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チラ裏
「チラ裏」はメモ。誤字・誤記・脱線が多いです!
2023-12-08 Google で18年働いた人の述懐 最初は素晴らしい会社だった…
Reflecting on 18 years at Google
https://ln.hixie.ch/?start=1700627373&count=1
名指しで批判している部分については引用しないが、この元社員の意見だと、長期的ビジョンを失い、短期的な自社株価の値動きばかり気にする会社になってしまったことが、敗因だという。前半「どんなに素晴らしい会社だったか」ということを誇らしげに、しかし過去形で長々と書いている部分が、かえって痛切。
そういえば割と最近 Lemmy だったと思うけど、次のような趣旨のコメントを読んだ。「知人や友人に、もっと自分のプライバシーを大切にするように言ってみたが、誰も耳を貸さない。それで、吐き気をこらえながら Google の株を購入した」というような…正確な引用ではないが、要するに「人々は搾取され続け Google の利益は上がり続けるだろう」という読みらしい。他方、この元社員(2023年11月に退職)の筆致では Google の病はまだ手遅れではないが、早く何とかしないと、あと少しで手遅れになって不可逆的に崩壊するという。
抜粋
Morale is at an all-time low. If you talk to therapists in the bay area, they will tell you all their Google clients are unhappy with Google.
In 2004, Google's founders famously told Wall Street "Google is not a conventional company. We do not intend to become one." but that Google is no more.
It's definitely not too late to heal Google. It would require some shake-up at the top of the company, moving the centre of power from the CFO's office back to someone with a clear long-term vision for how to use Google's extensive resources to deliver value to users.
I do think the clock is ticking, though. The deterioration of Google's culture will eventually become irreversible, because the kinds of people whom you need to act as moral compass are the same kinds of people who don't join an organisation without a moral compass.
素晴らしいビジョンの持ち主、鋭い洞察力の持ち主の周りには、自然とクリティカルな思考の持ち主が集まってくるけど、自己保身が最優先のよどんだ政治家のようなところには…
一般の人がどう思っているのかはともかく Web Environment Integrity は猛烈な批判に遭い、結局、撤回したらしい。「これをやった Google のコーダーは一生再就職できないぞ」とまで言われていた。けれど… Google のプログラマーがみな重い気持ちでセラピストにかかっているという話については「いい気味だ」などとは、とても思えない。企業が腐ってしまう場合、普通は「現場の人が悪意のコードを書いている」のではなく、もっと高いレベルの問題が起きているのだろう。現場の人は首になりたくないし、そのリスクを冒してまで声を上げるような勇敢な人は、さっさと自分から去ってしまうだろうし、悪くなり始めると悪循環が起きる。
そして Manifest V3 は引っ込めていない。今が良いわけでもないのに、さらに悪くするという…。「ウイルスのように広告をばらまくことしか考えていない」と言われても仕方ない。現場の一開発者が「こんなことはやめましょう」と言っても、どうにもならない状態なのだろう。
元社員は初期の批判について「いわれなき批判であった」と反論しているが、勘がいい人は、何げないことから直観的に「やばい」と感じるもので、意図はともかく結果的にこうなってしまったのだから、先見の明のある批判だったということになる。もっともそれは「現場の開発者が悪意のことをしているぞ!」という個人的な批判ではなく、企業のにおいのようなものは、中の人にはかえって分からないと思われる。
2023-12-06 アムネスティ・インターナショナルTor/onion採用 しかし問題も…
ノーベル平和賞も受けている有名な国際組織 Amnesty International が公式ウェブサイトの .onion バージョンの提供を開始。
Tor による安全な .onion によって、世界中の人々が自由に情報にアクセスし意見を交換できるようにしたいとのこと。
.onion ドメインは Tor の「Hidde service」と呼ばれるもので、Torネットワークから出ることなく、ウェブを利用できる(注: Tor 専用アドレスなので、普通のブラウザではアクセスできない)。悪意の出口ノードに監視されたり、Torネットワークを出た後 CloudFlare のようなCDNにブロックされたりするリスクをなくすことができる。かつては「Darkweb」とも呼ばれダークなイメージがあったが、現在ではプライバシー関連のサイトはもちろん BBC や New York Times にも採用され、安全なアクセス性に貢献している。対義語は「Clearnet」。
残念ながら、アムネスティのオニオンは、あまり良くできていない:
amnestyl337aduwuvpf57irfl54ggtnuera45ygcxzuftwxjvvmpuzqd.onion
せっかくのオニオンなのに、クリアネットからリソースを読み込んでいる上、読み込んでいる中には googletagmanager(.)com まである。こんな状態で「The .onion site provides a means for individuals around the world to exercise their rights to privacy」とドヤ顔のコメント。顔を洗って出直せと言いたい。最近は「Tor より I2P の方が良いのでは」という意見もある。周回遅れのプライバシー後進地域(オニオンさえない)のアジアもどうにかしてほしいところだが、人民日報がオニオンサイトを作る日が来るのだろうか…
Tails の Tor Browser に奇妙なバグがある。 uBlock Origin のアイコンをいじると、クラッシュすることがある。
https://gitlab.tails.boum.org/tails/tails/-/issues/20061
Tor Browser 側の不具合で、昨日(2023年12月5日)リリースされた 13.0.6 で修正された模様。下流の Tails の更新もすぐだろう。
アジアに限らず、一般論として、Tor には誤解や偏見もまだ根強い。実際、個人情報をさらして登録している場所に Tor でログインするのは、無意味どころが逆効果だろうけど、個人情報を渡さずプライベートでブラウジングしたい場合、うまく使えば便利なツールには違いない。自由ソフトウェア陣営の FSF, EFF はもとより、ノーベル平和賞の組織も推奨しているのだから、試してみてはいかがでしょう。とはいえ、手放しで推奨できない面もある。上記のように CloudFlare にスキャンされたり、ブロックされたりするのは、大変うっとうしい。 Mastodon インスタンスの中には onion 版もあるので、Twitter のようなものを脱出して、そういうのを試してもいいかもしれない。
2010年の映画『Remember Me』には、こんなせりふがある…
ガンジーは言った。「あなたが人生で何をしようが、取るに足りないことだろう。けれど、あなたがそれをするというのは、とても重要なことだ。なぜなら他の誰もしないから」
2023-12-05 交代代数の「交代」とは a × a × a と a3 は同じか?
#数論 #FairyGlass #八元数 #抽象代数
(2 × 3) × 5 = 2 × (3 × 5) のような結合法則は、あまりに当たり前で、注目に値しないように思える。ところが八元数の世界では、この
(ab)c = a(bc)
という無邪気な関係が、一般には成り立たない。八元数は、結合法則ではなく交代法則を満たすという。交代法則とは何者で、一体何が「交代」するというのだろう…?
a = b = c の場合を考えていくと、一種奇妙な疑問が生じる: a × a × a を a3 と書くことは、常に可能か?
「それが 3 乗の定義なんだから a × a × a と a3 は同じに決まってるじゃん。ばかは、くだらん疑問を抱くんだな…」と優等生の人は感じるかもしれないが、果たしてその感覚は本当に正しいか…?
前回の FairyGlass
の実装を約40%高速化できたので、それもメモ。
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2023-12-04 ビットコイン1年半ぶり40K ドル円は一息
2023年12月3日の深夜から4日にかけて 1 BTC = 40,000 USD を突破。現在 41.5K、ユーロでは 39.5K 付近。
一方 uj は一時 152 円付近まで行き、日本経済に不穏な影を落としている。11月後半から少し下がって 150 を切り、現在 USD/JPY は 147 付近。高値から見ると 2~3% 落ちてくれたとはいえ、150 を切ってホッとしているという状況そのものが芳しくない。せめて 130 くらいに戻ってもらいたいもんだが、先行き不透明。消費者からすれば冬の燃料費に影響するかと…
BTC については小銭がウォレットにあるので 40K は悪いニュースではないけど、この過熱も先行き不透明。「どんどん上がってるみたいだから、今からでも大量に買おうかな?」と思う人もいるかもしれないが、どっちに転ぶか分からないし、「悪銭身につかず」ともいう。特に中央の取引所を通す場合、構造的に必ず損をする仕組みになっている上、金銭的な損得は回復可能でも失われたプライバシーは元に戻せない。
2022年5月に「20Kより下はないと読むなら、30Kより下では、様子を見ながら少しずつ買ってもいいだろう。さらに大きく下がる可能性があるので、弾薬を残しておこう」と怪しげなことを記したが、その後、実際暴落があって投資の人はパニック。それをちゃっかり 20K で譲ってもらい…20 で買ったものが2倍の 40 になって、大もうけ?
もちろん現実は、そう甘くない。
第一に、どう動くか誰にも分からない。実は去年 12~16K くらいまで落ちると思って「そこでまとめ買いしよう」と待ち過ぎてしまい、20 より下では少ししか買わなかった。第二に、転売目的の投資と違い実需なので、買ったそばからサーバー代の支払い・寄付などでどんどん使ってしまい、小遣い程度しか買い持ちしていない。だから相場が動いても、損もしないが大して得もしない(買ったレートでそのまま使うだけなので)。とはいえ、くさってもビットコイン。ウェブの共通通貨なので、いくらプライバシー信者でも多少は手元に常備してある: 今あるのは 20 と 30 の間で買った残りなので、40 で使えば、損はしていない。「来年使うときには、どうせ50ユーロくらいになってるだろうと甘く考えるなら、20ユーロで買っても30ユーロで買っても、大した違いではない」と去年書いたのは、そういう意味。
投資家が来る前からの長年のユーザーとして、Bitcoin (BTC) には一種の郷愁がある――今の Bitcoin は変わってしまい、規制・規制で当初の実験精神・理想主義の面影もないけど…。金銭的な損得を度外視して、純粋にプライバシーツールと考えるなら、やはり Monero (XMR) が良い。 Reddit を捨てた privacyguides.org でも推奨ツールとなっている。企業が中心にならずコミュニティーベースであること、そのコミュニティーがおおむね良いムードであること、誰も浅ましい投資の話などせず技術色が強いこと…これほどユーザーに愛されている通貨はあまりないだろう。悪意のハッカーが、ランサムウェアなどでこれを乱用しているのがイメージダウンで玉にきずだが、技術は価値中立的でユーザーの善悪を判断しない。判断しようとすれば、大量の個人情報・手続き・中央管理が必要になり、プライバシーコインの本旨に反する。難しいジレンマだ。
一方、金銭的な損得だけを考えるなら XMR はお薦めできない。ちょっと前は1モネロが 200 ユーロより上で使えたのに、今は 150 ユーロくらいなので、金銭的には大損。「50ユーロ損する可能性があっても、プライバシーを買いたいか?」と問われれば、大抵の人は「そうは思わない」だろう。しかもプライバシーコインには規制圧力の問題が付き物。少なくとも中央の業者を通している限りにおいて、ある日、全く使えなくなって持ってる価値ゼロになるかもしれない…。各国の制度がどうなっているのか詳しくは知らないけど、日本・韓国などのアジアでは、法的規制・自主規制によって、中央の業者では取り扱わず、従ってアジアの一般人がプライバシーコインを活用することは、簡単ではないらしい。どっちにしても、身分証を提示して中央の業者と取引するようでは、プライバシーコインの意味が半減してしまう。
ユーザーは自分で自分の鍵を持ち、誰かの許可を得ることなく直接決済(手数料ほぼゼロ)ができる半面、だまされたり失敗したりした場合、誰にも助けてもらえない。「中央による管理・消費者保護」のような伝統的な枠組みに慣れ切った一般人にとって、何かあっても「払い戻し」ができない暗号通貨の特性は、怖いと感じられるかもしれない。
「寄付をしたいが相手に住所・氏名・電話番号などを知らせたくない」「サービスを使いたいがクレジットカード番号を入力するのが不安」といった状況は、ウェブ上では珍しくない――まあいいかと油断すると、知らないうちに取り返しのつかない被害にも遭いかねない。暗号通貨、特にプライバシーコインは、技術的な一つのソリューションではあるけど、現実的には、使い切りのプリペイドカードのようなものをコンビニで買って使った方が、手軽で便利かもしれない。
「個人がリラックスして、プライベートな時間を持つことができないような社会」が好ましくないことは、万人が同意するところだろう。ゆでられるカエルの例えのように、既得権者・独占者の言いなりになるだけでは、往々にして物事は徐々に悪い方向へと向かう。自分にできる範囲のことから、考えてみてほしい。
2023-12-02 妖精の鏡(その4) 虹の実装!
#数論 #FairyGlass #八元数
前回は Idlewild
を手動で 7 回呼び出した。和音集を入力として、この呼び出しを自動化する部分を実装する。虹の七色の一つ一つが FairyGlass
の中でキラキラと、ワルツを踊る…
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2023-12-01 妖精の鏡(その3) ひそやか野原
#数論 #FairyGlass #八元数
八元数 X, Y の積 Z = XY の 8 成分は、最初の一つを除き…
z5 = 【05】 + 〖14〗 + 〖72〗 + 〖36〗
…のように
zn = 【0n】 + 〖ab〗 + 〖cd〗 + 〖ef〗
の形を持つ(ここで ab は10の位が a で1の位が b の 2 桁の数。cd, ef も同様)。これを
Idlewild( n, ab, cd, ef )
という関数で実装するなら、八元数の積は大ざっぱにこの関数の 7 回の呼び出しになる。けれど ab, cd などは、いずれも七つの和音から派生する――和音の基本形または転回形のうち低音が n の三つについて、中音・高音を抜き出したもの。だから、さらに整理するなら、七つの和音 A, B, …, G を入力として、Idlewild
の 7 回の呼び出しを自動化できるはずだ。これが…
FairyGlass( A, B, C, D, E, F, G )
…であり、「九九」の設定に応じた掛け算を実行したり、積の公式や掛け算表を自動整形・出力したりするための便利なツールとなる。入力が七つで、一つ一つから三つの和音が生じるので、ちょっと詩的に「七色の光を反射して、一つの色につき小さな虹色のきらめきが 3 回ずつ起きる」とイメージし、比喩的に「妖精の鏡」と名付ける。
たとえ数学でも、すてきで分かりやすい名前を付けることは楽しいし、役に立つ。八元数の発見者 Graves は、八元数を「オクターブ」と呼んだ。ファンシーな名前が正式な数学用語として定着することもある――虚数を表す imaginary number(空想上の数)や、ある種の集合を表す ideal(理想)のように。「4 で割って 1 余る素数は、8 で割って 1 余る素数と、8 で割って 5 余る素数に分けられる」と言うとまだるっこしいが、「バニラ素数は春素数と秋素数に分けられる」と言えば簡潔で、イメージも明快。いちいち「4k+1 型素数」「4k+3 型素数」と呼ぶより「バニラ」「チョコ」で済ませた方が思考も高速化される!
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2023-11-30 妖精の鏡(その2) 黒記号と白記号
#数論 #FairyGlass #八元数
八元数 X = (x0, x1, … x7) と Y = (y0, y1, … y7) の積 Z = (z0, z1, … z7) に関して、Z の実部が
z0 = x0y0 − x1y1
− x2y2
− x3y3
− x4y4
− x5y5
− x6y6
− x7y7 『こ』
になることの意味を確かめた(§20)。今回は z1 以下の式の形の、全体的構造と仕組みを見渡したい。
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2023-11-27 妖精の鏡・虹色のきらめき 八元数の積
#数論 #FairyGlass #八元数
「妖精の鏡」を使って、八元数の積の法則を 1 行で表現できる。例えば…
FairyGlass( 123, 145, 246, 347, 176, 257, 365 )
七つの数は和音集。どの和音も「七色の光」のうち三つの組み合わせ。妖精の鏡の内側では、一つの色の入射光に対し、3種類の「虹色のきらめき」が起きる。きらめきの一つ一つは、和音集のハーモニーに従って二つの色から成る。
これは「八元数の掛け算」あるいは「八次元の代数」についての、音と光の詩的表現。掛け算の法則(九九)は一つに決まっているわけではなく、和音集の選択に応じ、いろいろな「きらめき方」をする。3 桁の数を 7 個設定すればいいのだから、潜在的な選択肢は非常に多いように思える。ところが妖精の鏡は繊細なアイテムで、特定の480種類の和音集(どれも七つの和音の組み合わせ)のどれかが選ばれた場合に限り、正しく動作する。
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2023-11-25 Cockmail 一般登録再開・追記
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2023-11-22 自由ソフトウェアとは? 公式の日本語訳があった
https://www.gnu.org/philosophy/free-sw.ja.html
四つの基本的な自由
あるプログラムが自由ソフトウェアであるとは、そのプログラムの利用者が、以下の四つの必須の自由を有するときです
(0) どんな目的に対しても、プログラムを望むままに実行する自由
(1) プログラムがどのように動作しているか研究し、必要に応じて改造する自由
(2) ほかの人を助けられるよう、コピーを再配布する自由
(3) 改変した版を他に配布する自由
利用者が以上であげた全ての自由を有していれば、そのプログラムは自由ソフトウェアです。そうでなければ、不自由です。さまざまな不自由な配布の仕組みについて、どのくらい自由から外れているかの観点から区別することは可能ですが、わたしたちは、そのすべてを等しく非倫理的だと考えています。
注 (1) 「必要に応じて改造」ではない: change it so it does your computing as you wish 「あなたが望む通りに動作するように」つまり「必要というわけではないけど、その方が便利だから・そうしたいから」あるいは単に「コードを書くのは面白いから」という気まぐれからでも、自分の好きに挙動を変える自由。 (3) 要するに「この変更は自分にとって便利!」と感じるような場合、「もしかしたら他の人もこのバージョンを使いたいかも…」と考えて、オリジナル版の作者からいちいち個別に許可を得ることなく、勝手に改変したバージョンを勝手に配布して構わない、ということ(同じ GPL ライセンスを使うなら)。それが自由ソフトウェア。
それが自由。「無許可で改変」ではなく、作者自身が最初から包括的に「許可」して、自由を与えている。フリーソフトウェアの哲学は「自由を与える」と要約可能かもしれない。
「オープンソース」だから「ソースを確認できて安全」…といった問題ではない!
不自由なソフトでもソース公開はできるので「オープン・アクセス」と「自由」は、同じではない。
「利用者が以上であげた全ての自由を有していれば」 これもニュアンスがちょっと違うかも: if it gives users adequately all of these freedoms 「プログラムが、これらの自由を適切に与えるなら」。すなわち、エンドユーザー側が(受動的に)自由を保障されることがメインではなく、プログラマー側が自発的・能動的に「自由を認める・与える」という意思を持つのが要だろう。
このウェブサイト(妖精現実)が昔から「サイト内のオリジナル・コンテンツは、どれでも無断コピー自由、改変自由」としているのも、根源的には同種の考え方に基づく(Share-Alike すら要求しないので技術的には全く異なるが)。
世界中のどの国の法律でも、いわゆる著作権は「原則として存在しない」と明文規定されている; 単に「暫定的・例外的経過措置」として、ごく短い期間(10年や100年のオーダー)に限定して、排他的権利を主張できる制度が残っている。人間の一生のような時間のオーダー(すぐに終わることが分かり切っている)ではなく「あるべき自然な状態」に従い、私たちは全てを共有する。全ての表現は、人間の世界での果実と無関係に、表現を司る女神たち・妖精たちにささげられる。このような文章を書くとき、法律上、自分たちが「著作権者」とやらになるのだから――そして権利は義務ではないだろうから――その権利をどう使おうが勝手だろう。「権利を使わない」と宣言し、実際、無断コピーされようが何されようが、放置する自由があるはずだ。自分たちに権利がある以上「ぜひ無断コピーしてください」とお勧めすることすら、こっちの勝手だろう!
警察が来て「あんたらのコンテンツが無断コピーされてますよ。被害届を出してください」と言っても、それに対して「私たちに権利があるのだから、それは私たちの自由だ」と突っぱねることができるはずだ。
特に、数学の定理や理論は、時空と無関係に普遍的に存在していて、人間が「発明」したり「思想や感情の問題として表現」したりする性質のものではない。単に「最初からそこにあったものが発見・記述される」に過ぎない。「そのような記述(例えば公式やアルゴリズム)に著作権がある」という主張については「根源的な疑問がある」と言わなければなるまい。同じ論点は、もしかすると数学以外にも適用可能かもしれない――「著作権」の保護が「創作活動」を保護するどころか、逆に芸術・文化にとってネガティブに作用している事例も少なくないように思われる。
「自分たちがパブリックドメインやコピーレフトを好む」ということは「他人の権利を軽視する」という意味ではないけれど、他人が何を言おうが、自分にとって不自由なものは不自由であり、それは内心の感じ方の問題なので――思想を取り締まるというのでもない限り――とやかく言われる筋合いはないだろう。思想の自由・言論の自由・自由な意見の交換は、究極的には公共の福祉にも資するであろう。
2023-11-21 匿名フリーメール Cockmail 一般登録再開 冗談半分10周年
紹介制から再び一般登録可に。登録には何も不要。電話番号も別のメアドも尋ねられない。その代わりパスワードをなくしたら、リセットは絶対不可能。無料。ウェブメール、POP/SMTP/IMAPの他、XMPPのアドレスが得られる。
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2023-11-20 八元数の和声学 七つの虚数のハーモニー
七つの(どれも異なる)虚数単位 e1, e2, …, e7 について、例えば
e1e7 = e6
という掛け算規則が成り立つとき、それを三つの数字の列 176 で表す。 176 は自動的に 761 と 617 も含意。さらに、掛け算の順序を入れ替えると積の符号が変わる:
e7e1 = −e6 等々
176 のような三数字の列は triad と呼ばれる。この単語には「三音から成る和音」という意味もあり、われわれは便宜上、これを和音と呼ぶ。
Fano 平面図から明らかなように、掛け算規則をどう定義するにせよ、八元数の積(の非自明な部分)は七つの和音によって過不足なく記述される。七つの和音のセット(和音集)は絶対的に固定されたものではない: 一つの有効な和音集と、別の有効な和音集は、異なる掛け算規則を表す。では「有効な和音集」は何種類あるか。前回、一部の説明を後回しにして 480 という答えを得た。後回しにした部分を記す。
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2023-11-17 警察はパスワード開示を強制できるか? 小心者のプログラマーの告白
EFF to Supreme Court: Fifth Amendment Protects People from Being Forced to Enter or Hand Over Cell Phone Passcodes to the Police
https://www.eff.org/press/releases/eff-supreme-court-fifth-amendment-protects-people-being-forced-enter-or-hand-over
多くの国の法制度において「被疑者に自己負罪(自分に不利な証言など)を強制することはできない」とされる。米国では Fifth Amendment(憲法修正第5条)が、これを定めている。
「本人が自分で認めているのだから間違いなく有罪だ。被疑者に自白を強制すれば、事件は解決する」という考え方では、多くの場合、事件が真に解決しないどころか無関係の人が罪を負わされ、真犯人が何も罰を受けず、往々にして取り調べも乱暴になり、民主主義の理想にも反するであろう。このような歴史的失敗から学び、推定無罪の原則や自己負罪拒否特権が定められている。
それでは被疑者の携帯電話やコンピューターが正当な法手続きによって押収されたとして、警察は被疑者にパスコードやパスワードの開示(自白・入力)を強制できるであろうか?
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2023-11-16 480種の掛け算表 何でそんなにいっぱい?
今回の内容は無味乾燥というか、テクニカルというか…。前々回の「ファノ平面・15秒クッキング♪」、前回の「八元数の掛け算表」は、欄外にいたずら書きがあったり、「墓場鬼太郎」と「エロイカより愛をこめて」の漫画の話があったり、軽い乗りだったが、ウォーミングアップばかり続けても仕方がない。「一体、八元数の掛け算表は何種類あるのか」という重大問題(?)に、がっつり取り組んでみたい。
幾つかの資料に「八元数には480通りの掛け算表がある」と記されている。ところが、その証明がどこにも記されていない。仕方がないので自力で導いた。1カ月前まで八元数なんて真面目に考えたこともなかった初心者ゆえ、最初はどこから手を付けていいのか見当も付かず…。この1カ月ほどいろいろ試してるうち少しずつ慣れ、数日前「480通り」を確認する方法を思い付いた。愚直で自己流、あまりエレガントじゃないけど…
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2023-11-12 八元数の掛け算表 「九九」がいっぱい
デンマーク人物事典・第3版によると、今日11月12日は「八平方和の式」の発見者 Degen の生まれた日。生誕257年(16進数では 0x101 年!)に当たる。
八元数の世界は、音楽と縁があるようだ。
Degen は、父親がチェロ奏者で、本人にも音楽の素養があったという。八元数の発見者 Graves は、当初、八元数を(八つの成分から成るという意味で)「オクターブ」と呼んだ(現代でもドイツ語では Oktave, Oktaven)。さらに、八元数の掛け算規則を表す3桁の数(例: 176 や 257)の一つ一つは、英語で triad と呼ばれるが、この語には「三和音」(例: ドミソの和音やドファラの和音)という意味もある。
八元数の「九九」つまり掛け算規則は、七つの和音として表現可能。八元数の「九九」には、多くのバージョンがある。掛け算の性質自体も奇妙な上、「九九」(掛け算の定義の仕方)がいっぱいあるというのは、初めて聞くと訳が分からない話に思える。不思議な八次元の世界をのんびり散策してみたい…
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2023-11-10 Windows ますますうざく… 乗り換え考える人も
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2023-11-08 ファノ平面・15秒クッキング♪ お手軽おやつで八次元
Fano 平面略図(八元数の掛け算に対応する)の出来上がり! お手軽…w
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2023-11-07 Tutanotaが「Tuta」に どちらかというと嫌な予感…?
数年前まで尊敬され、定番だった ProtonMail だが、やがて大きくなり過ぎ、評価の分かれる存在になった。メールだけではない多角経営を推進し、「Proton」と改名したのだった。
Tutanota が「Tuta」になった真意は…?
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「チラ裏」は、きちんとまとまった記事ではなく、断片的なメモです…
2023年2月22日 メルセンヌ数と「LLT」のメモを完結させた(前編 中編 後編)。
2023年3月16日 14+24+34+…+104 のような和 累乗和とベルヌーイ数
2023年3月24日 完全数と忍者数 偶数の完全数の定理の証明
2023年4月20日 しげちーの1円玉集め √a mod p
2023年5月2日 Tonelli のアルゴリズム モジュラー平方根入門
2023年6月1日 Dirichlet の美しい証明 x4 ≡ 2 が解を持つ条件
2023年7月9日 Shanks のアルゴリズム 導入 Tonelli から Shanks へ
2023年8月15日 四平方のごちゃごちゃを解きほぐす 分かりやすさ優先コース
2023年10月16日 ハッピー・ハミルトン・デー☆4次元もこもこ180年記念
2023年10月22日 八元数の積 便利な裏技
2023年11月20日 八元数の和声学 七つの虚数のハーモニー
Map
の長所、splice
より速い要素挿入法も紹介。 〔最終更新: 2023年4月1日〕bdi
要素と Unicode 6.3 の新しい双方向アルゴリズム (2012-12-04)dir
属性は落とし穴が多い。HTML5 の <bdi>
は役立つ。近い将来、「ユーザー入力欄などの語句は、このタグで隔離」が常識になるかも。 〔最終更新: 2014年4月27日〕fad()
は濁りやすい。各種の代替手段を紹介。forum.doom9.org
/ videolan.org
75C0 706B 3CD0 B5D0
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