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2025-04-24 コタンジェント(cot)プチ入門 バーゼル問題への橋渡し
三角関数の変数名としてよく使われる θ は、ギリシャ文字の「テータ」(θῆτα = theta)。英語風に「シータ」と読まれることも多い(英語風では th は think の子音。古典ギリシャ風では th は t の帯気音で、日本語の「タ・テ・ト」の子音と同様)。ちなみに、「天空の城ラピュタ」で空から降ってきた子の名前も「シータ」ですが、国際版(字幕・吹き替え)では Sheeta となってたようです。
バーゼル問題、
1 + 1/22 + 1/32 + 1/42 + ··· = ?
の扱いでは、三角関数 cot θ を使いまくりました。 sin (サイン)、 cos (コサイン)、 tan (タンジェント)は誰でも名前くらいは聞いたことあるとして、 cot (コタンジェント)は、比較的マイナーな存在。 cot θ って、要するに何?
神の証明集 Proofs from THE BOOK でも「これを紹介したい誘惑には逆らえない」「美しい」と絶賛された、ヤグロム(Yaglom)流のエレガントな証明。そのツールとなる cot について基本を復習し、イメージを明確にしておくことは、後学のためにも無駄ではないでしょう。
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2025-04-22 ニュートンから見たジラルの4乗和公式
ジラルの公式 p4 = a4 + b4 + c4 + d4 = A4 − 4A2B + 4AC + 2B2 − 4D は、ニュートンの立場からは、
p3 = A3 − 3AB + 3C の A 倍
p2 = A2 − 2B の −B 倍
p1 = A の C 倍
p0 = 4 の −D 倍
の和に過ぎない(そして構成要素の p3 等も、仮に中身を覚えてなくても、同様の単純計算で再帰的に求められる)。
ニュートンの観点は、大文字の A, B, C などに対する「マクロ」の操作であり、便利な半面、具体的対象である小文字の a, b, c などの4乗和について、あまり地に足の着いた実感が得られない。 a, b, c などの直接操作によりこの導出を再実行し、具体的な例題も幾つか考えてみたい。
↓ ありがちな難関校受験問題(?)も、一目で解決(笑)
応用問題 実数 a, b, c が a + b + c = 0 を満たすとき、 a4 + b4 + c4 = 2(ab + ac + bc)2 を示せ。
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2025-04-21 ジラルの公式の拡張と分析 5乗和は5がいっぱい
「2乗の和」に関する a2 + b2 = (a + b)2 − 2ab は基本的な式で、常用される。一つ上の「3乗の和」の式、
a3 + b3 + c3 = (a + b + c)3 − 3(a + b + c)(ab + ac + bc) + 3abc
も基本的だが、比較で言えばやや複雑。実は単純な原理から派生し、仕組みが分かると「当たり前」。
ジラル(Girard)という研究者は、「根の4乗和」までの式を記した。ニュートン形式を利用すると、ジラル形式を容易に5乗和に拡張できる。結果を得たとき、 A5 以外の項の係数が全部 5 なので、びっくり。「どこかで計算、ミスったか?」と疑念を抱いた。
ジラル形式の1乗和~5乗和を縦に並べて眺めるみると、パターン性がよく分かる。3乗和までは100%規則的なパターンに従い、4乗和・5乗和も約8割は、同じパターン。
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2025-04-20 ζ(12) を見たときの不思議な気分 ダダッとダッシュ
ζ(2) = 1 + 1/22 + 1/32 + ··· = 1/6 × π2 は、素朴に好奇心を刺激する。これは孤立的な事例ではなく、
ζ(4) = 1 + 1/24 + 1/34 + ··· = 1/90 × π4
ζ(6) = 1 + 1/26 + 1/36 + ··· = 1/945 × π6
のように、 N が正の偶数のとき ζ(N) = 有理数 × πN となる。
謎めいた分数 1/6, 1/90, 1/945, ··· の素性(どういうパターンで並んでるのか)は、まだよく分からない。でも、この分数を単純計算(小学生の算数)で次々に決定できるところまで、問題を煮詰めた。 ζ(10), ζ(12) など、もう少しサンプルを増やせば、何か手掛かりが得られるかも…
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2025-04-19 ζ(2d) の再帰的な一般公式 三歩進んで
d を正の整数とする。 Yaglom 流では、次の多項式の根の d 乗和を経由して ζ(2d) を求めることができる:
ym − ((2m)(2m−1)/3!)ym−1
+ ((2m)(2m−1)(2m−2)(2m−3)/5!)ym−2 − ···
ここで ζ(N) は 1N, 2N, 3N, ··· の逆数の無限和。 d = 1, N = 2 の場合が有名なバーゼル問題だ。
この方法で ζ(2), ζ(4) を求めることは比較的容易で、面白い。原理的には、同じ方法をそのまま拡張して ζ(6), ζ(8), ζ(10) などを求めることも可能だが、効率が悪い。強引に推し進めず、簡単化を考えてみたい。結論を先に記すと、
ym
− (22/3!)ym−1
+ (24/5!)ym−2
− ···
の根の d 乗和を qd として、
ζ(2d) = qd/22d × π2d
となる。この観点の方が見通しが良く、 ζ(2), ζ(4) などの値も、軽快な方法で再び得られる。
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2025-04-18 暗号通貨でお買い物 美しい理念・複雑な現実
ビットコインやモネロなどの暗号通貨について、聞いたことはあっても、どんなものなのか、よく知らない方もいるでしょう。株やFX(外国為替取引)のような「投機・投資」の一種、「うさんくさいもの」と思ってる方も多いでしょう。
確かに「円」や「ドル」同様、お金の一種なので、そこに「詐欺師・悪徳業者の類い」が絡んでくるのは、仕方ないことかも…
ともあれ、お金なので、普通に買い物や寄付に使うこともできますし、筆者は結構、日常的に使ってます。
参考までに、オンラインショッピングでの「暗号通貨での支払いの例」を紹介しましょう(全ステップで、スクリーンショットを撮りました)。他の決済方法と比べどんなメリットがあり、どんな問題点・落とし穴があるか、その一端を記します。
「使うのは簡単だけど面倒だなぁ」という矛盾した形容になるかと…
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2025-04-14 「ニュートンの式」軽妙な入門 ライヒシュテインによる
普通に考えると、例えば「3次式の三つの根をそれぞれ3乗して足し算」ってだけで、ややこしそう。ところがニュートンの式は、それよりはるかに抽象的。一般の m, n について「n 次式の根の m 乗和」を扱う。いかにも複雑そう…
式が役立つ場面は限られてるものの、内容を理解すること自体は、意外と易しい。ライヒシュテイン(Reichstein)による証明をベースに、一見難解なニュートンの恒等式たちの真意について、順を追って整理してみたい。
Reichstein はロシア生まれの数学者。ソビエト連邦(当時)では、全体主義やユダヤ人差別のため自由に数学の勉強ができず、18歳の頃、いちかばちかの国外移住を試みた。当てもなく英語も不得意だったが、さいわい、1980年、カリフォルニア工科大学への入学を許された。現在は、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の教授。ここで紹介する証明法は「高校生向け」として、2000年、ロシアの出版物で公開された。やむなく祖国を捨てたものの、故郷への思いもあるようだ。
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2025-04-12 ζ(6) = π6/945 そろりと二歩目
ゼータ関数 ζ(x) = ∑{k=1 to ∞} 1/kx について、バーゼル問題に当たる ζ(2) と、次の一歩に当たる ζ(4) の値を求めた。「二歩目」として、同じ初等的方法に基づき ζ(6) = 1 + 1/26 + 1/36 + ··· を求める。
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2025-04-11 n 次式の根の和・平方和など 「エレガントな証明」の補足
ヤグロム(Yaglom)兄弟によるバーゼル問題の解法・応用はエレガントで美しいが、 m 次方程式の扱いの部分に、難しい要素がある。テクニカルな細部のせいで、アイデアの素晴らしさを味わえない・共有できないとしたら残念なんで、ちょっと解説めいたことを。
いったんハードルを下げ、次の素朴な問題を考えてみよう。
2次式 x2 + 3x − 10 = (x − 2)(x + 5) が与えられたとする。その根(式の値がゼロになるような入力)は x = 2 と x = −5 だが、なぜだろうか?
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2025-04-09 π4/90 = 1.082323233… バーゼル問題の次の一歩
前回、バーゼル問題 1 + 1/22 + 1/32 + 1/42 + 1/52 + ··· = π2/6 のエレガントな別証明を紹介した。同じ証明法の自然な応用として、4乗数の逆数の和 1 + 1/24 + 1/34 + 1/44 + 1/54 + ··· = π4/90 を考えてみたい。
π2 は 9.87 に近い――「987ノテッペンカラトビウツレ」(モトネタは漫画「わたしは真悟」)ってのは、この値を指す。そのまた平方に当たる π4 は、大ざっぱに 102 = 100。もうちょい精度、上げると:
9872 = (1000 − 13)2
= 100万 − 2万6000 + 132 = 97万4000 + 132
下3桁の 132 = 169 を無視すると 97.4万。 100 のオーダーの π4 にスケールを合わせれば、立派な近似値 π4 ≈ 97.4 を得る。 9 で割ると商が 10 で余り 7.4。その余りをさらに 9 で割ると 0.8222… なので:
π4/9 ≈ 10.82 つまり π4/90 ≈ 1.082
この最後の値は 1 + 1/24 + 1/34 + 1/44 + 1/54
= 1.0803… に近い。
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2025-04-06 1 + 1/22 + 1/32 + … = π2/6 の別証明 ☆総和記号不使用☆
12, 22, 32, ··· という平方数。それらの逆数を無限に足し合わせると、「円周率の平方÷6」に等しくなる。なんともミステリアスな現象だ!
その簡単な証明を既に紹介したが、「簡単な」といっても、総和記号の繊細な処理が必要だった。総和記号 ∑ や積分記号 ∫ ってやつは、慣れてしまえば「これほど便利なツールはない」とも思えるが、なにやら小難しいムードを漂わせてるのも事実。以下で記す別証明では、これらの難しい(?)記号を一切使わない。しかも、入り口の部分が大変美しく、後半も面白い。楽しい散歩道だ。
だが、うまい話には裏があるんだぜ。最初に紹介した「簡単な証明」は、三角関数の基本さえ知ってれば他にはほとんど予備知識不要、という内容だった。それに対して、今回の別証明では、三角関数の基本に加えて、二項定理が必要(二項係数の操作は不要で、定義だけ知ってれば十分だが)。のみならず「ド・モアブルの定理」「多項式の根と係数の関係」も必要で、一瞬だが複素数の範囲で考えなければならない。一般向けっていうより、高校生向けかも。複素数が嫌いな方には、向かないかな。その代わり、総和記号が苦手でも安心、みたいな?
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2025-04-02 二項係数・超入門の補足 抽出と吸収
「超入門」に一つ書き忘れてたことがあるので、以下で追加。
(10 × 9 × 8 × 7)/(4 × 3 × 2 × 1)
=
10/4 × (9 × 8 × 7)/(3 × 2 × 1)
のような当たり前の等式が、二項係数の変形では基本技となる。
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2025-03-31 イタリア政府・市民監視にスパイウェア
イタリアの情報機関がNGOやジャーナリストに対してスパイウェアを仕掛け、監視・盗聴を行っていたという。2025年3月末に発覚、ヨーロッパの各種メディアで問題になっている。
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2025-03-31 二項係数・超入門 三つの基本と簡単な応用例
ベルヌーイの公式関連で、やたらと出てくる (n C k) みたいな記号。とりあえず必要なことだけ、ここでまとめておきたい。今回は、特に予備知識は必要なし。
問題 3種類の軽食(パパイア、ピザ、プリン)を一人の客に出すとして、どーゆー順番で出すのがいいか?
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2025-03-23 ベルヌーイの公式の証明(Knuth 版) 00 = 1
前回、べき和公式の一応の証明を紹介した(フランスの Bourrigan による)。比較的平明でとっつきやすい内容だが、厳密性の点では、多少の疑問も残る。参考として、 Knuth による本格派の証明を転載しておく。
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「チラ裏」は、きちんとまとまった記事ではなく、断片的なメモです…
2025年1月11日 Verlaine の「秋のうた」 日本語訳3種+原文解説
2024年12月17日 28乗根(28角形)を巡る幾つかの話題
sin (π/7)
=
−√7/6
+
(6√7)/12⋅(3√(52 + 12√) + 3√(52 − 12√))
2024年11月9日 ガウス和・別証明 クロネッカー博士の異常な足し算 または 私はいかにして心配するのをやめ三重和を愛するようになったか
2024年10月10日 x17 = 1 の代数的解法 ガウスの式の応用
2024年6月11日 Linux の Live OS 気軽にいろいろ試せるよ
2024年4月11日 正17角形は作図可能? 複素数を使わない気軽な散策
2024年1月12日 十六元数の零因子 君は 0 を割ることができるか?
初等的証明に成功! 世界初かも?
2024年1月17日 Moufang 恒等式の同値性 初等的証明
これも(ネットでは)世界初かも。教科書的には autotopism を使うのだが、そんなややこしい概念は必要ない。
Map
の長所、splice
より速い要素挿入法も紹介。 〔最終更新: 2023年4月1日〕bdi
要素と Unicode 6.3 の新しい双方向アルゴリズム (2012-12-04)dir
属性は落とし穴が多い。HTML5 の <bdi>
は役立つ。近い将来、「ユーザー入力欄などの語句は、このタグで隔離」が常識になるかも。 〔最終更新: 2014年4月27日〕fad()
は濁りやすい。各種の代替手段を紹介。 Tor Browser
プライバシー志向のブラウザ。監視・追跡されずにウェブページを閲覧。「個人情報を登録したサイト」にこれでログインしてはいけない。
BES, Battle Encoder Shirasé 1.7.10 (March, 2025) & 1.8.0.39: Per-Process CPU Limiter (archive)
a3r (ASS_Help3r): ASS timing/typesetting v0.2.0.0 (archive)
75C0 706B 3CD0 B5D0
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