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2025-12-23 n が 4 の倍数のときのガウス和 ふたやふたやよ
次のような和 W を考える。
n = 4 の例。 1 の原始4乗根(§7)のうち偏角 90° のものを r とする、つまり r = √−1 = i と。
W = r0 + r1 + r4 + r9
は何になるか(r の肩の指数は、四つの平方数 02, 12, 22, 32)。 r4 = 1 に留意して、指数を簡約(4 で割った余りで置き換える):
W = r0 + r1 + r0 + r1 = 2(r0 + r1)
4項の和のうち、前半2項と後半2項が同じ値の反復。もちろん = 2(1 + i) = 2 + 2i、あえて書けば √4 + i√4 だ。
n = 8 の例。 1 の原始8乗根のうち偏角 45° のものを r とする、つまり r = √i
=
√2/2 + i√2/2
と†。
W = r0 + r1 + r4 + r9 + r16 + r25 + r36 + r49
は何になるか(指数は八つの平方数 02, 12, 22, ···, 72)。
r8 = 1 に留意して指数を簡約(8 で割った余りで置換):
W = r0 + r1 + r4 + r1
+ r0 + r1 + r4 + r1
= 2(r0 + r1 + r4 + r1)
8項の和のうち、前半4項と後半4項は、同じ値の反復。
で、 r4 = (r2)2
= ((√i)2)2
= (i)2
= −1 なんで:
W = 2(1 + r + (−1) + r) = 2(2r) = 4r
= 4(√2/2 + i⋅√2/2)
= 2√2 + 2i√2 = √8 + i√8
同様の計算をすると n = 12 なら W = √12 + i√12 になり、 n = 16 なら W = √16 + i√16 になる(= 4 + 4i)。要するに n が 4 の倍数なら W = √n + i√n になる、ってことは予想がつく。こんなきれいで単純なパターン、簡単に証明できそうに思える。大数学者ガウスも、このパターンを発見したとき、自信たっぷりにそう考えたに違いない。
ところで √2 = 1.41421356…(ひとよ・ひとよに・ひとみごろ)ってのは有名。 √8 はその 2 倍なので 2.82842712…(ふたや・ふたやよ・ふたナイフ)。「ひとよ・ひとよに・ひと」は各桁 4 以下なので、 2 倍は、繰り上がりなしで「ふたや・ふたやよ・ふた」。
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2025-12-20 第二の恒等式 n が偶数の場合のガウス和
n が奇数のときの「1 の原始 n 乗根に対応するガウス和」について一通りの紹介が済んだので、今度は n が偶数の場合を検討してみたい。
n が奇数・偶数両方の場合を
現代の教科書では「重要でない・必要ない・そんなことやってる暇はない」と偶数ケースを無視し、 n が奇数(特に素数)の場合だけを扱うのが通例かもしれない。われわれは有用性や効率によってではなく、美しさによって道を選ぶ!
例えば、
(6, 2) = [(1 − x6)(1 − x5)]/[(1 − x)(1 − x2)]
のようなガウスの (m, μ) 記号と、「6 個の物から 2 個の物を選ぶ」ときの選択肢の数…
6C2 「6 choose 2」
すなわち二項係数 (6 C 2)
= (6⋅5)/(1⋅2)
…は、それぞれの指す値(計算結果)は無関係でも、計算の形式が似ている。ガウスの記号に関連する恒等式と、二項係数に関連する恒等式にも、ある種の平行性が感じられる。
(m, μ) 記号が表すものは、現代では「q-二項係数」(q-binomial coefficient†)――別名「ガウス二項係数」――と呼ばれる(「係数」といっても「数」ではなく多項式)。より広い概念「q-類似」(q-analog, q-analogue)――別名「q-拡張」(q-extension)――の一種とされる。ガウスの1811年の論文は、「二項係数についての恒等式の q-類似」をツールとした論考だ。
そんな現代的認識とは関係なく、ガウスはインスピレーションに導かれて (m, μ) に関連する公式を巧妙に使い、「1 の原始 n 乗根に対応するガウス和の符号決定」という難事業を達成。「さすがは天才!」――と言いたいところだが、ガウスは(現象そのものについては予想できたものの)なぜそうなるのか、なかなか証明できなかった。4年3カ月の試行錯誤、大変な苦労、数え切れないほどの挫折と再試行の繰り返しの末、ようやくこの細道を発見、そこからさらに丸3年を費やして「細道」を整理・整備して、分かりやすい形にまとめたのだった。「才能」の90%は「努力」なのかもしれない。
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2025-12-18 ガウス和の符号・後編
n が任意の正の奇数のときの「ガウス和の平方」(§10)と、基本ケース(特定の r が選択される)における「ガウス和そのもの」(ガウス和の符号)を決定した(§11)。
しめくくりとして、一般のガウス和(r の選択を特定の一つに限らない)について検討する。便宜上 n が 3 以上の素数の場合に話を限定する(最も重要なケース)。結果として生じる和の値は「基本ケースと同じか、その −1 倍」で、特に複雑な話でもない。この考察の副産物として、「ガウス和のもう一つの形式」とも自然に話がつながる。
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2025-12-16 ガウス和の符号・中編
前回、「ガウス和」を求めるためのツールとなる公式(ガウス自身が使ったもの)を導いた。ここまで来たら、その先は易しい。
結論もシンプル: n が正の奇数のとき、基本の「ガウス和」は +√(n) または +i√(n) に等しい(奇数 n が 4 の倍数より 1 大きいときは前者、 4 の倍数より 3 大きいときは後者)。
どういうこと?
n = 5 の具体例で図解してから、一般の場合について、ガウスによる証明の続きの部分を紹介したい。
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2025-12-12 ガウス和の符号・前編 名画・名曲・名証明
名画や名曲を鑑賞する活動があるのなら、名証明を鑑賞する活動があってもいい。ゆったりと美しさを味わい、楽しむための数論。
前回、準備として ƒ(x, m) という不思議なコンセプトを紹介した。 m が正の偶数のとき、
1 − (1 − xm)/(1 − x)
+ [(1 − xm)(1 − xm−1)]/[(1 − x)(1 − x2)]
− [(1 − xm)(1 − xm−1)(1 − xm−2)]/[(1 − x)(1 − x2)(1 − x3)]
+ ···
という m+1 項の式が、
(1 − x1)(1 − x3)(1 − x5)···(1 − xm−1)
という積に等しい、という恒等式。ガウスはこの関係をどう使ったのか、という核心部を紹介したい。
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2025-12-09 ガウス和に関連する不思議な恒等式
1811年†のガウスの論文「ある種の特別な数列の和」では、
[(1 − xm)(1 − xm−1)···(1 − xm−μ+1)]/[(1 − x)(1 − x2)···(1 − xμ)]
という多項式の商が、簡略な記号 (m, μ) で表されている。例えば:
(6, 2) = [(1 − x6)(1 − x5)]/[(1 − x)(1 − x2)]
(6, 3) = [(1 − x6)(1 − x5)(1 − x4)]/[(1 − x)(1 − x2)(1 − x3)]
これらは一見「意味不明」な分数だが、 1 − xk の形の因子たちの指数 k だけを見ると、
(6⋅5)/(1⋅2) や (6⋅5⋅4)/(1⋅2⋅3)
のようになっている。形式的には「意外と単純」、コンセプト的・感覚的には「二項係数の仲間」といえるだろう(実際、割り切れて、整係数の多項式になる)。――これらの分数は、ある種の足し算・引き算に対して、非常に不思議な反応を示す。
ガウスは、次の関係(恒等式)を証明した。いわく、 m が任意の正の偶数のとき、
1 − (m, 1) + (m, 2) − ··· ± (m, m)
は、積 (1 − xm−1)(1 − xm−3)···(1 − x3)(1 − x) に等しい。例えば:
1 − (6, 1) + (6, 2) − (6, 3) + (6, 4) − (6, 5) + (6, 6) = (1 − x5)(1 − x3)(1 − x)
左辺の謎めいた「足し算・引き算」と、右辺のシンプルな「掛け算」が等しいというのは、奇妙な現象だ! 証明自体は平易で、(技巧的ではあるが)初等的な操作の組み合わせ。証明できるからといって、「不思議さ」のもやが晴れるわけではないのだが…
ガウスは、この恒等式を鍵として、「ガウス和の符号決定」(天才ガウスをして何年も悩ましめた難問題)をついに――そして鮮やかに――解決した。その前段階に当たる上記「不思議な恒等式」の証明について、順を追って紹介したい。
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2025-12-06 13, 23, 33, ··· を割った余り
13 = 1, 23 = 8, 33 = 27, 43 = 64 を 5 で割った余りは、それぞれ 1, 3, 2, 4(例えば 33 = 27 を 5 で割ると 2 余る)。つまり、3次合同式
x3 ≡ a (mod 5)
は、任意の a について解を持つ(a ≡ 1, 2, 3, 4)。言い換えると、集合 {1, 2, 3, 4} の各数を立方して 5 で割った余りたちの集合は、再び {1, 2, 3, 4} になる!
「割る数」の 5 を 11 や 17 などに変えても同様のことが成り立つ。しかし「割る数」が 7 や 13 などだと、そうならない。例えば 13 = 1, 23 = 8, 33 = 27, 43 = 64 を 7 で割った余りは、順に 1, 1, 6, 1 だし 53 = 125, 63 = 216 を 7 で割った余りはそれぞれ 6, 6 なので、 {1, 2, 3, 4, 5, 6} の各数を立方して 7 で割った場合には {1, 6} しか作れない。
一般に p を 5 以上の素数(1 と自分自身でしか割り切れない数)としよう(p = 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, ···)。 p は素数なので 3 では割り切れず、 3 で割ると 1 余るか、または 2 余る。言い換えると p は 3 の倍数より 1 大きいか、 2 大きい。便宜上、 3 の倍数より 1 大きい素数をミント素数、 3 の倍数より 2 大きい素数をワッフル素数と呼ぶことにする(これは正式用語ではなく、勝手に作った用語)。 a を 1 以上 p 未満の任意の整数とするとき、もし p がワッフル素数なら、
「3乗して p で割ったとき、 a 余るような整数はあるか?」
という問いの答えはいつでも yes だが、もし p がミント素数なら、同じ問いの答えは(一部の特定の a に対してのみ yes になるけど)一般には no だ。式で書くと、
x3 ≡ a (mod p)
は p がワッフルならどんな a に対しても解を持つが、 p がミントだとそうならない。
立方剰余(立方して p で割ったときの余り)のこの性質(p がミントかワッフルかで挙動が激変する)は、通常の整数の世界の中でも、ある程度、解明可能。しかし、アイゼンシュタイン整数の世界で考えることで、その真相が見えてくるかもしれない。
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2025-12-02 ω の立方性: t3 ≡ ω に解があるか
3 の倍数より 2 大きい素数は、次の三つのタイプに分けられる:
【ア】 9 の倍数より 2 大きいもの: 2, 11, 29, 47, 83, ···
【イ】 9 の倍数より 5 大きいもの: 5, 23, 41, 59, ···
【ウ】 9 の倍数より 8 大きいもの: 17, 53, 71, 89, ···
定理7によると、 p がアまたはイの素数なら、 t3 ≡ ω (mod p) を満たすアイゼンシュタイン整数 t は存在しない(その結果として x3 + y3 = pz3 は非自明な整数解を持たない)。
では p がウの素数だったら…? p がア・イ・ウのどれかの数のとき、 t3 ≡ ω (mod p) が解を持つためには p がウの型であることが必要だよ――と定理7は言っているが、それは必要十分条件だろうか。
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2025-12-01 x3 + y3 = 5z3 や x3 + y3 = 11z3 など
32 + 42 = 52 とか
52 + 122 = 132 とか
112 + 22 = 53 とか
103 + 93 = 123 + 13 とか
33 + 43 + 53 = 63
のような等式を眺めていると、
x3 + y3 = z3
を満たす正の整数 x, y, z もあるのでは、と感じられるかもしれない。「実際にはそんな整数の組み合わせはない」というのが、「フェルマーの最終定理の指数 3 の場合」という有名問題であり、問題の意味は分かりやすいが、証明は意外と難しい。「なぜどこがどう難しいか」を理解すること自体、難しいかもしれない。
われわれはとにかくこの定理を一応証明し、ついでに、
x3 + y3 = 2z3
を満たすような x, y, z も(z = 0 の場合と x = y の場合を別にすると)存在しないこと、
x3 + y3 = 3z3
x3 + y3 = 4z3
を満たすような x, y, z も(z = 0 の場合を別にすると)存在しないことを証明した。一方、
x3 + y3 = 6z3
x3 + y3 = 7z3
x3 + y3 = 9z3
を満たすような x, y, z は、存在する。
x3 + y3 = 8z3
については Z = 2z と置けば右辺は (2z)3 = Z3 なので、オリジナルのフェルマーの問題と実質同じ。それでは、
x3 + y3 = 5z3
はどうか?
この最後の不定方程式は、それ単体では x3 + y3 = 4z3 の場合とほとんど変わらず、それ自体としては特に新鮮味もない。けれど、より一般的な命題について、フルヴィッツ(Hurwitz フアヴィツ)はエレガントで味わい深い証明を記している。フェルマーの小定理のアイゼンシュタイン整数版や、立方剰余の理論のような重要な話題とも関連していて、研究の価値がありそうだ。
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「チラ裏」は、きちんとまとまった記事ではなく、断片的なメモです…
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2025年5月31日 四次元サイコロ「目」は幾つまで?
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2025年4月6日 1 + 1/22 + 1/32 + … = π2/6 の別証明 ☆総和記号不使用☆
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2025年1月11日 Verlaine の「秋のうた」 日本語訳3種+原文解説
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2024年4月11日 正17角形は作図可能? 複素数を使わない気軽な散策
2024年1月12日 十六元数の零因子 君は 0 を割ることができるか?
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2024年1月17日 Moufang 恒等式の同値性 初等的証明
これも(ネットでは)世界初かも。教科書的には autotopism を使うのだが、そんなややこしい概念は必要ない。
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〘→ 最近のメモは「遊びの数論」に〙
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