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2025-02-11 ジェルマン素数とその周辺(その4) 駄目出し
p を 3 以上の素数、 ℓ を 2 以上 p 未満の偶数とする。 n = ℓp + 1 が Fermat test に合格し、かつ付帯条件 2ℓ ≢ 1 (mod n) を満たすなら、 n は素数(定理4)。
この付帯条件が「偽物の素数」を弾いてくれること、従って(定理4の条件下に限れば)、 Fermat test の弱さをそれなりに補ってくれることを、具体的な数値例で観察する。
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2025-02-09 ジェルマン素数とその周辺(その3) 一気に2倍
1950年まで、既知の最大の素数は39桁の P = 2127 − 1 だった。1951年に「世界記録の素数」は 180P2 + 1 となった。79桁。 P2 を利用したのだから不思議ではないが、一気に旧・記録の2倍を超す桁数だ。
この 180P2 + 1 の素数判定に使われたアルゴリズムを紹介・証明する。
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2025-02-09 賞金15万ドルをもらう便乗チート? 余談
2025年2月現在、既知の最大素数は約4000万桁の Mersenne 数(それを M とする)。最初の1億桁素数には、賞金15万ドル(2250万円)が懸かっている。
Mersenne 数で1億桁までいくのは、可能だとしても、まだまだ時間がかかるだろう。ところで M3 はざっと1億2000万桁なので、もしも ℓM3 + 1 型の素数が見つかったら Mersenne 素数の探索より先に1億桁を突破でき、賞金をもらえるかも…
その方法だが、立方数以外の偶数 ℓ = 2, 4, 6, 10, 12, ··· を小さい順に試して、 n = ℓM3 + 1 について 2n−1 (mod n) を計算する(べき剰余なので、直接 2n−1 を計算する必要はない)。どこかで ≡ 1 になれば、その n は素数である可能性が高い。素数であることを確定させるには 2ℓ (mod n) を計算して ≡ 1 でないことを示せばいい。
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2025-02-09 被害者「1億9000万人」に 米国の医療情報盗難
2024年、米国の健康保険大手 Change Healthcare (親会社: UnitedHealth Group)が未曽有のサイバー攻撃を受けた事件 [1][2] で、当初、医療関係情報を盗まれた被害者は1億人と推定されていたが、「1億9000万人」に上方修正された [3](まだ公式確定値ではない)。影響を受けた人の多くは、既に同社から通知を受けているそうだ。
2024年2月のサイバー攻撃は、医療データ漏えいとしては米国史上最大のもの。データへの確実なアクセスができなくなったことから、数か月にわたって国の医療システム全体に大きな影響が及び、今もまだ完全には回復していない。健康・保険請求関係のデータも大量に盗まれ、攻撃者はその一部をネット上に流して「やめてほしければ金を払え」という脅迫を行った。 Change Healthcare は少なくとも2回、「身代金」の支払いに応じたという。
被害者が同社から受けた通知によると、盗まれたデータは、住所氏名などの個人情報、病気の診断・投薬・検査結果・画像・治療計画と保険情報など。米国では、身分証と医療情報を一元的に直接ひも付けするような危うい仕組みはないものの、保存されていた本人確認データ(社会保障番号、運転免許、パスポートなど)は、同時に流出した。
ランサムウェアのような被害に遭った場合、仮に要求に応じて金銭を支払っても、犯人が約束通りにしてくれる保証はない。被害に遭わないこと・侵入されないことが最善だが、セキュリティーをやたらと厳重にすると、不便になるばかりか、正規のユーザー(複雑なシステムが苦手な人など)がアクセスできなくなる恐れもある。いろいろなバランスの取り方が難しく、にわかには解決できないリスクだろう。
[1] https://wiki.nerdvpn.de/wiki/Change%20Healthcare?lang=en
[2] https://web.archive.org/web/20250204084518/https://www.changehealthcare.com/
[3] https://techcrunch.com/2025/01/24/unitedhealth-confirms-190-million-americans-affected-by-change-healthcare-data-breach/
2025-02-08 ジェルマン素数とその周辺(その2) 75年ぶり世界新
1876年、フランスの Édouard Lucas (エドワーゥ・ルュカ)は、途方もない手計算の末、39桁の数 P = 2127 − 1 が素数であることを証明した。これは「人類が知っている一番大きな素数」の新記録となり、75年もの間、誰もこの記録を破ることができなかった。
20世紀後半に入った1951年、別々の二つの勢力によって、ついに世界記録が更新される。
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2025-02-06 ジェルマン素数とその周辺 リアル「ベルばら」
18世紀のパリで生まれパリで死んだ Marie-Sophie Germain(マリー・ソフィー・ジェルマン)。その数奇な人生は、数論の歴史における「ベルサイユのばら」ともいえる。
フランス革命が勃発しバスティーユが陥落したとき、 Sophie は13歳の少女だった。自宅にこもって独学を始めたのも、革命の大混乱のため外出は危険だったかららしい。革命後の恐怖政治の時代、学問は心の慰め・避難所ともなっただろう。
当時「数学は女のすることではない」というのが社会常識だった。数学者になりたいという Sophie は、両親の強い反対に遭った。他の数学者に手紙を書くときには、ムッシュー・ルブラン(M LeBlanc)という偽名を使い、男性に成り済ました。「女と知られると真面目に読んでもらえないかも」と心配したらしい。 LeBlanc はありふれた姓だが、フランス語で「白」という意味――可憐なペンネームの選択だ。
史実として Germain の業績は国際的な強い影響力を持ち、100年以上にわたって Fermat の最終定理の研究を方向づけることになる。 Legendre の整数論の一部も、実質的には Germain が書いたらしい。――そんな人が、女だからという理由で最高学府 École Polytechnique に入学できないというのは、理不尽だ。革命では「自由・平等」をモットーに民衆が勝利したということになってるけど、実情はあまり平等でもなかったようだ。
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2025-02-04 約数の個数とベルヌーイ数 98 には約数が何個?
250 には約数が何個あるか? 小学生の算数の問題のようだが、その発想を応用することで、「Bernoulli 数の中には、分母が 6 のものが無限個あること」を簡単に証明できる。
画像・上部は、関孝和(せき・ただかず、せき・こうわ)の『括要算法』(1712年)。下部は Bernoulli(ベルヌリ、ベルヌーイ)の『Ars conjectandi』(1713年)。日本とスイスで、ほとんど同時に B2 = 1/6, B4 = −1/30, B6 = 1/42, B8 = −1/30 等々が記述されたのは、不思議なことだ。「関の本の方が1年早いので、これらの数は Bernoulli 数でなく Seki 数と呼ばれるべきだ」と考える人もいる。
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2025-01-31 「ソフィー・ジェルマン素数」の連鎖
2 以上の整数のうち、 1 と自分自身でしか割り切れないものは素数と呼ばれる(例: 5, 7, 19)。
p が素数のとき、 2p は 1 と自分自身の他 2 と p でも割り切れるので、約数を 4 個、持つ(例: p = 5 のとき 2p = 10 の約数は 1, 2, 5, 10)。それでは 2p+1 はどうか。今の例では 2p+1 = 11 は素数。このように 2p+1 も素数になるような素数 p は、 Sophie Germain (ソフィ・ジェゥメン、ソフィー・ジェルマン)素数と呼ばれる(以下、単に Germain 素数と記す)。
p が Germain 素数なら 2p+1 も素数だが、この 2p+1 という素数が再び Germain 素数になるケースもある。例えば 5 → 11 は、どちらも Germain 素数(なぜなら 2⋅11 + 1 = 23 も素数)。さらに素数 23 も Germain 素数(なぜなら 2⋅23 + 1 = 47 も素数)。このような「Germain 素数の連鎖」は、どのくらい長く続き得るものだろうか?
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2025-01-28 EFF: Proton への懸念を示唆
スイスの Proton (旧: ProtonMail)は、プライバシー志向をうたった有名なウェブメール・プロバイダー(VPN など他のサービスも提供している)。無料で使えるプランもあり、電話番号などの個人情報を求められずに、匿名でサインアップ可能。 Tor 経由でも問題なく利用でき、専用の .onion アドレスも提供されている。このため、ネット上にまん延するプライバシー侵害(例: 私信を全文スキャンして情報を集める Gmail)に嫌気が差した人々の間で支持を集め、2021年ごろまでは「定番」と言っても良かった。
だが何事にも、良い面と悪い面があるもの。 Proton にもさまざまな問題点があり、2021年ごろから不祥事が続発したこともあって、その信頼性を疑問視するユーザーも少なくない。事実上の最大のライバルは、ドイツの Tuta (旧: Tutanota)。2025年現在、両者は人気を二分している。
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2025-01-26 「6 の倍数 + 1」の形の素数は無限個ある 7, 13, 19, 31, …
分母が 6 の Bernoulli 数は、無限個ある。関連する話題について、何回かに分けて考えみたい。
Bernoulli(ベルヌリ、ベルヌーイ)の数のうち、分母 6 のものが無限個あること。その一つの証明法は 6k+1 型素数が無限にあることに基づく。 Knuth たちは、より簡単な別証明を記している。実は、さらに簡単な証明法もある。
今回は、 6k+1 型素数(6 の倍数より 1 大きい)が無限に存在あること――そのこと自体は Bernoulli 数とは関係ないが――だけを扱う。
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2025-01-23 12 + 22 + 32 + 42 = 30 を平方すると 「3、5、5」の法則
13 + 23 + 33 + 43 = 1 + 8 + 27 + 64 = 100 のような「3乗和」。それが、対応する1乗和(1 + 2 + 3 + 4 = 10)の平方に等しいことは、印象的だ。
実はこの、
(1乗和)2 = (3乗和)
という関係には「マニアックな続編」があって、
(3乗和)2 = (5乗和 + 7乗和)/2
が成り立つ。素朴な疑問として、
(2乗和)2
についても、この種の恒等式があるのだろうか?
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2025-01-22 お知らせ 訂正・おわび
三つのメモについて。
①「なぜ 3 + 5 は 23 に等しいか?」の最後の部分の計算(別証明)に書き間違いがあり、結果は正しいものの、つじつまが合わなくなっていたので、訂正しました。「12 + 22 + 32 + 42 + 52 も 5 の倍数 v. シュタウトの定理」の中にも、微妙な不備が複数あったので、とりあえず気が付いた部分は全部修正しました。
②「なぜ 1 + 2 + 3 + 4 は 5 の倍数か? 簡単なようで深遠」と③「12 + 22 + 32 + 42 + 52 も 5 の倍数 v. シュタウトの定理」の二つのメモは、前編・後編のような関係です。前編だけでも、独立した軽い読み切り。前編・後編セットだと「フォン・シュタウト&クラウセンの定理」の証明になってます。
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2025-01-20 なぜ 3 + 5 は 23 に等しいか?
奇数を次のように順々に足すと、立方数になる。
①初めの1個 1 = 1 = 13
②次の2個 3 + 5 = 8 = 23
③次の3個 7 + 9 + 11 = 27 = 33
④次の4個 13 + 15 + 17 + 19 = 64 = 43
···
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2025-01-19 12 + 22 + 32 + 42 + 52 も 5 の倍数 v. シュタウトの定理
12 + 22 + 32 + 42 = 1 + 4 + 9 + 16 = 30 は 5 の倍数。より一般的に A = 1m + 2m + 3m + 4m は大抵、5 の倍数。例外として、 m が 4 の倍数のときに限って、和 A は 5 の倍数より 1 小さい数になる。
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2025-01-16 なぜ 1 + 2 + 3 + 4 は 5 の倍数か? 簡単なようで深遠
1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7 + 8 + 9 + 10 = 55 という和をご存じの方は多いだろう。
12 + 22 + 32 + 42 + 52 = 1 + 4 + 9 + 16 + 25 も = 55 だっ!
結果が同じ 55 になるのは「偶然」だが、もう少し足し算すると:
1 + 2 + ··· + 10 + 11 + 12 + 13 = 55 + 11 + 12 + 13 = 91
12 + 22 + 32 + 42 + 52 + 62 = 55 + 36 = 91
また一致したっっ!
これも「単なる偶然」なのだが、好奇心を刺激する。「偶然ではない隠れた性質」もある。最初の例で、「11」の手前の 10 まで足した和 55 は「11」の倍数。二番目の例で、「7」の手前の 6 まで平方して足した和 91 は「7」の倍数。一般に p が素数のとき、 m 乗和 1m + 2m + ··· + (p − 1)m は p の倍数になることが多い(55 の例では p = 11, m = 1。 91 の例では p = 7, m = 2)。なぜ?
話は変わるが A = 1 + 2 + 3 + 4 = 10 とすると、 B = 13 + 23 + 33 + 43 = 1 + 8 + 27 + 64 = 100 は A2 に等しい。
一方 C = 15 + 25 + 35 + 45 = 1 + 32 + 243 + 1024 = 1300 と D = 17 + 27 + 37 + 47 = 1 + 128 + 2187 + 16384 = 18700 を足し合わせると、ちょうど 20000。つまり C + D は B2 の2倍に等しい:
(15 + 25 + 35 + 45) + (17 + 27 + 37 + 47)
= 2(13 + 23 + 33 + 43)2
= 2(1 + 2 + 3 + 4)4
このちょっと神秘的で美しい等式は「偶然」ではなく、一般に 1 から n までの1乗和・3乗和・5乗和・7乗和は、同様の関係を満たすのです。
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2025-01-14 べき和公式の因子(その7) 11乗和(別の方法)
S11(n) の8次の因子を「奇数次の項のない8次式」(x についての)に変換し、 x2 についての4次方程式に帰着させる。
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2025-01-12 べき和公式の因子(その6) 11乗和
S11(n) は、根をぎりぎり初等的に扱える最後のべき和だ。余因子は既約の8次式だが、4次方程式に帰着可能。
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2025-01-11 Verlaine の「秋のうた」 日本語訳3種+原文解説
19世紀フランスの詩人 Verlaine は、日本語では「ヴェルレーヌ」と呼ばれる。「秋のうた」は代表作の一つで、世界の名詩に数えられる。意味的には「秋のバイオリンの長いすすり泣きが、僕の心を傷つける。モノトーンなけだるさの…」と始まる。
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「チラ裏」は、きちんとまとまった記事ではなく、断片的なメモです…
置換 y = x + 1/x を使って16次方程式 x16 + x15 + ··· + x + 1 = 0 を解く
三重根号の簡約
√(10 + 2√) + √(5 + 2√) = √(25 + 10√)
tan2 20° + tan2 40° + tan2 80° = 33
複々素数の不思議な割り算 乗除の奇妙な冒険
2024年1月12日 十六元数の零因子 君は 0 を割ることができるか?
初等的証明に成功! 世界初かも?
2024年1月17日 Moufang 恒等式の同値性 初等的証明
これも(ネットでは)世界初かも。教科書的には autotopism を使うのだが、そんなややこしい概念は必要ない。
2024年2月7日 ゾクッとする式・きれいな式 tan2 20° + tan2 40° + tan2 80° = 33
2024年3月3日 一辺 1 の正五角形の面積 算数バージョン
2024年3月27日 五・六・十角形の恒等式 現代とは違う感覚
2024年4月11日 正17角形は作図可能? 複素数を使わない気軽な散策
2024年6月3日 arctan 1 + arctan 2 + arctan 3 = π 三角形の内心
2024年6月11日 Linux の Live OS 気軽にいろいろ試せるよ
2024年9月24日 「1 の5乗根」について (x2 + x/2 + 1)2 の利用
2024年10月10日 x17 = 1 の代数的解法 ガウスの式の応用
2024年11月9日 ガウス和・別証明 クロネッカー博士の異常な足し算 または 私はいかにして心配するのをやめ三重和を愛するようになったか
Map
の長所、splice
より速い要素挿入法も紹介。 〔最終更新: 2023年4月1日〕bdi
要素と Unicode 6.3 の新しい双方向アルゴリズム (2012-12-04)dir
属性は落とし穴が多い。HTML5 の <bdi>
は役立つ。近い将来、「ユーザー入力欄などの語句は、このタグで隔離」が常識になるかも。 〔最終更新: 2014年4月27日〕fad()
は濁りやすい。各種の代替手段を紹介。 Tor Browser
プライバシー志向のブラウザ。監視・追跡されずにウェブページを閲覧。「個人情報を登録したサイト」にこれでログインしてはいけない。
BES, Battle Encoder Shirasé 1.7.9 & 1.8.0.31: Per-Process CPU Limiter (archive)
a3r (ASS_Help3r): ASS timing/typesetting v0.2.0.0 (archive)
75C0 706B 3CD0 B5D0
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