}/12

円周等分ではよくあるパターンとはいえ、このそっくりさは印象深く、一種不気味な感じもする。
  sin (π/13) < sin (2π/13)
…なので sin (π/13) にマイナスが多いのは、コンセプト的には納得がいく。

以上が ζ13 ないし ζ26 の実部・虚部。相互関係として (ζ26)2 = ζ13 が成り立つ; 円周等分の意味から当然であり、指数関数表現では (eπi/13)2 = ei/13 という当たり前の関係、三角関数表現でも倍角の公式に過ぎない。しかし同じことでも、次のように根号表現すると玄妙…

[(1 + 13 + W)/12 + i {[130 − 213 + (−2 − 213 − W)W]}/12]2 = (−1 + 13 + ϒ)/12 + i {[130 + 213 + (2 − 213 − ϒ)ϒ]}/12

*

Wolfram Language の Developer Utilities Package とかいうものに TrigToRadicals(三角関数の値を根号表現に変換)というコマンドがあるらしい。試したわけではないが、 MathWorld の記述によると Developer`TrigToRadicals[Sin[Pi/13]] の出力は The explicit expression is quite complicated だという。われわれが得た明示的表現は、上記のように比較的シンプルで、 W のような一時変数を使わなくても sin(Pi/13) をベタで1行表記できる(下記画像)。「専用ソフトでコンピューター処理しても quite complicated な事柄」を手計算で軽妙に扱えてるとしたら、喜ばしい。もっとも、数式処理ソフトは、高度な理論を駆使して、可能である限り、あらゆる三角関数表現を根号表現に変換するのだろう。「13等分」のような比較的単純な等分において、汎用処理とは別の抜け道があったとしても不思議はない。

sin(π/13) の根号表現
この画像では《あ》の表記が使われている(クリックで拡大)

最初のメモでうまく処理できなかった③の4次式については、係数に無理数があるものの、「筆算の割り算」という原始的方法で突破可能と判明した(やればできたのに、書いた時点では試しもしなかった)。その件については後日…

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2024-05-09 円周13等分・多少の進展 速報

#遊びの数論 #1 の原始根 #円周13等分

sin π/13 などの根号表現に関連して、先日のメモには改善の余地がある。円周13等分に関連して、52等分を考えることも役立つ。 MathWorld が「相当複雑」と呼ぶ sin π/13 の代数解だが、その気になれば 10~20 個くらいの整数を使ってきれいに表現可能。

短い表現の探索は、本質的には娯楽数論に属する。「四つの 4 を使って 25 を作る式は?」みたいなパズルと同様。

*

先日 cos (π/13) と sin (π/13) の根号表現を紹介した
  W = 3[−104 − 2013 + 12−39] + 3[−104 − 2013 − 12−39]
と置くと、
  cos (π/13) = (1 + 13 + W)/12
…となる。それを使って、次の表現が得られる:
  sin (π/13) = {[130 − 213 − (2 + 213 + W)W]}/12
単純に三平方の定理を使って cos の式を加工すると、もっと短い次の形になる。
  sin (π/13) = {[144 − (1 + 13 + W)2]}/12

前者の表現と、後者の表現は、実質同じ。後者を展開して、整理できるところをすれば、前者になる。例えば、後者の丸かっこ2乗を計算して、発生する整数 1, 13 を先頭の 144 から引けば、前者の整数 130 になる。このような「計算できる部分」を計算していないという意味で、後者は怠惰。

しかし、前者の形を導くにしても、先日のメモでは W を u1 + u2 に分解して、やや複雑な計算を行っていた――この導出の部分に、改善の余地があるだろう。上記のような短い形から、直接 W を操作した方が簡単。

u1u2 という積は簡約可能なので、W を u1 + u2 に分解したら、もっときれいにできないか?というのは自然な発想であり、先日の導出は(試行錯誤としては)妥当な線だが、得られた形からすれば、結果論として W をバラす必要はなかったようだ。

sin (2π/13) の同様な式についても、導出の簡単化が可能だろう。

怠惰であることを度外視し、短さだけを優先するなら、後者の表現の方が短い(正17角形に関連する sin より、むしろ短いくらいだ)。 W を使わず明示的に記すと:
  sin (π/13) = {[144 − {1 + 13 + 3[−104 − 2013 + 12−39] + 3[−104 − 2013 − 12−39]}2]}/12

*

1 の原始52乗根に関連して、次の面白い表現を見つけた(W の意味は上と同じ)。
  cos (π/26) = {[78 + 613 + 6W]}/12 = sin (6π/13) = sin (7π/13)
  sin (π/26) = {[66 − 613 − 6W]}/12 = cos (6π/13) = −cos (7π/13)
sin の表現では 6 が並ぶ。ちゃめっ気を出して、こう書くこともできる。
  sin (π/26) = {[66 − 613 − 6W]}/(2⋅6)

これらも、円周13等分と関連している。

われわれがここまで使ってきた手法には制約があって、 3T と 5T の角度の cos, sin を直接きれいに扱えない(T = 2π/13)。ここで「きれいに」というのは、「1 の原始立方根 ω に依存しない根号表現」という意味。

三つの実数の根を持つ3次式について、立方根の主値を使って最大の根・最小の根を容易に表現できるのに、真ん中の根の表現は面倒――もちろん ω を使えばどうにでもなるのだが、実際にやってみると、 cos はともかく sin があまり美しくならない。原理的な制約なのかもしれないが、単に研究不足なのかもしれない…。17等分では、2次式だけで済むので、このような悩みは生じない。

上記のように、52乗根からのからめ手を使うことで、そのうち 3T のケースを解決(というより回避)できる。 5T のケースも「そのまた半分」と考えることが可能だろう(5T = 10π/13 は 3π/13 とほぼ同じで、それは上記 6π/13 の半分の角度に当たる)。このアイデアは、円周7等分・9等分などにも応用可能かもしれない。

T, 2T, 4T などと比べ式の形の対称性が失われてしまい、本道を外れているような予感もする。

式の簡潔さの点では、この「抜け道」に不満はない。 3T の cos, sin の「ω に依存しない表現」について、これまでほとんど手掛かりが得られなかったので、(正道から外れているとしても)一歩前進。

検算用コード

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2024-05-11 1 の原始13乗根・12種 「普通」の根号表現

#遊びの数論 #1 の原始根 #円周13等分 #3次方程式

360° の n/13 の角度の cos と sin を次の形式で(平方根・立方根までの範囲で)書くことができる。

n を 13 の倍数以外の整数として、 n が mod 13 の平方剰余か非剰余かに応じて σ = ±1 とすると:
  e2πin/13 = cos (2πn/13) + i sin (2πn/13) = (−1 + σ13 + ϒ)/12 ± i {[144 − (−1 + σ13 + ϒ)2]}/12
  ここで ϒ = 3[104 − σ2013 + 12−39]ωλ + 3[104 − σ2013 − 12−39]ω−λ

複号は sin の正負によって決まる: n ≡ 1, 2, …, 6 ならプラス、さもなければマイナス。

ω = (−1 + −3)/2 とする。 λ の値は、n ≡ ±1, ±2 なら 0、 n ≡ ±4, ±6 なら +1、 n ≡ ±3, ±5 なら −1。

*

これは、12種類の式をまとめて書いたメタ表現(このメタ表現自体は「根号表現」ではない)。左辺の指数関数や三角関数も、もちろん「根号表現」ではないが、それと等しい右辺は、 n = 1, 2, …, 12 の個々のケースにおいて、加減乗除・平方根・立方根の範囲の表現(根号表現)。

この形式の12種の根号表現は、元となる二つの3次方程式から自動的に出る。 3次方程式の解の主値を得た瞬間から、このように書けることは分かり切っていたのだが、「ω を使わないでこれを書け」という縛りを付けると、少しパズルっぽくなる。

以上は「パズルの答え」ではなく、「普通に考えるとこうなるけど」という参考。パズルの趣旨は、この式から ω を除去することにある。それについては次回以降に。

\\ exp(2*Pi*I*n/13) as surd expressions
\\ PARI/GP 2024-05-11

e13(n) = {
 if( type(n) != "t_INT", return );
 n %= 13;
 my( o1 = ( -1 + sqrt( -3 ) )/ 2 );
 my( o2 = ( -1 - sqrt( -3 ) )/ 2 );
 my( L, R, s, j );
 if ( n == 1 || n == 2 || n == 13-1 || n == 13-2,
      L = 1; R = 1,
      n == 4 || n == 6 || n == 13-4 || n == 13-6,
      L = o1; R = o2,
      n == 3 || n == 5 || n == 13-3 || n == 13-5,
      L = o2; R = o1,
      return(1) );
 s = if( n == 1 || n == 4 || n == 9 || n == 16%13 || n == 25%13 || n == 36%13, 1, -1 );
 j = if( n <= 6, I, -I );
 my( a = 104 - s*20 * sqrt(13) + 12*sqrt(-39) );
 my( b = 104 - s*20 * sqrt(13) - 12*sqrt(-39) );
 my( U = sqrtn( a, 3 ) * L + sqrtn( b, 3 ) * R );

 ( -1 + s*sqrt(13) + U )/12 + j*sqrt( 144 - ( -1 + s*sqrt(13) + U )^2 )/12;
}

for( n = 1, 12, \
 print( "n = ", n ); \
 print( e13( n ), " : surd" ); \
 print( exp(2*Pi*I*n/13), " : exp" ) )

/*
n = 1
0.88545602565321 + 0.46472317204377*I : surd
0.88545602565321 + 0.46472317204377*I : exp
n = 2
0.56806474673116 + 0.82298386589366*I : surd
0.56806474673116 + 0.82298386589366*I : exp
n = 3
0.12053668025532 + 0.99270887409805*I : surd
0.12053668025532 + 0.99270887409805*I : exp
n = 4
-0.35460488704254 + 0.93501624268541*I : surd
-0.35460488704254 + 0.93501624268541*I : exp
n = 5
-0.74851074817110 + 0.66312265824080*I : surd
-0.74851074817110 + 0.66312265824080*I : exp
n = 6
-0.97094181742605 + 0.23931566428756*I : surd
-0.97094181742605 + 0.23931566428756*I : exp
n = 7
-0.97094181742605 - 0.23931566428756*I : surd
-0.97094181742605 - 0.23931566428756*I : exp
n = 8
-0.74851074817110 - 0.66312265824080*I : surd
-0.74851074817110 - 0.66312265824080*I : exp
n = 9
-0.35460488704254 - 0.93501624268541*I : surd
-0.35460488704254 - 0.93501624268541*I : exp
n = 10
0.12053668025532 - 0.99270887409805*I : surd
0.12053668025532 - 0.99270887409805*I : exp
n = 11
0.56806474673116 - 0.82298386589366*I : surd
0.56806474673116 - 0.82298386589366*I : exp
n = 12
0.88545602565321 - 0.46472317204377*I : surd
0.88545602565321 - 0.46472317204377*I : exp
*/

⁂


2024-05-12 図解: 13角形の秘密 もしも角度の3等分ができたなら…

#遊びの数論 #1 の原始根 #正17角形 #円周13等分 #3次方程式

正13角形の画像。「13角形」を見たことある人は、あまりいないでしょう。ましてや「正13角形」をじっくり眺める機会なんて、日常ないかと…

画像は、円に内接する緑色の正13角形。0番から12番まで、13個の頂点を持ち(1, 3, 4 など一部のみ番号を表示)、13個の辺の長さが等しい。

こーして見ると、結構かわいい♪

もし円形のピザのようなものを13等分するとしたら、一切れの中心角は 360° の 13 分の 1。「そんな分割、割り切れない。コンパスと定規で作図するのは無理」というのが、素朴な直観。

作図不可能って結論は正しい。

でも「360÷13 が割り切れないから」といった単純な話ではなく…。 360÷17 は、ますます割り切れないように思えるけど、正17角形は作図可能

「正13角形が作図できないこと」より、「正17角形が作図できること」の方が、不思議さが大きいかも。

*

「使っていいのはコンパスと定規だけ」というルールで、正13角形の作図ができないのは、そのルールだと、与えられた任意の角を3等分することが不可能だから(180° → 60° のように、3等分の角度を作れるケースは限定的)。正13角形の場合、立方根の計算が必要で、それには角度3等分が必要となる。正17角形の場合、平方根までで足りて立方根は必要ないので、そのような問題は生じない。違いの根源は、「素数 13 から 1 を引いた 12」は素因数 3 を持つけれど、「素数 17 から 1 を引いた 16」は素因数として 2 しか持たない――という点にある。

画像で、小さな水色の円の中にある青い PA の傾きは、 PQ の傾きの 3 分の 1。下記のように PQ 自体は作図できるので、もしも角の3等分ができるなら(実際にはできない!)、PA も作図でき、APE を頂点とするひし形も作図でき、そのひし形のもう一つの頂点が、正13角形の頂点 1 の横座標に。

〔注〕 PQ は頂点 2 付近を通過するが、「PQ と円の交点」と「頂点 2」は、わずかに位置が違う: PQ によって頂点 2 の位置が決まるわけではない。

∠APB = 120° の位置に点 B を設定すると、同様のひし形から、正13角形の頂点 4 の横座標が得られ、さらに ∠BPC = 120° の点 C から頂点 3 が得られます。

Q は実際には、矢印方向のもっと遠くにある点ですが、この状況を「P を原点とする複素平面」と解釈した場合、複素数 Q の三つの立方根が A, B, C。カルダノの公式に現れる奇妙な立方根の和は、A とその共役複素数 E の和に当たります。

*

あまり一般向けではないけど、もう少しだけ具体的に…

(360/13)° を T とする。 cos T, cos 3T, cos 4T を解とする3次方程式を作ることができる(【7】④)。
  t3 + [1 − 13)/4]t2 − (1/4)t + (−3 + 13)/16 = 0
t = z/12 と置いて両辺を 1728 倍すると:
  z3 + (3 − 313)z2 − 36z + (−324 + 10813) = 0
もともとの変数 t を z の 1/12 としたのだから、 z は t より 12 倍でかい。つまり z についてのこの3次式は 12 cos T, 12 cos 3T, 12 cos 4T を根とする。画像の大きい円の半径を 12 とすると、頂点 1, 3, 4 の横座標が解。 13 を h と略し、 z = y − 1 + h と置くと【8】の⑥式を得る:
  y3 + (−78 + 6h)y + (−208 + 40h) = 0
y = 0 は、もともとの変数では z = 0 −1 + h = −1 + 13 = 2.605… なので、変数置換後の「原点」は、もともとの座標系の (2.605…, 0) になる。図の P が外接円(半径 12)の中心から、半径の 20% ほど右にずれてるのは、そのため。

正13角形の画像。このとき、関連する2次方程式…
  x2 + (−208 + 40h)x + (26 − 2h)3 = 0
…の二つの解を…
  α = (104 − 2013) + (1239)i
  β = (104 − 2013) − (1239)i
…とすると、 α, β それぞれの立方根の和として、y についての3次方程式の解を表現できる。

α は点 Q に当たるのだが、およそ 31.8 + 74.9i で、絶対値(P からの距離)が 21632 − 4160h の平方根(約 81.4)なので、図に書き込むには少々大き過ぎ、省略してある。図の範囲外というだけで、Q は作図可能なはず。なぜなら、実部(横座標)、虚部(縦座標)がどちらも整数の四則演算・平方根までの範囲で表される。

しかし複素数 α の立方根 u = 3α は作図不可能(図の A に当たる)。 u の絶対値自体も α の絶対値の立方根となる。一般には、実数の立方根であっても作図できないが、この場合、 α の絶対値は 26 − 2h の平方根であり、 PA の長さは作図可能。けれど、長さを作れても…つまり水色の小円を作図できても、その小円のどこに点 A があるのか、決定できない: 「PQ の傾きの 3 分の 1」ってことまでハッキリ分かってるのに、コンパスと定規だけだと、その「3分の1の角度」を正確に作る方法がない!

感覚的には「3等分」くらい、普通にできそうなのにね…。まぁ「コンパスと定規だけ」じゃ駄目でも、数論ではこのような立方根を(使いたければ)使うことができ、点 A の位置を表現できる。「作図」は不可能でも「根号表現」は可能、と。

2次方程式のもう一つの解 β は、α と比べ実部が等しく虚部の符号だけが反対なので(共役複素数)、横軸を挟んで Q と反対側の、オレンジの点線の方向にある。その β の立方根 v は、再び u と共役になり、図の E に当たる。そして u + v として y についての3次方程式の解の主値が得られる。 z についての式と y についての式では、変数変換の結果、「原点」の位置がずれている。数式上では、解 y を解 z に変換するため −1 + h を足してやる必要がある。画像上では、小円の原点をずらして表示しているので、ベクトル PA と PE の和がそのまま正13角形の頂点 1 の横座標 12 cos T となる。半径 1 の単位円を基準とする cos T は、もちろんその 1/12。

† 三つの実根を持つ実係数の3次式 y3 + py + q について、関連する2次式 x2 + qx − p3/27 の根を考えると: 実部の平方は q2/4、 根号下の数は負数 q2/4 + p3/27、すなわち p は必ず負、虚部の平方は正数 −q2/4 − p3/27。ゆえに、根の絶対値の平方(実部の平方と虚部の平方の和)は正数 −p3/27、根の立方根の絶対値の平方は、正数 −p/3。従って、もし平方根までの範囲で p が表されるなら、根の立方根の絶対値 (−p/3) も同じ範囲で表される(参考リンク)。

*

ここまでは「立方根」といっても、−60° < Arg ≤ +60° の範囲の主値を扱った(Arg: 複素数の偏角)。実際には、立方根は三つあり、それらは絶対値が同じで偏角が 120° ずつ異なる。 α の立方根としては、点 A だけでなく B, C に当たる複素数もある。同様に β の立方根は E, F, G の三つ。共役の位置にある二つの立方根を足し合わせることで、3次方程式の三つの解が得られる。共役複素数なので、足し合わせると、虚部が消えて実部が 2 倍に。複素数を経由しつつも、最終的に得られるのは三つの実数解。

これが Cardano の公式の、いわゆる「簡約不可能ケース」の仕組み。

*

Cardano によって公刊され「Cardano の公式」と呼ばれるものの、 Cardano 自身も「簡約不可能ケース」については理解できず、とても悩んでいたようだ――無理もない話で、当時は「複素数の立方根」どころか、「複素数」の存在自体があやふやで「不可能な数」と思われていた。それでも Cardano の研究(3次方程式については Ferro と Tartaglia による先行研究に基づく)とその出版は、歴史的には大きな一歩だった。

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2024-05-13 正13角形の頂点2についての追記 誤差 0.04° 未満

#遊びの数論 #円周13等分

「角度3等分器」ありの拡張ルールでの、正13角形の作図について。前回のメモと実質同じ方法が、Gleason によって記され、1988年に The American Mathematical Monthly に掲載されていた。その作図の様子を可視化したアニメーション GIF も、作成されている

ところで、傾きを3等分したい直線 PQ(論文の図では PK)が、頂点 2 の近くを通ることを興味深く思っていたが、これは単なる偶然らしい。「この直線と円の交点」と「本来の頂点 2」のずれが中心角 0.05° 未満であることを Gleason は指摘し、「通常のコンパスと定規ルールでは、これを近似的な正13角形の作図に利用できる」と示唆している。このニアミスについて、追記する。

† Andrew M. Gleason, Angle trisection, the heptagon, and the triskaidecagon
https://web.archive.org/web/20141105205944/http://apollonius.math.nthu.edu.tw/d1/ne01/jyt/linkjstor/regular/7.pdf

‡ https://de.wikibooks.org/wiki/Planimetrie/_Polygonkonstruktionen/_Dreizehneck

*

正13角形の画像。Gleason による図解は、われわれのカラー画像とよく似ている。どちらも半径 12 の円の、中心から右に 13 − 1 ずれた点を基準とする。

これは偶然の一致ではなく、 cos T = cos (360/13)° を根とする3次式を整理していけば、自然とこの設定になるだろう。細かい違いとして、このカラー画像では、ベクトル PA と PE の和として頂点 1 の横座標を得ている(Cardano の公式の説明を兼ねる)。 Gleason はベクトル PA の2倍の点を頂点 1 の横座標としている。どちらでも結果に違いはない。 Gleason は Cardano 形式ではなく arctan などを使って 12 cos T を表現している(見掛けは違うけど、内容的には全く同じ意味)。

13 を h と略す。オレンジの直線は (−1 + h, 0) を通り、傾きが 3(5 + 2h)/9 に等しい(これは α の実部・虚部による)。このことから直線の式が定まる。縦を y、横を x とすると、次のように書くことできる:
  y = f(x) = {[(5 + 2h)/9]x − (7 + h)/3}3
両辺を平方して y2 の式を得る。 (x, y) が半径 12 の円周に乗るのは x2 + y2 = 122 のとき。先ほど得た式と組み合わせて y2 を消去すると x の2次式になり、従って「オレンジと円の交点」の横座標 x は四則演算と平方根の範囲で表現可能。つまり、コンパスと定規だけで作図可能。題意に適する解は:
  x = (39 + 21h)/52 + (1/2)[(7299 − 1413h)/26] = 6.8099702060…
  そのとき y = f(x) = 9.8805012925… (= [122 − x2])

半径12の円に内接する正13角形の頂点 2 は、このような2次の無理数の範囲では表現不可能だから、上記の座標は、真の頂点の座標(下記)とは一致し得ない:
  (12 cos 2T, 12 sin 2T) = (6.8167769607…, 9.8758063907…)

座標で見ると、偽物(近似)は、本物と比べ、有効数字2桁ほどしか一致せず、それほど印象的でもない。画像を肉眼で観察しても、心なしか、オレンジは頂点 2 の(真上ではなく)少し左側を通過するように思える(画像自体の誤差や、思い込みもあるだろうけど)。他方、角度で言うと、この「ニセ頂点」は、円の中心から見て、 55.4240962741…° の方位。本物の頂点 2 は 360° × (2/13) = 55.384615 384615…° の方位にあるので、誤差はわずかに 0.0394808895…° に過ぎず、角度の 2′22″.1312… に当たる。論文にある within three minutes (= 3 × (1/60)° = 0.05°) という評価は正しい。よりタイトに評価すれば、誤差 0.04° 未満。

「誤差が小さいから、それで代用可能」というものでもないけど、これはこれで面白い。

*

一番面白いと感じたのは、そもそも「角度3等分器を使った正13角形の作図」という妙な話題について、真面目な(?)論文が書かれ、有名ジャーナルに掲載されていた、という事実。「真面目」といっても、娯楽・気晴らし系のトピックという扱いだろうけど…。同じ文脈において、ある種の素数の分布に関する予想なども記されている。

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2024-05-15 cos (6π/13) の二つの根号表現 ω なし

#遊びの数論 #1 の原始根 #円周13等分 #3次方程式

実係数の3次式 y3 + py + q が三つの実数根を持つ場合、最大の根(主値)は立方根の主値を使って表現可能。それ以外の2根は通常 ω を使って表現される。そのうち最小の根は、 y3 + py − q の根(主値)の符号を変えたものとして、 ω なしでも容易に表現可能。

真ん中の根について ω に依存しない根号表現を得ることは、比較的難しい。根が cos nT などのケースに限定するなら、三角関数の性質を利用した別種のトリックを使える。より一般的に、任意のケースにおいて、真ん中の根を ω なしで根号表現する方法もある。

*

【13】 T = 2π/13 とする。次の3次式は cos T, cos 3T, cos 4T を根とする(【7】④)。
  F(t) = t3 + [(1 − 13)/4]t2 − (1/4)t + (−3 + 13)/16

アイデアの核心は、これらの根の逆数を考え t = 1/u と置くこと: 得られる u についての式は、 t = cos T, cos 3T, cos 4T の逆数、つまり u = 1/t = sec T, sec 3T, sec 4T を零点とする。ところが、真ん中の根 t = cos 3T に対応する u = sec 3T は、絶対値が他の二つより大きい正の数なので、 v についての3次式の根の主値は sec 3T になる。その逆数が cos 3T。 u についての3次式を作り、その根を求めれば、どの道筋でも本質的に同じ結果となる。

比較的シンプルな直接的方法を記す(軽妙な間接的方法を後述)。 F(t) = 0 の両辺を16倍して分母を払っても、もちろん解は変わらない。 16 F(t) において t = 1/u と置き 13 を h と略すと:
  [(−3 + h)u3 − 4u2 + (4 − 4h)u + 16] / u3 = 0
左辺の分数は u = sec T, sec 3T, sec 4T のとき(に限って)値が 0 になるが、そのとき(分母 u3 は 0 でないので)分子が 0:
  (−3 + h)u3 − 4u2 + (4 − 4h)u + 16 = 0 ⇔ u = sec T, sec 3T, sec 4T
最高次の係数を 1 にするため、すぐ上の3次方程式の両辺を −3 + h で割ると(途中計算略):
  u3 + (−3 − h)u2 + (−10 − 2h)u + (12 + 4h) = 0  《か》

《か》から直ちに2次項を消してもいいが、ここでは分数計算を避けるため、2次の係数を 3 の倍数にする。 u = z/3 と置き 33 倍すると:
  z3 + (−9 − 3h)z2 + (−90 − 18h)z + (324 + 108h)
今、2次項を消すため z = y + 3 + h と置くと:
  y3 + (−156 − 36h)y + (−468 − 116h)  《き》
対応する2次式は:
  x2 + 2(−234 − 58h)x + (52 + 12h)3  《く》
《く》の根は:
  x = 234 + 58h ± 6(−9282 − 2574h)
従って《き》の根の主値を y = λ とすると:
  λ = 3[234 + 5813 + 6(−9282 − 257413)] + 3[234 + 5813 − 6(−9282 − 257413)]

変数変換を元に戻すと、《か》の解の主値は u = (3 + h + λ)/3。次の結論に至る。
  u = sec 3T = sec (6π/13) = (3 + 13 + λ)/3 = 8.2962298…
  1/u = cos 3T = cos (6π/13) = 3/(3 + 13 + λ) = 0.1205366…

この cos 3T = cos 6π/13 の表現は、分母が複雑だけど、この手法は比較的汎用性が高いと思われる。 cos 3T ではなく逆数 sec 3T の根号表現が欲しい場合には、有用かもしれない。

【14】 一方、汎用性は高くないものの、cos 3T = cos (6π/13) = cos (12π/26) に関しては、次のように考えた方が手っ取り早い(速報の後半)。

13π/26 = 90° なので、 sin (6π/13) = sin (12π/26) = cos (π/26) が成り立つ。この値は明らか正。

任意の θ に対して cos 2θ = 2 cos2 θ − 1 なので(倍角の公式)、 cos θ は (cos 2θ + 1)/2 の正または負の平方根に等しい(半角の公式)。 2θ = π/13 とすれば θ = π/26 の cos を求めることができる。 cos (π/13) = (1 + h + W)/12 であることは既に分かっているので(W の意味は【11】参照):
  cos2 (π/26) = [(1 + h + W)/12 + 1]/2 = (13 + h + W)/24
  つまり 0 < cos (π/26) = (13 + h + W)/(26)
分子・分母を 6 倍すると:
  cos (π/26) = {[78 + 613 + 6W]}/12 = sin (6π/13) = 0.9927088… (ここの国の、なまるババア)
従って:
  sin (π/26) = {[66 − 613 − 6W]}/12 = cos (6π/13) = 0.1205366… (姫におう、ゴミむすめ)

この二つの値は、1 の原始52乗根の主値の虚部・実部に当たる。同時に、角度 3T = /13 に対する cos, sin でもある。

*

自然な方法で「T, 3T, 4T の cos を根とする3次式」「2T, 5T, 6T の cos を根とする3次式」が得られる。これらの3次式に基づくと、 cos nT と sin nT の根号表現に関して、 n = 1, 2 はもともと ω を必要としない; n = 4, 6 についても、容易に ω なしの根号表現を得られる; 3次式の「真ん中の根」に対応する n = 3, 5 は比較的トリッキーだが、今回は n = 3 のケースについて、 ω に依存しない根号表現を 2 種類得た(ω を使っていいなら話は簡単)。 n = 5 のケースについても、ほぼ同様にして ω なしの根号表現を求めることができる。結局、1 の原始13乗根・12種は、どれも ω なしの根号表現が可能。

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2024-05-16 逆数を根とする3次式について 補足

#遊びの数論 #円周13等分 #3次方程式

3次式 t3 + Ht2 + Pt + Q の根が α, β, γ のとき、「逆数 1/α, 1/β, 1/γ を根とする3次式」を利用したいことがある。前回、直接的な置換 t = 1/u により、そのような3次式を構成した。一般には、根と係数の関係を利用する方が軽妙で、応用も利くだろう。

*

【15】 t3 + Ht2 + Pt + Q の根が α, β, γ のとき H = −(α + β + γ), P = αβ + βγ + γα, Q = −(αβγ) が成り立つ。このとき:
  1/α + 1/β + 1/γ = (βγ + γα + αβ)/(αβγ) = −P/Q
  (1/α)(1/β) + (1/β)(1/γ) + (1/γ)(1/α) = (γ + α + β)/(αβγ) = H/Q
  (1/α)(1/β)(1/γ) = 1/(αβγ) = −1/Q

従って 1/α, 1/β, 1/γ を根とする3次式は:
  u3 + (P/Q)u2 + (H/Q)u + 1/Q  《け》

F(t) = t3 + [(1 − 13)/4]t2 − (1/4)t + (−3 + 13)/16 の場合、
  1/Q = 16/(−3 + 13) = 12 + 413 = 12 + 4h
…なので(13 の正の平方根を h と略す)、これが「逆数を根とする3次式」の定数項となる。《け》の係数を考えると:
  P/Q = P(1/Q) = (−1/4)(12 + 4h) = −3 − h
  H/Q = H(1/Q) = (1 − h)/4 × (12 + 4h) = −10 − 2h

よって次の3次式の三つの根は、それぞれ F(t) の三つの根のどれかの逆数:
  u3 + (−3 − h)u2 + (−10 − 2h)u + (12 + 4h)

これは【13】の《か》の式に他ならない。このように導出した方が、簡単・便利だろう。

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2024-05-17 10π/13 という角度 ラスボス

#遊びの数論 #1 の原始根 #円周13等分 #3次方程式

360° の 1/13 の角度を T とすると、「T, 2T, …, 6T に対する cos」と「12T, 11T, …, 7T に対する cos」は等しい。符号の違いを除き sin も同様。よって円周13等分では T ~ 6T の 6 種の角度を考えればいい。「T, 3T, 4T」と「2T, 5T, 6T」の 2 組に分けた場合、各組の両端にある T, 4T; 2T, 6T については、 ω なしの根号表現が比較的容易。 3T, 5T の扱いは比較的難しく、特に 5T に関しては、現状、四重根号を避けられないようだ。

このような「変な角度」についての三角関数の根号表現は、ほとんど役立たない。おまけに「ω を使わずに…」という、縛りまで付けている(ω を使っていいなら、機械的に表現可能)。

けれど、結果として得られる「答え」に有用性がなくても、その導出を模索し、あれこれ試行錯誤するプロセスは楽しい。時には思いがけない発見もあり、考えを深めることもできる。

*

【16】 三つの実数の根 α > β > γ を持つ3次式 y3 + py + q について、真ん中の根 β を ω なしで表現することは比較的面倒。最大の根 α は正で主値; 最小の根 γ は負だが、符号が反対の −α, −β, −γ を根とする y3 + py − q を考えれば −γ は正でその主値。類似のトリックを β について使うとすれば: β が正なら逆数 1/α, 1/β, 1/γ を根とする3次式を考え、 β が負なら −1/α, −1/β, −1/γ を根とする3次式を考えると、正の数 ±1/β が新しい3次式の主値となる。原理としては応用範囲が広そうだが…

別のアイデアとして sin の13倍角の公式を使えないか。 n = 1, 2, …, 12 に対する sin (nπ/13) のうち、最大値は sin 3T = sin (6π/13) = sin (7π/13) なので、それが「多倍角の式から得た多項式」の根の主値になる可能性がある。この考え方は、場合によっては手法として役立つかもしれない。通常の sin の13倍角は、 s = sin θ と略すと:
  sin (13θ) = s[4096s12 − 13312s10 + 16640s8 − 9984s6 + 2912s4 − 364s2 + 13]

従って、自明な s = 0 のケースを除外すると、 sin (13θ) = 0 は [ ] 内の12次式 = 0 を含意し、 X = s2 と置くと、問題は X の6次式…
  4096X6 − 13312X5 + 16640X4 − 9984X3 + 2912X2 − 364X + 13
…の根を求めることに帰着する。仮にその最大の根 X = (sin 3T)2 = 0.9854709… の根号表現を得たとして、その表現は少なくとも二重根号(立方根号下の平方根)を含むであろう。その平方根 sin 3T = 0.9927088… は、少なくとも三重根号を含み、「半角の公式経由」より簡単にならない(本質的に同一の表現になるのかもしれない)。

形式に関連して、同様のことは、 sin の別形式の13倍角…
  sin (13θ) = s[4096c12 − 11264c10 + 11520c8 − 5376c6 + 1120c4 − 84c2 + 1]
…にも当てはまるだろう(ここで c = cos θ)。のみならず、この場合、6次式の最大の根は cos2 (T/2) = cos2 (6T); 前記のように、そんな面倒なことをしなくても cos 6T の根号表現は容易に得られる。

結局、少なくともこのケースに関する限り、多倍角の公式を使うメリットはなさそう。半角公式利用と結果はあまり(あるいは全く)変わらず、6次方程式を解かねばならないので、可能だとしても、むしろかえって面倒。

【17】 逆数を根とする3次式の利用。 cos 2T, cos 5T, cos 6T は順に正・負・負なので、それぞれの「符号を変えたものの逆数」を根とする3次式を構成すれば、根の主値は正の数 −1/(cos 5T) になり、そこから −cos 5T = −cos (10π/13) = cos (3π/13) が得られる。あるいは符号を変えれば cos 5T が得られる。

−cos 2T, −cos 5T, −cos 6T を根とする3次式は【11】の通り。それらの逆数 −sec 2T, −sec 5T, −sec 6T を根とする3次式を、【15】の方法で構成すると:
  u3 + (3 − h)u2 + (−10 + 2h)u + (−12 + 4h)
u = z/3 と置き、さらに z = y − 3 + h と置くと:
  y3 + (−156 + 36h)y + (468 − 116h)
いつものようにその根(主値)を求め、変数を元に戻すと:
  u = (−3 + h + μ)/3
  ここで μ = 3[−234 + 5813 + 6(−9282 + 257413)] + 3[−234 + 5813 − 6(−9282 + 257413)]

途中計算や結果に含まれる μ は、【13】の計算やそこに含まれる λ と、数カ所、符号が違うだけ。次の結論に至る。
  1/u = −cos 5T = −cos (10π/13) = cos (3π/13) = 3/(−3 + 13 + μ) = 0.7485107…
  sin (3π/13) = [1 − 9/(3 − 13 − μ)2] = 0.6631226…

μ は三重根号を含むので、上の cos の式は分母に三重根号を含み、 sin の式は四重根号を含む。符号を変えれば:
  cos 5T = 3/(3 − 13 − μ) = −0.7485107…

もちろん sin 5T = sin (10π/13) は、上記 sin (3π/13) に等しい。

【18】 別の方法(半角の公式を利用)。【14】
  cos (6π/13) = {[66 − 613 − 6W]}/12 = 0.1205366…
…に半角の公式を適用すれば、機械的に次の結論に至る。
  cos (3π/13) = (1/12){72 + 6[66 − 613 − 6W]} = 0.7485107…
  sin (3π/13) = (1/12){72 − 6[66 − 613 − 6W]} = 0.6631226…

6 が並んで、なかなか美しい。 W は二重根号を含むので(W の正確な定義は【11】参照)、上記 cos の式、 sin の式は、どちらも四重根号を含む。前者の符号を変えたものが cos 5T、後者は sin 5T に等しい。

半角の公式を反復適用すると、必然的に根号のネストが深くなる。【18】では cos, sin 両方の式で、四重根号が生じている。一方、【17】のバージョン――「半角の公式」ではなく「逆数を根とする3次式」を利用――では、 cos の式が三重根号で収まる(sin の式については、どちらでも四重根号が必要)。

*

角度が 3T の場合の【13】【14】を比較すると、「逆数を根とする3次式」の利用に、明確な優位性があるとは感じられなかった。角度が 5T の場合――つまり実質的にもう一度半分になった場合――、【17】【18】を比較すると、「逆数を根とする3次式」の利用もそう悪くない。半角の公式の機械的適用に比べると、大きなポテンシャルがありそう。

他方、根号のネストが深くないとしても、多重根号が分母に生じるのは、一般論として好ましくない。逆数の世界で sec を根号表示したときは、多重根号は分子にある。 cos の世界に戻ると、その根号が分母に来てしまう。「逆数」とも「半角」とも違う第三の方法がないか【16】で少し模索したが、現時点では、新しいアプローチを発見できなかった。 5T の角度を ω なしで扱うこと自体には成功したけど、もっと良い方法があるのかも。

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2024-05-18 円周の13分の3、13分の5 チート

#遊びの数論 #1 の原始根 #円周13等分 #3次方程式

360° の 3/135/13 の角度の cos について、 ω を使わず二重根号の範囲で表現。一種のチートだが、示唆に富む。

*

【19】 T = 2π/13 とする。下記の3次式の根は cos T, cos 3T, cos 4T をそれぞれ 12 倍したもの(【8】)。
  z3 + (3 − 313)z2 − 36z + (−324 + 10813)
その主値を求めると(計算の詳細については【8】以降参照):
  12 cos T = −1 + 13 + ϒ  《さ》
  ここで ϒ = 3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39]

次の3次式の根は、上記の3次式の根の符号を変えたもの。
  z3 − (3 − 313)z2 − 36z − (−324 + 10813)
その主値を、《さ》と全く同様の方法で求めると:
  −12 cos 4T = 1 − 13 + U
  ここで U = 3[−104 + 2013 + 12−39] + 3[−104 + 2013 − 12−39]
従って:
  12 cos 4T = −1 + 13 − U  《し》

第一の3次式の根と係数の関係から(あるいは、同じことだが【1】の②式の 3 倍から):
  12 cos T + 12 cos 3T + 12 cos 4T = −(3 − 313)
  よって 12 cos 3T = −3 + 313 − 12 cos T − 12 cos 4T

この最後の式に《さ・し》を代入し、両辺を 12 で割ると、次の結論に至る。
  cos 3T = cos (6π/13) = (−1 + 13 − ϒ + U)/12  《す》
  sin 3T = sin (6π/13) = {[144 − (1 − 13 + ϒ − U)2]}/12  《ず》

ϒ, U はそれぞれ「平方根が交ざった数」の立方根を二つ含む; 《す・ず》における根号のネストの度合いは cos が二重、 sin が三重。比較として、【14】で得た下記《せ・ぜ》は、根号の数が少なく簡潔である半面、ネストの度合いとしては cos, sin とも三重根号を含む。
  cos 3T = cos (6π/13) = {[66 − 613 − 6W]}/12  《せ》
  sin 3T = sin (6π/13) = {[78 + 613 + 6W]}/12  《ぜ》

《す・ず》と《せ・ぜ》は一長一短だけど、遊び気分でいうと 6 が並ぶ《せ》は面白い。これらは何の役にも立たない変な数のようだが、
  ζ52 = sin 3T + i cos 3T = cos (π/26) + i sin (π/26)
…は 1 の原始52乗根の主値であり、言い換えると、虚数単位 i の13乗根の主値:
  ζ52 = 13i = 0.99270887… + (0.12053668…)i

依然として「それが何の役に立つの?」という疑問は残るけど、「ほとんど誰も知らない面白い数」といえるだろう!

【20】 12 cos 2T, 12 cos 5T, 12 cos 6T を根とする次の3次式にも、全く同様の手法を適用できる。
  z3 + (3 + 313)z2 − 36z + (−324 − 10813)

根の主値は:
  12 cos 2T = −1 − 13 + V  《た》
  ここで V = 3[104 + 2013 + 12−39] + 3[104 + 2013 − 12−39]

一方、根の符号が反対の3次式を作ると、その根の主値は:
  12 cos 6T = −1 − 13 − W  《ち》
  ここで W = 3[−104 − 2013 + 12−39] + 3[−104 − 2013 − 12−39]

† 【11】の最初の t の式で t = z/12 と置いて 1728 倍したもの。

‡ 【11】の z の式。

12 cos 5T = (3 + 313) − cos 2T − cos 6T に《た・ち》を代入して 12 で割ると:
  cos 5T = cos (10π/13) = (−1 − 13 − V + W)/12  《つ》
  sin 5T = sin (10π/13) = {[144 − (1 + 13 + V − W)2]}/12  《づ》

5T の cos, sin について、逆数経由の【17】や四重根号に依存する【18】と比べると、《つ・づ》もそう悪くない。

*

−cos 5T = cos (3π/13) = 0.74851 07481 71101… (梨蜂来い、おお、梨蜂いない)

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2024-06-04 円周13等分に関連する4次式

#遊びの数論 #円周13等分 #(29)

円周13等分に関連して、ある種の強引なアプローチについて記す。 T = 2π/13 とすると:
  cos T + cos 3T + cos 4T = (−1 + 13)/4  《あ》
  cos 2T + cos 5T + cos 6T = (−1 − 13)/4  《い》

θ = π/13 として cos 4T = cos 8θ = −cos 5θ などに注意すると、それぞれこう書くこともできる:
  cos 2θ − cos 5θ + cos 6θ = (−1 + 13)/4  《う》
  −cos θ − cos 3θ + cos 4θ = (−1 − 13)/4 つまり
  cos θ + cos 3θ − cos 4θ = (1 + 13)/4  《え》

【1】 cos T の根号表現を求める便利な方法は、《あ・い》から cos T, cos 3T, cos 4T を根とする3次式を構成し、その根の主値を求めること。しかし最初この問題を考えたとき、そのアイデアを思い付かず、《あ》に3倍角・4倍角の公式を適用してしまった。その方法だと、 x = cos T として、次の4次方程式が生じる。
  8x4 + 4x3 − 8x2 − 2x + 1 = (−1 + 13)/4  《お》

《お》の左辺は、《あ》で x = cos T と置いたに過ぎず、《お》は《あ》と実質ほぼ同じ。ただし4次式なので、根が一つ増えている。 h = 13 として整理すると:
  8x4 + 4x3 − 8x2 − 2x + (5 − 13)/4 = 0
両辺を 8 で割って:
  x4 + (1/2)x3 − x2 − (1/4)x + (5 − 13)/32 = 0  《か》

《あ》の左辺の値は T を 3T に置き換えても変わらない。実際 cos (3T) + cos 3(3T) + cos 4(3T) = cos 3T + cos 9T + cos 12T = cos 3T + cos 4T + cos T。同様に T を 4T に置き換えても、《あ》の左辺は不変。従って x = cos T が《か》の一つの解なら(実際そうである)、 x = cos 3T, x = cos 4T も《か》の解。では4次方程式《か》の、もう一つの解(δ とする)は何か? 解と係数の関係から:
  (cos T + cos 3T + cos 4T) + δ = −1/2
ここで cos T + cos 3T + cos 4T の値は《あ》の通りなので:
  δ = −1/2 − (−1 + 13)/4 = (−1 − 13)/4

【2】 よって、少なくとも原理的には、《か》の左辺は…
  x − δ = x + (1 + 13)/4  《き》
…で割り切れ、商は cos T, cos 3T, cos 4T を根とする3次式となる。係数に無理数があるものの、この割り算は普通に実行可能。その準備として、簡潔化のため分数を解消しておく: 《か》で x = y/4 と置いて両辺を 44 = 256 倍すると…
  y4 + 2y3 − 16y2 − 16y + (40 − 8h) = 0  《が》

因子《き》にも同じ変数変換を施すと y/4 + (1 + 13)/4 であり、《が》がこの因子で割り切れるのだから、《が》はそれを 4 倍した…
  y + (1 + h)  《ぎ》
…でも割り切れる。 h2 = 13 に留意しつつ、筆算で《が》の左辺を《ぎ》で割る:

              y^3 + (1-h)y^2 -  4y   + (-12+4h)
            ┌──────────────────────────────────────────
  y + (1+h) │ y^4 +     2y^3 - 16y^2 -    16y + (40-8h)
              y^4 + (1+h)y^3
              ──────────────
                    (1-h)y^3 - 16y^2
                    (1-h)y^3 - 12y^2  \\ #1
                    ────────────────
                              - 4y^2 -16    y
                              - 4y^2 -(4+4h)y
                              ───────────────
                                    (-12+4h)y + (40-8h)
                                    (-12+4h)y + (40-8h) \\ #2
                                    ───────────────────
                                                     0

#1: (1+h)*(1-h)y^2 = (1-13)y^2 = -12y^2
#2: (1+h)*(-12+4h) = -12+4*13 + (-12+4)h = 40-8h

この商の3次式…
  y3 + (1 − h)y2 − 4y + (−12 + 4h)
…の零点は、x = cos T, cos 3T, cos 4T に対応する。 x = y/4 つまり y = 4x なので、具体的には y = 4 cos T, 4 cos 3T, 4 cos 4T がこの3次式 = 0 の解。2次の係数を 3 の倍数にするため y = z/3 と置き、両辺を 33 倍すると:
  z3 + (3 − 313)z2 − 36z + (−324 + 10813) = 0
既に得たのと同じ3次方程式が得られた!

*

この場合、上記のアプローチは遠回りで非効率だが、「係数の範囲が有理数より拡大している多項式でも、恐れてはいけない」「因子が分かっているなら、原始的な筆算でも分解可能」という教訓が得られる。その際、13 のような数をそのまま根号を使って何度も書くのは煩雑なので、定数として文字を割り当てるのが便利だろう(ここでは h とした)。計算を簡潔にするため、必要に応じて変数を置換し、係数の分数も解消した方がいいだろう(特に筆算の場合)。

〔付記〕 有理数体に D を添加して二次体の整数を作るとき、もし D ≡ 1 (mod 4) なら a + bD の a, b を有理整数とは限らず、 a, b が両方とも半整数(奇数の半分)でも良いとする。よく知られている例として、Eisenstein 整数 a + b−3 においては、 a, b は必ずしも有理整数ではなく、同時に半整数の値を取ることができる; 理論上の要請から、例えば a = −1/2, b = 1/2 でも a + b−3 も「整数」と認めるのである。同様に a + b13 の形の数(a, b: 有理数)から「整数」を抜き出すなら、理論上 a, b は半整数でも良い。とはいうものの、本文の計算では、主に表記の便宜上 13 を h と略しているだけであり、従って a + b13 の a, b の範囲を理論的に突き詰める必要はない。代数的整数論の考え方にこだわるなら、代わりに例えば j = (1 + 13)/2 として a + bj の形の数(a, b: 整数)を考えても良かっただろう。

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2024-06-05 円周13等分に関連する4次式(続き)

#遊びの数論 #円周13等分 #(29)

【3】 《が》の4次式 y4 + 2y3 − 16y2 − 16y + (40 − 8h) は、
  (y + 1 + h)[y3 + (1 − h)y2 − 4y + (−12 + 4h)]
…と分解される。その一つの根は y = −1 − h = 4(cos 2T + cos 5T + cos 6T) であり、残りの三つの根は、3次式…
  y3 + (1 − h)y2 − 4y + (−12 + 4h)
…の零点 y = 4 cos T, 4 cos 3T, 4 cos 4T。この3次式の根を代数的に求めることは、比較的易しい。根の主値は:
  4 cos T = {3[104 − 2013 + 12−39] + 3[104 − 2013 − 12−39] − 1 + 13}/3

従って、《が》を4次方程式として直接解くことは、実用上必要ない。しかし4次方程式だから、原理的には解くことができる。それを試してみたい。

【4】 《が》の式…
  y4 + 2y3 − 16y2 − 16y + (40 − 8h) = 0
…を、
  (y2 + y + p)2 − (qy + r)2 = 0
…の形に変形した場合、p は次の3次方程式を満たさねばならない。
  8p3 − 4(−16)p2 + [2⋅2(−16) − 8(40 − 8h)]p − 22(40 − 8h) + 4(−16)(40 − 8h) − (−16)2 = 0
  つまり 8p3 + 64p2 + (−384 + 64h)p + (−2976 + 544h) = 0
両辺を 8 で割ると:
  p3 + 8p2 + (−48 + 8h)p + (−372 + 68h) = 0
p = u/3 と置いて両辺を 27 倍すると:
  u3 + 24u2 + (−432 + 72h)u + (−10044 + 1836h) = 0
u = v − 8 と置くと:
  v3 + (−624 + 72h)v + (−5564 + 1260h) = 0
この3次方程式の解の主値 V は、対応する2次式…
  w2 + (−5564 + 1260h)w + (208 − 24h)3
…の零点 2782 − 630h ± 30(−858 − 234h) を使って、次のように表現される:
  V = 3[2782 − 630h + 30(−858 − 234h)]3[2782 − 630h − 30(−858 − 234h)]

従って、求める p の主値は:
  p = (V − 8)/3 = (3[2782 − 630h + 30(−858 − 234h)]3[2782 − 630h − 30(−858 − 234h)] − 8)/3
それに対応して:
  q = (17 + 2p), r = (8 + p)/(17 + 2p)
これらの p, q, r を使って《が》は、次の形に変形される。
  (y2 + y + p)2 = (qy + r)2 つまり
  y2 + y + p = qy + r または y2 + y + p = −qy − r

第一式の解は y2 + (1 − q)y + (p − r) の根。つまり…
  y2 + (1 − (17 + 2p))y + [p − (8 + p)/(17 + 2p)]
…の根。機械的に計算すると:
  2y = −1 + (17 + 2p) ± {(1 − (17 + 2p))2 − 4[p − (8 + p)/(17 + 2p)]}
この右辺は、複号でプラスを選ぶと 8 cos T に等しく、マイナスを選ぶと 8 cos 3T に等しい。同様に、第二式の根は:
  2y = −1 − (17 + 2p) ± {(1 + (17 + 2p))2 − 4[p + (8 + p)/(17 + 2p)]}
この右辺は、複号でプラスを選ぶと 8 cos 4T に等しく、マイナスを選ぶと…
  8(cos 2T + cos 5T + cos 6T) = −2 − 213
…に等しい。

p が既に二重根号を含んでいることから、これらの根号表現は、3次方程式経由の根号表現と比べると、かなり複雑。特に、簡単な無理数 −2 − 213 が、四重根号で難解に表現されている。

実用性を度外視するなら、この方法でも cos T などの正確な値に対応する根号表現が得られる。実際には、この4次式を1次式と3次式に分解して、3次方程式を解いた方が簡潔な根号表現が得られるし、そのアプローチの方が、内容的にも整然としている(3次方程式の三つの解が対称的な役割を果たす)。4次方程式経由のこの方法は、それ自体としてはあまり便利ではないが、参考までに、どんな感じになるのか試してみた。多重根号などは多少簡約可能かもしれないが、原理的に、3次方程式経由の根号表現よりは簡単にならないだろう。

【5】 John Casey は、円周13等分がこのような4次方程式に依存すると記している。その議論は、《え》の…
  cos θ + cos 3θ + cos 9θ = cos θ + cos 3θ − cos 4θ = (1 + 13)/4
…に基づく。これは cos 2T + cos 5T + cos 6T = (−1 − 13)/4 を考える代わりに、各項の符号を反転させたものに当たる。ここで θ = π/13, T = 2π/13。 −cos 2T, −cos 5T, −cos 6T つまり cos θ, cos 3θ, cos 9θ を根とする3次方程式は構成可能であり、3次方程式に帰着させるのが良い選択だろう。しかし仮に4次式を作ってしまった場合、どうなるか。
  cos θ + cos 3θ − cos 4θ = cos θ + (4 cos3 θ − 3 cos θ) − (8 cos4 θ − 8 cos2 θ + 1)
   = −8 cos4 θ + 4 cos3 θ + 8 cos2 θ − 2 cos θ − 1 = (1 + h)/4
  従って 8 cos4 θ − 4 cos3 θ − 8 cos2 θ + 2 cos θ + (5 + h)/4 = 0
w = cos θ と置くと:
  8w4 − 4w3 − 8w2 + 2w + (5 + h)/4 = 0
両辺を 8 で割って:
  w4(1/2)w3 − w2(1/4)x + (5 + 13)/32 = 0  《く》

《く》は《か》と同様の式であり、その4解の和は 1/2、そのうち既に分かっている3解の和は (1 + h)/4 であるから、もう一つの解は (1 − h)/4 でなければならない。すなわち《く》は w − (1 − h)/4 で割り切れ、3次式の問題に帰着する。 Casey は、4次方程式を次の形にしているが、それは《く》で w = x/2 と置いて両辺を 24 倍したものに当たる:
  x4 − x3 − 4x2 + 2x + (5 + h)/2 = 0  《け》
《け》の4解の和は 1、そのうち3解の和は 2 cos θ + 2 cos 3θ − 2 cos 4θ = (1 + h)/2 であるから、《け》のもう一つの解は (1 − h)/2 であり、《け》は x − (1 − h)/2 で割り切れる。
  x4 − x3 − 4x2 + 2x + (5 + h)/2 = [x − (1 − h)/2][x3 − (1 + h)/2⋅x2 − x + (3 + h)/2]

《け》の4次式にしてしまった場合でも、それを直接4次式として解くのではなく、このように分解して、3次方程式…
  x3 − (1 + h)/2⋅x2 − x + (3 + h)/2 = 0
…を解いた方が良い。

実際には《く》で w = y/4 と置いて両辺を 44 倍した方が、分数がなくなって式が簡潔になる。
  y4 − 2y3 − 16y2 + 16y + (40 + 8h) = 0
この左辺は y − 1 + h で割り切れる:
  (y − 1 + h)[y3 − (1 + h)y2 − 4y + (12 + 4h)] = 0
この [ ] 内 = 0 という3次方程式について、 y = z/3 と置いて両辺を 27 倍すれば:
  z3 + (−3 − 3h)z2 − 36z + (324 + 108h) = 0
これは解決済みの3次方程式

† https://archive.org/details/treatiseonplanet00caseuoft/treatiseonplanet00caseuoft/page/64/mode/1up

*

Casey のアプローチは原理的には間違っていないものの、円周13等分との関連では良くない。自分自身も一度は同じようなことを試しているが、結論としては、この4次方程式を直接的に解こうとすると複雑になってしまい、簡潔な根号表現を得られない。4次式を分解して3次方程式を解くなら、きれいな根号表現を得られるが、それは無駄な遠回り; 4次式を経由せず、最初からその3次方程式を構成した方が合理的だろう。

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