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2026-10-31 ラームスの公式の導き方 デンマークから
(一つ前のメモから続く)
首都コペンハーゲンのあるシェラン島(Sjælland)は、ざっと四国の半分の大きさ。ファルスタ島(Falster)はその南に位置する(淡路島くらいの面積)。デンマーク=北欧といっても、ドイツ北端より低緯度。19世紀の初め、ラームス(Christian Ramus, 1806–1856)は、この小島で生まれた。
ラームスの恒等式――その起源は、フランスの「偶数・奇数ゲーム」。例えば、袋からあめ玉を無作為にひとつかみ(1 個以上)取り出すと、握ったあめの数は「偶数か奇数か確率半々」ではなく「奇数になりやすい」。これは直観に反している!
同様に、ランダムに握ったあめ玉の個数が「3 の倍数」「3 の倍数 + 1」「3 の倍数 + 2」のどれになるかも、確率 1/3 ずつではない。
現代では、この問題は確率の問題としてではなく、次のようなパズルとして扱われる――パスカル(Pascal)の三角形の 1, n, ··· と始まる行を数列 C0, C1, ··· と見た場合、次の例のような「一定間隔で抜き出した項の和」を求めるには、どうすればいいか?
〔例1〕 C0 + C3 + C6 + C9 + ···
〔例2〕 C0 + C5 + C10 + C15 + ···
〔例3〕 C2 + C7 + C12 + C17 + ···
ラームスは、この種の和を求める一般公式を最初に発見した。その導出過程は面白く、プログラミングのバイブル TAOCP [5] にも収録されている。
初歩的なことまで細かく記すとかえって要点がぼやけるので、本編を「高校生向けの軽い読み物」のような感じで短くまとめ、付録として脚注を付けた。脚注を無視して本編だけ読めば足りるけど、もし分かりにくい部分があったら対応する脚注リンクをどうぞ、という仕様。自分自身の研究(好奇心)と知識の整理が主目的ですが、何かの参考になれば幸いです。
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2026-10-31 囲碁の握りはイカサマさいころ ラームス・序曲
将棋も碁も、理論的には「先手必勝」のゲームらしい†。
よって「先手・後手」の決定は、勝負の上で重大。囲碁では、どちらの対局者が先手になるか決めるのに「握り」が使われる。一方の対局者が碁石を適当に手で握る。その手の中の碁石が偶数個か奇数個か、他方の対局者が推測する。当たれば先手を選べる、という仕組み。
直観的には「碁石をランダムに握ったとき、その個数が偶数か奇数かもランダム。握りは、コイン投げなどと同様、公平な手続き」とも思える。ところが「必ず 1 個以上の碁石を握る」という常識的な前提だと、「握り」の結果は奇数になりやすい。例えるなら「奇数の目が出やすい、偏ったさいころ」だ!
19世紀フランスでも、じゃんけんの代わりに(?)「握り」と同様の「偶数・奇数ゲーム」が使われていたらしく、当時の学者たちは、既にこの偏りに気付いていた(「100円玉つかみ取り/確率でびっくり」参照)。例えば、袋からあめ玉を適当にひとつかみ取り出すと、握ったあめの数は「偶数か奇数か確率半々」ではなく「奇数になりやすい」――これは直観に反している!
でも、その理由は、簡単に説明がつく。つまり…
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2026-10-20 100円玉つかみ取り/確率でびっくり 直観はあなたを 2 度裏切る
コインが入った袋に手を突っ込んで、コインをつかめるだけつかみ(あるいは無作為につかんで)取り出したとき、ゲットしたコインの枚数は偶数でしょうか、奇数でしょうか?
(あるいは、米びつから、お米をひとつかみ取り出したとき、その米粒の数は偶数でしょうか、奇数でしょうか?)
自然な第一印象は――「無作為につかむという前提なら、結果はランダム。偶数か奇数かは確率 1/2 ずつ」。
もう少し考えると「でも、もしかして、袋の中のコインの合計枚数が奇数なら、取り出したとき奇数になりやすいかな…?」
話を単純化して、袋の中のコインが 3 枚だけだとすると、そこから取り出せるのは「1 枚」「2 枚」「3 枚」のどれか。純粋にランダムに取り出すなら、「1 枚」「2 枚」「3 枚」のどれも起こり得るから、奇数(1枚 or 3枚)の可能性が 2/3 で、偶数(2枚)の可能性が 1/3 かも?
そして思うのです。袋の中のコインが 4 枚なら、取り出せるのは「1 枚」「2 枚」「3 枚」「4 枚」のどれか。その場合、「奇数枚」の選択肢と「偶数枚」の選択肢は同数だから、確率は 1/2 ずつ。同様に考えて、一般に「袋の中の合計枚数が偶数なら、確率半々。合計枚数が奇数なら、ちょっとだけ奇数になりやすい」と。
果たして、この考えは、正しいでしょうか?!
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2026-10-19 漫画の数学・まれに見る良問 「飛び石和」再訪
なんらかの形で漫画に数学が登場することは、意外と多い。特に、少女漫画・少年漫画の主人公の多くは学生。必然的に「学校の授業・宿題・試験」などのシーンが含まれる。のび太は、しばしば勉強で困っている――ドラえもんの「アンキパン」で「事前に全部の計算結果を暗記すればいい」という暴挙に出る!
このような場面でチラッと描かれる「数学の問題」の具体的内容は、本編とは大きく関わりの無い物語である!
ところが、この種のどうでもいい埋め草の「問題」が、自分にとっては鬼門。せっかくストーリーに没入できていたのに、往々にして興ざめ。現実に引き戻されてしまう。
例えば「この子は、ものすごい天才少女!」みたいなキャラ紹介として、「こんな超難問をスラスラ解ける!」という描写が時々ある。が、その「難問」が平凡な計算問題だったら、つじつまが合わない。かといって、その「難問」が相対性理論だったら、過ぎたるはなお及ばざるがごとし。漫画・アニメでは、しばしば「平方根」程度が「難問」と設定されたり、逆に「天才といえばアインシュタイン」みたいな安直な設定が使われたりして、つぼを突いた「説得力のある描写」ができていないっ!
納得がいかないっ!!
(こういう点において、「数論愛好家」の読者は面倒くさい。)
そんな中、「これは良問!」と感心したケースがある。
ストーリー展開としては、学校をサボりまくっていたちょっと不良っぽいようなキャラが、なんかのきっかけで、医学部受験を目指して猛勉強を始める――みたいな流れ。絶妙なのは、変身ぶりの描写として、このキャラが解いてみせる問題(下記)。「高校生にとっての難問」としてリアリティーがある。しかも 1 ~ 2 桁程度の引き算・足し算だけで答えが見えるので、「急に真面目になった元不良」が頑張ってこれを解いても不自然ではない。
問題 n は 1 以上の整数です。 a1 = b1 = 1, an+1 = an − bn, bn+1 = an + bn だとすると an = 2100 を満たす n は何でしょう?
↑ 続きを読む前に挑戦してみよう!
以下、この問題の解を 4 通り記す。「その0」は小学生バージョン。「その1」は中学生バージョン、「その2」は高校生バージョン、「その3」はクレイジー・バージョン。検討中、思いがけず、有名定理(四つごとの二項係数の和)の素晴らしい新証明を得た――それについても紹介したい。
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2026-09-16 ありきたりの問題とその応用 52! = 8065不可思議…
10! = 1 × 2 × 3 × ··· × 10 = 3628800
この整数(3628800)の末尾には 0 が 2 個ある。では整数 100! の末尾には 0 が何個あるか。 200! ならどうか。
これ自体は、ありきたりの問題「N! は素因子 p を何個持つか」の一種であり、簡単な割り算と足し算によってあっさり解決する。同様の発想をスターリング数の研究に応用できる。
ありきたりの部分の具体例。トランプの52種(13 × 4枚)のカードの積み重ね方(デッキ)には、何種類のパターンがあるか?
一番下のカードには、52種の選択肢がある。下から2枚目のカードには、51種の選択肢がある(残りの51枚から選ぶから)。同様に、下から3枚目・4枚目··· のカードには50種類・49種類···の選択肢があって、一番上のカードには、1種類の選択肢しかない。だから:
52! = 52 × 51 × 50 × 49 × ··· × 1 =
8065不可思議 8175
6403澗 7669溝 7528穣 9505𥝱 4408垓 8327京 7824兆 0000億 0000万 0000
[参考リンク: 大きな数詞]
このように実際に掛け算してみて、結果の末尾の 0 の個数を数える――というのは、原理的には最も素直な解法。しかし「実際に掛け算してみる」という方法は、単に「面倒」というだけでなく、一般には「物理的に不可能」。というのも N が大きくなるにつれて整数 N! は急激に増大する。例えば W = 10100 自体は「1 の後ろに 0 が 100 個付いた、たった 101 桁の数」だが、整数 W! は、桁数が長過ぎて、たとえ全宇宙の全原子を総動員してひも状に並べ、一つ一つの原子に一桁ずつ数を刻んだとしても、数値を書き終わる前に書く場所が足りなくなってしまう†。つまり整数 W! は宇宙に入り切らないくらいでかく(桁数が長く)、①その数を実際に書く → ②末尾の 0 の個数を数える、という方針では、①の部分が実行不可能。
さりながら、問題は N! の数値そのものではなく、その数値の「末尾の 0 の個数」。 10 の倍数なら末尾に 0 があり、 102 = 100 の倍数なら末尾に 00 があり、 103 = 1000 の倍数なら末尾に 000 があり、等々。そして末尾が 0 の数を 1 回 10 で割るごとに、末尾の 0 が一つ減ることは明らかだから、「N! を実際に計算」する必要はなく、単に「N! は 10 で何回割り切れるか?」を考えれば十分。それは易しい。すなわち…
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「チラ裏」は、きちんとまとまった記事ではなく、断片的なメモです…
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2026年2月28日 おばあちゃんが教えてくれた公式
2026年2月7日 ガウス和の符号の決定〔Hua 版〕
2025年12月9日 ガウス和の符号
2025年9月26日 フェルマーの最終定理 n = 7 の場合
2025年5月31日 四次元サイコロ「目」は幾つまで?
2025年4月14日 「ニュートンの式」軽妙な入門 ライヒシュテインによる
2025年4月6日 1 + 1/22 + 1/32 + … = π2/6 の別証明 ☆総和記号不使用☆
2025年1月16/19日 なぜ 1 + 2 + 3 + 4 は 5 の倍数か? / 12 + 22 + 32 + 42 + 52 も 5 の倍数
フォン・シュタウト゠クラウセンの定理
2025年1月11日 Verlaine の「秋のうた」 日本語訳3種+原文解説
2024年6月11日
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2024年4月11日 正17角形は作図可能? 複素数を使わない気軽な散策
2024年1月12日 十六元数の零因子 君は 0 を割ることができるか?
初等的証明に成功! 世界初かも?
2024年1月17日 Moufang 恒等式の同値性 初等的証明
これも(ネットでは)世界初かも。教科書的には autotopism を使うのだが、そんなややこしい概念は必要ない。
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〘→ 最近のメモは「遊びの数論」に〙
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