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2025-07-08 コーシー/ミリマノフ多項式(その7) 回文多項式について
ƒ(x) が回文的な多項式のとき、 x = w が ƒ(x) の根なら x = 1/w も ƒ(x) の根(定理1)。この定理の「逆」も成り立つ。「定理」と呼ぶほどの大げさなことでもないけど、 Cauchy–Mirimanoff 多項式の研究の土台ともいえるので、明示的に証明しておく。
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2025-07-07 コーシー/ミリマノフ多項式(その6) 109.90004°
古人いわく、数学は科学の女王であり、数論は数学の女王である。女王は必要性ゆえにではなく、その美しさゆえに愛される。
優雅な恒等式
(x + 1)9 − x9 − 1 = 9(x2 + x) × [(x2 + x + 1)3 + (1/3)(x2 + x)2]
(x + 1)11 − x11 − 1 = 11(x2 + x)(x2 + x + 1)
× [(x2 + x + 1)3 + (x2 + x)2]
(x + 1)13 − x13 − 1 = 13(x2 + x)(x2 + x + 1)2
× [(x2 + x + 1)3 + 2(x2 + x)2]
n = 9 の式は、あえて 9 をくくり出すのがチャームポイント? ←本質と関係ないw
いやぁ、なかなかきれいじゃありませんか。いえいえ、だからなんだというわけでも、これが何に役立つというわけでもないんですが。――といっても、たぶん多くの人は、このような「数式」を見ると「学校の勉強」とか「公式の暗記」とか「受験競争」とかを連想し、あまり愉快ではない気分になるのだろう。美しいものの美しさが無視され、むしろ苦痛を生むものとして受け止められている現状(教育のあり方・数学の扱われ方)は残念なことであり、美の女神に対する
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2025-07-06 コーシー/ミリマノフ多項式(その5) 因子の個数
Cauchy の定理から、例えば (x + y)7 − x7 − y7 は因子 (x2 + xy + y2)2 を持つことが保証されている。つまり x2 + xy + y2 で(少なくとも)2 回割り切れる。
(x + y)13 − x13 − y13
(x + y)19 − x19 − y19
等々もまたしかり。では、このタイプの式が x2 + xy + y2 で 3 回以上、割り切れることは起こり得るか?
(x + y)61 − x61 − y61
みたいなものすごい指数の多項式が、ひょっとして (x2 + xy + y2)3 で割り切れたとしても、まぁ「あり得ない」という感じはしない。60次くらいありゃぁ、ひょっとしてゴチャゴチャ因子もいっぱいあるかもね、と。だがしかし、この因子に関する限り「そんなことはあり得ない」と断言できるのであるっ!
(この形の多項式に Cauchy の定理が示す因子以外の因子が全くないのか?というのは、現在でも一般には未解決の難問らしい…)
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2025-07-05 コーシー/ミリマノフ多項式(その4) 6次式の形
Cauchy–Mirimanoff 多項式 En(x) というのは、
(x + 1)n − xn − 1
を (x2 + x)(x2 + x + 1)m で割ったとき(多項式として割り切れる)の商。ここで n は(とりあえず) 3 以上の奇数。 n を 3 で割った余りが 0, 1, 2 のどれになるかに応じて m = 0, 2, 1 とする。
話の前提として、例えば
(x + 1)11 − x11 − 1
は (x2 + x)(x2 + x + 1) で割り切れ(商 x6 + 3x5 + 7x4 + 9x3 + 7x2 + 3x + 1 は Cauchy–Mirimanoff 多項式の例)、
(x + 1)13 − x13 − 1
は (x2 + x)(x2 + x + 1)2 で割り切れる! これはそれ自体としても特筆すべき事柄であり(Cauchy の定理)、 Wolstenholme のパズルなど、幾つかの美しい恒等式とも関連する。割り切れた後に残る商が、また面白い。ロシアで生まれ、後にスイスに移住したドミトリイ・ミリマノフ(Dmitry Mirimanoff, 1861–1945)によって、その研究が始まった。ミリマノフの先祖はジョージア(グルジア)に住んだが、アルメニア系の
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2025-07-04 コーシー/ミリマノフ多項式(その3) E(x) は実根を持たない
1839年、 Cauchy (コーシー)と Liouville (リューヴィル) は次の定理を記した†。 x, y を変数とする多項式 (x + y)p から xp と yp を引いたものは(p: 素数)、 pxy(x + y) で割り切れるだけでなく、 p > 3 なら x2 + xy + y2 でも割り切れる――特に p が 6 の倍数より 1 大きいときには、 (x2 + xy + y2)2 で割り切れる。この結果、
(x + y)5 − x5 − y5 = 5xy(x + y)(x2 + xy + y2)
(x + y)7 − x7 − y7 = 7xy(x + y)(x2 + xy + y2)2
(x + y)11 − x11 − y11 = 11xy(x + y)(x2 + xy + y2)⋅Q11
(x + y)13 − x13 − y13 = 13xy(x + y)(x2 + xy + y2)2⋅Q13
︙
のような、美しい恒等式が成り立つ。 p = 5, 7 の場合、割り切れた結果の商は 1 だが、 p = 11, 13 の場合の商 Q11, Q13 は6次式で、幾つかの興味深い性質を持つ。 y = 1 として x についての多項式として見た Q11, Q13 が、どちらも実部 −1/2 の根を二つずつ持つ――という数値的観察(予想)を一つの手掛かりとして、あまり研究されていないであろうこのマイナーな野原で、もう少し遊んでみたい。
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2025-07-02 散歩の楽しさ
気持ちのいい静かな道を歩くのは、楽しい。森林に漂うかぐわしい香りは、心を落ち着かせてくれる(少し苦み走ったような針葉樹や、みずみずしく、かすかに甘酸っぱいような広葉樹)。峻厳で神々しい高山はもちろん、たとえ近郊の丘や低山でも…
土地によっては、日常の身近な背景に高い山が見えている。ただ景色の片隅に「見上げるような、雪を頂く山がある」というだけで、気持ちの上で何か良い影響があるようだ。
尾根に出て、突然すてきな展望が開けたときには心が躍る! 地図の上では「この位置からこの方向を眺めれば、あの山々が見える」といった「ただの事実」なのだが、気まぐれに散策していて思いがけず素晴らしい眺望に出会うと、立ち止まって見とれてしまう。それを人に説明することは、必ずしも容易でないのだが――「わざわざ汗水流して何時間も山や谷をさまよい、くたくたになって何の得があるのか。何が面白いのか」と人は問うかもしれない。道に迷ってひどく不安になったり、苦労したりすることが多いのも事実だし…
息抜きの散歩をしていて「面白いもの」を見つけたとき、その「面白い」というのはひどく主観的なことで、人にとっては「どうでもいいこと」かもしれない。当事者にとっては、面白いものは面白く、記念にメモしておきたいこともある。その「発見」はさらに素晴らしいことの一部かもしれず、覚書が後から重大なヒントとなるかもしれない。特に「この場所にはもっと深い秘密がある。さらなる探検の余地がある」ということが感じられる場合には…
結局、散歩するのは、単純に「散歩が好きだから」だろう。新しいおもちゃを手に入れた子どもが、ただただ夢中になって、そのおもちゃで遊ぶように…
もちろん子どもは、「おもちゃで遊ぶ自分ってすごい!」「人と違う遊び方をする自分は偉い!」などと「自分」の自慢をしたいわけではない――「おもちゃ」自体や、「思い付いた面白い遊び方」については、なにやら語るかもしれないとしても。「そんなおもちゃで毎日何時間も遊んで、一体何が楽しいの?」と聞かれても説明できないけど、子どもは「なぜ楽しいのか説明して理解してもらうために」遊んでるわけじゃない――それこそ「われを忘れて」夢中になって没頭し、「自分がどうこう」「人にどう見られるか」といった意識は消し飛んでいる。
「人にどう見られるか・他人を感心させられるか」といったパラメーターと全く無関係に何かを楽しめるということは、「ひも付きでないピュアな幸せ」だ――その喜びは「得点・評価」のような「誰かによって測定・決定される外部パラメーター」の形で押し付けられるものではなく、「その行為自体」に内在し、「自分自身の心の中」からダイレクトに生じる。
「散歩が好きだから、のんびり気ままに散歩を楽しむ」といったことは、この上なくシンプルな話で、原理的には、誰にでも簡単に実行できることだろう。散歩が好きな者にとっては、散歩すること自体が楽しい――すてきな景色に出会えても出会えなくても、成果があってもなくても。それは最も根源的な意味での「生きる意味」の実現かもしれない。
あしたはもう帰る日で、散歩に行けないかもしれない。だからこそ、今日の散歩は味わい深い。
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2025-07-01 コーシー/ミリマノフ多項式(その2) 根の実部 −1/2 について
Cauchy 型の分解 (x + 1)11 − x11 − 1 = 11x(x + 1)(x2 + x + 1) E(x) において、
E(x) = x6 + 3x5 + 7x4 + 9x3 + 7x2 + 3x + 1
の根のうち二つは −1/2 ± i⋅1.7023216604… つまり実部がちょうど −1/2。なぜ?
シンプルで基本的な事実のはずだが、どの文献にも記載がない。
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2025-06-25 二項係数の飛び石和(その3) Ramus の恒等式
オフセットが 0 ではない場合も含めて、 Ramus の恒等式の一般形を導く。
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2025-06-22 二項係数の飛び石和(その2) オフセット 0 の場合
二項係数の和 (n C s+t) + (n C 2s+t) + (n C 3s+t) + ··· は、刻み幅 s が 2, 3, 4 程度であれば、比較的簡単に求められる。一般の場合の扱い(Ramus の恒等式の導出)は、やや難易度が高い。このシリーズの前回のメモでは、 s = 1, 2, 3 のケースを扱った。今回はアルゴリズムを整理・拡張し、任意の s ≥ 1 を扱う。ただし t = 0 に話を限る。その制限を外した一般の 0 ≤ t < s の扱いについては、次回に。
二項係数を一定間隔 s で抜き出して足す――この単純な操作の裏に「1 の s 乗根」があるとは、誰が予想しただろう!
時計仕掛けのコサインたちが吐き出し、組み合わされる複雑な数。観客席から見える和は普通の整数なのに、背後のからくりは、壮大にしてうつろ。
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2025-06-19 Wolstenholme の問題113番 (a11 + b11 + c11)/11
1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 = 25/12 の分子は 52 で割り切れる。
1 + 1/2 + 1/3 + 1/4 + 1/5 + 1/6 = 147/60 = 49/20 の分子は 72 で割り切れる。
一般に 5 以上の素数 p の「一つ手前の数」まで同様に逆数を足すと、分子は p2 で割り切れる! 昔この不思議な性質にたまたま気付いて強い印象を受け、やがてそれが Wolstenholme (ウォルステンホーム)の定理と呼ばれることを知った。――19世紀英国の Joseph Wolstenholme は、この種の興味深い関係をいろいろ記し、印象的な「パズル」も残している。その一つを紹介したい。
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2025-06-18 コーシー/ミリマノフ多項式 7乗を越えて
コーシーの恒等式で y = 1 と置いたもののうち、
(x + 1)5 − x5 − 1 = 5x(x + 1)(x2 + x + 1)
(x + 1)7 − x7 − 1 = 7x(x + 1)(x2 + x + 1)2
の二つは、全部の根が一目瞭然。本当の冒険は「11乗バージョン」から。このタイプの多項式は、「コーシーの定理が保証する因子」以外の因子を持たない――1903年に Mirimanoff (ミリマノフ)はそう予想した。一般の場合については、依然として未解決問題のようだ。
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2025-06-17 (x + y)n − xn − yn コーシーの定理の別証明
(x + y)5 − x5 − y5 = 5xy(x + y)(x2 + xy + y2) という分解や、その7乗バージョンは、独特の美しさを持つ。この分解は5乗と7乗のときだけの特殊現象ではなく、11乗・13乗等々の同様の式も、同様の因子を持つ。「二項係数の飛び石和」との関連性は、単純な観察だが面白い。
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2025-06-16 二項係数の飛び石和 パスカルの三角形
パスカル(Pascal)の三角形は 1 + 2 = 3 のような単純な足し算でできている。すなわち各数は、自分の「左上にある数」と「右上にある数」(空欄なら 0 と見なす)の和。
パスカルの三角形のてっぺんの「1 だけ」を第 0 行、次の「1, 1」を第 1 行、そのまた次の「1, 2, 1」を第 2 行、一般に「1, n」から始まる行を第 n 行と呼ぶことにしよう。ある一つの行について、次のような「飛び飛びの和」を考える。例えば、第 7 行
1, 7, 21, 35, 35, 21, 7, 1
から、数値を三つごと(二つ置き)の一定間隔で抜き出す――左端の 1 から始めた場合、 1 と 35 と 7 が同じ「三つごと」の系列(仮に「ア」とする)に属し、それらの和は 1 + 35 + 7 = 43。同様に、同じ行において、左端の一つ隣の 7 から始めた「イ」の和は 7 + 35 + 1 = 43 で、左端の二つ隣の 21 から始めた「ウ」の和は 21 + 21 = 42。
問題 パスカルの三角形の第 n 行について、このような「三つに一つの割合で飛び飛びに足し算」した和ア・イ・ウは、それぞれどんな式で表されるか?
上記の例では 43, 43, 42 となって、誤差 ±1 でア・イ・ウが一致するが、どの段でもそうなると言い切れるか?
より一般的に「s 個に一つの割合で飛び飛びに足した和」は?
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2025-06-13 (x + y)n − xn − yn コーシーの定理の簡単化
Cauchy & Liouville の定理と「周期 6 の振る舞い」について、既存の文献の証明の簡単化に成功した。アイデアの源泉は、別の場所で「ロシア公式」と呼んだもの。実際には、あのパズルの出典はロシアではなく、英国の Wolstenholme だった。
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2025-06-11 「ロシア公式」(Wolstenholme のパズル)について
3次式 z3 − Az + Bz − C の根を a, b, c として、 a, b, c についての対称式の値を A = a + b + c, B = ab + ac + bc, C = abc を使って表すことは、ありふれた操作だ。「ロシア公式」も、本質的には平凡な問題に過ぎない。ただし、対称式の理論を使わない別解の中に、興味深いものがある。
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2025-06-08 1/27 = 0.037037… とその恋人
次の二つの数。無限に続く循環小数とはいえ、桁の並び方がシンプル。互いに「恋人同士」のようだ:
1/27 = 0.037 037 037…
1/37 = 0.027 027 027…
27 の逆数では「037」がループし、 37 の逆数は「027」がループする。このシンメトリックな性質は「偶然」だろうか?
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「チラ裏」は、きちんとまとまった記事ではなく、断片的なメモです…
2025年4月6日 1 + 1/22 + 1/32 + … = π2/6 の別証明
2025年1月16/19日 なぜ 1 + 2 + 3 + 4 は 5 の倍数か? / 12 + 22 + 32 + 42 + 52 も 5 の倍数
フォン・シュタウト&クラウセンの定理
2025年1月11日 Verlaine の「秋のうた」 日本語訳3種+原文解説
2024年6月11日 Linux の Live OS 気軽にいろいろ試せるよ
2024年4月11日 正17角形は作図可能? 複素数を使わない気軽な散策
2024年1月12日 十六元数の零因子 君は 0 を割ることができるか?
初等的証明に成功! 世界初かも?
2024年1月17日 Moufang 恒等式の同値性 初等的証明
これも(ネットでは)世界初かも。教科書的には autotopism を使うのだが、そんなややこしい概念は必要ない。
Map
の長所、splice
より速い要素挿入法も紹介。 〔最終更新: 2023年4月1日〕bdi
要素と Unicode 6.3 の新しい双方向アルゴリズム (2012-12-04)dir
属性は落とし穴が多い。HTML5 の <bdi>
は役立つ。近い将来、「ユーザー入力欄などの語句は、このタグで隔離」が常識になるかも。 〔最終更新: 2014年4月27日〕fad()
は濁りやすい。各種の代替手段を紹介。Tor Browser
プライバシー志向のブラウザ。監視・追跡されずにウェブページを閲覧。「個人情報を登録したサイト」にこれでログインしてはいけない。
BES, Battle Encoder Shirasé 1.7.10 (March, 2025) & 1.8.0.39: Per-Process CPU Limiter (archive)
a3r (ASS_Help3r): ASS timing/typesetting v0.2.0.0-20250511 (archive)
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